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【メインストーリー第31話】頭の中の声

投稿者:
【プロデューサー】KAZ

メタルサーガ~荒野の方舟~
メインストーリー 第三章「叛逆の少女」

 

———————————————————-



意識を失ったエリシアは夢を見ていた。

 

エリシア
「これは…夢…?」

 

???
「エリシア…。」



また、頭の中で誰かの声が響いた。

 

エリシア
「誰…?あなたは誰なの…?」

 

???
「人類を滅ぼすのだ…。」

 

エリシア
「人類を…?なぜ…?」

 

???
「我を解放しなさい…。」

 

エリシア
「解放…?あなたは一体誰なの…?」

 

???
「我が名は…。」



エリシアは夢の中で再び意識を失った。

 

———————————————————-

○ラボ

 

???
「エリシアちゃん!しっかりして!」

 

暗闇の中でまた誰かの声が響く。

 

???
「エリシア!おい、エリシア!」



???
「目を覚まして!エリシアちゃん!!」

 

エリシア
「うぅ…ん…。」

 

目を開けると、目の前には
フェローが心配そうに覗きこんでいた。



エリシア
「わたしは…。」

 

フェロー
「よかったー!!目が覚めたんだ!!」

 

エリシア
「眠っていたのでしょうか…。」

 

ドクター
「突然意識を失ったのよ。
ここはラボよ、安心していいわ。」

 

エリシア
「そう…ですか…。」

 

マスター
「ふん…。心配かけやがって。」

 

エリシア
「すみません…。」

 

フェロー
「エリシアちゃんどうしたの?」

 

 

 

エリシア
「頭の中で…、急に誰かの声が急に聞こえて…。
その瞬間、突然激しい頭痛が…。」

 

フェロー
「頭の中で声…?
その声は何を言っていたの?」



エリシア
「はい…。
『人類を滅ぼすのだ』『私を解放しなさい』と…。」

 

ドクター
「人類を滅ぼす…。」

 

フェロー
「その声の主は誰かわかったの?」

 

エリシア
「いえ…。名前を名乗った瞬間に
夢の中で意識を失いました…。」



ドクター
「ノア…。」

 

エリシア
「えっ…。」

 

ドクター
「ノアは地球を救う為に人類を滅ぼす
選択肢を取ったと言われているわ…。」

 

フェロー
「私も『大破壊』の事を調べているけど、
確かノアは、文明の発達とともに汚染されていく
地球を救済するために造られたマザーコンピューターだよね。

で、地球を救う手段として自ら導き出した結論が
『人類が消え去るしかない』だった。
それで大破壊が起こったんだよね…。

でも…、なぜノアがエリシアちゃんに…?」

 

ドクター
「わからないわ…。
でも声の主がノアという確証はどこにも無い。
ただ発言が似ているわね…。」

 

フェロー
「『私を解放しなさい』というのもわからないね。
どこかにノアは今も眠っているのかな…。」

 

エリシア
… …。

 

マスター
「とりあえず、エリシアの体調の事もあるし
今は深く考えない方がいいかもな。
考えたところで答えは出ない。」

 

ドクター
「そうね…。そういえば、エリシアちゃんが眠っている間、
ずっと左手の紋章が光っていたわ。」



エリシア
「私の手の紋章が…?」

 

ドクター
「ええ。それで光が止んだ瞬間すごい音がしたの。」

 

フェロー
「音?」



ドクター
「うん。その音が気になってエリシアちゃんを
見ると首の装置にヒビが入っていたの。

一応、エンジニアにも見てもらったんだけど、
現代の技術では直せそうにないみたい。」

 

エリシア
「お父さんが付けてくれた首飾りにヒビが…。」

 

フェロー
「確かその首の装置って
『絶大なる力を制御するための首飾り』って前に
廃倉庫で見つけた古い書物に書いてたよね。
抑えきれない程の力がかかったってことかな?」

 

ドクター
「わからないわ…。でもヒビが入るってことは
何かしらの負荷がかかったって事よね…。」

 

フェロー
「もしかして…その首の装置が壊れると、
制御され、抑えられていた力が解放され…
エリシアちゃんが暴走!?」

 

マスター
「そんなどこかで見たロボットものみたいな
展開にはならんだろう…。」

 

フェロー
「エリシアちゃんが暴走した時、
第二の大破壊…セカンド…。」

 

マスター
「おい、それぐらいでやめておけ。」

 

フェロー
「そういえば、思い出したけど前に寝ている時に
『あなたの思い通りにはさせない』って
誰かと会話しているみたいだったってドクターに聞いたけど、
あの時と同じ声だった?」

 

エリシア
「いえ…、そちらは全く記憶にないんです…。」

 

ドクター
「確かその時もエリシアちゃんがしゃべった後に
左手の紋章の光が止んだのよね。」

 

マスター
「ま、とりあえずエリシアが回復するまで
次の行動は避けるべきだな。」

 

エリシア
「すみません…。私のせいで…。」

 

マスター
「いや、最近色々立て続けにあったからな。
無理もない。ゆっくり休むといい。」

 

エリシア
「ありがとうございます…!」

 

○司令室

 

エリシアを眠らせた後、
皆、司令室に集まっていた。



オフィサー
「しかしエリシア君のお父さんが、
ノアの開発者だったとはな…。」

 

ドクター
「でもノアの開発者は確か…。
ヴラドという名前だった気が…。」

 

フェロー
「調べたけど、ノアはヴラド・コーポレーションと
神話コーポレーションの共同開発だったみたいだよ。」

 

マスター
「恐らくどちらかの企業にいた科学者だろう。」

 

オフィサー
「エリシア君のお父さんが言っていた
『ノア』がキャンサーを生み出したって本当だろうか。
しかし、何の為に…。」

 

ドクター
「もしそれが本当であれば、『キャンサー』は
生き残った人類を抹殺する為にノアが残した
最後のプログラムなのかしら…。」

 

フェロー
「『エリシアちゃんのお父さん』『キャンサー』
調べるものがどんどん増えて行くね…。」

 

オフィサー
「アラドの動向も気になるな…、うーむ…。」

 

フェロー
「そういえば、お父さんの残した宿帳に
『キャンサー”に対抗できるワクチンを研究』と
書いてるけど、結局ワクチンの開発には成功したのかな?」

 

 

マスター
「この宿帳が書かれたのが、ナノパンデミックの前だとすると
『恐らく対抗手段が見つけられなかった』か
『キャンサーのが上手だった』可能性がある。」

 

ドクター
「そうね。キャンサーは『学習し成長するウイルス』
早めに手を打たないとどんどん進化していく。
まさしく名前の通りガン細胞と同じだわ。」

 

オフィサー
「しかし、エリシア君のお父さんの足取りを
追跡する事で何かヒントになりそうだな。
引き続き調査を進めるとしよう。」

 

ドクター
「そうね。まずはエリシアちゃんの回復を待ちましょう。」

 

———————————————————-

 

エリシアはまた夢を見ていた。

 

夢の中に断片的な光景が浮かんでくる。
それが昔の記憶なのか夢なのかも判らない。



エリシア
(この前みた二人…?)
(あれ…声が…出ない…。)

 

父親?
「エリシア…。待ってろよ…。
お前をこの機械で…。」

 

エリシア
… …。

 

母親?
「あなた…もうやめて…。
私…もう…。耐えられない…!!」

 

エリシア
… …。

 

父親?
「何を言ってるんだお前!!
こうでもしないと、エリシアはこのままなんだぞ!!」

 

エリシア
… …。

 

母親?
「エリシア…待ってて…。
私も…あなたの元に…。」

 

父親?
「おい!!何をしている!!
やめろ!!やめるんだ!!」

 

エリシア
… …。

 

———————————————————-

 

夢の中に浮かんでくる光景が消え去り、
エリシアは目が覚めた。

 

ラボは真っ暗。エリシアは一人。
闇の中にとり残された気分だった。

 

エリシア
「お…母…さん…?」



エリシアの目から一粒の涙がこぼれ落ちた。

 

To Be Continued…

【メインストーリー第30話】キャンサー

投稿者:
【プロデューサー】KAZ

○司令室

 

その日皆は司令室に集まっていた。
そこには体調が回復したマスターの姿もあった。



オフィサー
「マスター、調子はどうかね。」

 

マスター
「ああ、もう大丈夫だ。心配かけてすまない。」

 

エリシア
「マスターさん、元気になって良かったです!

 

マスター
「心配かけたな、ありがとよ。」

 

フェロー
「そういえば、あれからサロンの人から
何か報告はあったの?」

 

サルーンガール
「あら、呼んだ~?」

 

フェロー
「うわ!もう帰ってきてたの!!」

 

フェロー
「どうだった?なんか手掛かりはあった?」

 

サルーンガール
「そうね~。特に目立ったのもは無かったけど…。」

 

サルーンガール
「しいて言えば、これを拾ったぐらいかしら?
たぶん、ハンターの遺品だと思うけど~。」

 

フェロー
「これ、フェイスマスクかな?
ん?骸骨の模様…?」

 

船長
「… …これは…。」

 

サルーンガール
「あら、船長さん心当たりあるの~?」

 

オフィサー
「『エルピス作戦』の時、
アラドが付けていたものと似ている…。」

 

フェロー
「あれ?アラドってヘルメット被って無かったっけ?」

 

オフィサー
「いや、当時は被っていなかった。
これに似たフェイスマスクを付けていたな。」



レッドフォックス
「それは旧統合軍にあった『ガイスト』と呼ばれていた
亡霊部隊が付けていたマスクだ。」

 

フェロー
「うわっ!!いきなりびっくりした!」

レッドフォックス
「あはは、ごめんごめん。
リザード、調子はどうだい?」

 

マスター
「ああ、もう大丈夫だ。」

 

レッドフォックス
「そっかそっか!
良かった良かった、アハハハ。」

 

フェロー
「あ、そっか。レッドフォックスも
旧統合軍出身だもんね。」

 

マスター
「俺は知らないぞ、そんな名前の部隊。」

 

レッドフォックス
「無理もないよ。
一部の人間にしか公開されてないからね。」

 

レッドフォックス
「アタシはビーストの次期エース格とされていたから
軍の上の情報も一部のみだけど、開示されてたんだ。」

 

フェロー
「や、やっぱりただ者じゃないね…。」

 

レッドフォックス
「ただ亡霊部隊も「存在するかどうか分からない部隊」というニュアンスで
亡霊部隊と周りから呼ばれていただけで、正式名称は特に無かったんだよ。」

 

レッドフォックス
「だから知らないのも無理はない。
上の人間は「試験編成チーム」とか
『テストケース』と呼んでいたよ。」

 

マスター
「そりゃ知らないのも納得だ。
軍には部隊が幾つもあったが、
実際会ったこともあまり無いし
交流も無かったからな。」

 

レッドフォックス
「確かに。配属されていた場所も違うしね。
ほんと『ヴリトラ』の警備とかクソ退屈だった。
何回壊してやろうかと…なーんて、ね。」

 

マスター
「おいおい…。
ただ、フォックスの話を聞く限り
アラドは亡霊部隊に所属していたと見て間違いないな。」

 

フェロー
「その亡霊部隊ってどんな部隊なの?」

 

レッドフォックス
「アタシも詳しくは知らないけど、ビーストと同じで
サイバーウェアとナノマシンで
身体強化された改造兵士たちの部隊だったらしいね。」

 

フォックスの話では…

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

・遠隔コントロールも可能な自律型戦闘ロボット部隊。

 

・優秀だが死亡した兵士を蘇生させ、強化外骨格でその正体を隠していた。

 

・脳改造やサイバネティクスで強化したサイボーグ兵士の集団。
 人道問題を避けるため、メンバーを死亡扱いにしていた

 

・精神を完全データ化し、身体を義体化した兵士たちの部隊

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

などの説があったらしい。

 

フェロー
「なんかすごい部隊だね…。
もう人間じゃないじゃん…。」

 

レッドフォックス
「まぁ、戦う為に作られた兵器って感じだねぇ。」

 

ドクター
「でもその話が本当なら、エルピス作戦で
アラドが戦死していなかったのも説明がつくわね。」

 

ドクター
「まぁ、どこかの博士の電撃で蘇った可能性も無くは無いけど…。」

 

オフィサー
「うむ。確かに義体やサイボーグであれば、
何度でも代わりが効く。」

 

フェロー
「アラドはもう人間では無いってこと?」

 

マスター
「まぁ、それを言うと俺もフォックスも
半分以上人間では無いけどな。」

 

フェロー
「確かに。
という事は「無敵鉄道組合」の事件には、
亡霊部隊が絡んでいたのは間違いないね。」

 

オフィサー
「アラドの可能性は高いが、
なぜ避難していた人達を襲った理由がわからん。」

 

ドクター
「何か都合の悪いことでもあったのかもしれないわね。
もしくは単なる虐殺なのか…。」

 

オフィサー
「とりあえずこれ以上は詮索したところで
何も答えはでないだろう。」

 

オフィサー
「マスターも回復した事だ。
エリシア君の父親の手掛かりを探す続きをしよう。」

 

オペレーター(天真爛漫)
「そろそろカベノオクに着くよー!
みんな下船の準備してよね!」

 

フェロー
「それじゃ、お父さんの痕跡が
何か無いか探しに行こう!」

 

エリシア
「はい!!」

 

オフィサー
(アラド…。お前は一体何を…。)

 

─ 数時間後…

 

○ハンターオフィス



カベノオクで探索を終えた
フェロー達はハンターオフィスにいた。

 

フェロー
「ふぅ~…。
宿帳を見つけてきたよ。
この他にはめぼしい物は特になかったよ。」

 

エリシア
「また、服も汚れちゃいました…。」

 

マスター
「毎度の事だが、大変だな…。
リハビリにしてはさすがにキツすぎる。」

 

オフィサー
「うむ、皆ご苦労だった。」

 

オフィサー
「船長さんもさ~…いや、もういいや。
言う気も失せたよ…。」

 

フェロー
「とりあえず読んでみようか。」

 

マスター
「ゴーグルはもういいぞ。」

 

フェロー
「やる前にツッコむのやめようよ~…。
えーっと…。」

 

エリシア
「あ、ありました!
お父さんの名前!」

 

フェロー
「200X年X月X日「ニコラ」!
あったあった。じゃあ、読むね。」

 

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カベノオクに着いた。
カベノウエと比べものにならない程寒い。

でも、霜除けのお守りを持ってきて正解だった。
そのおかげで、エリシアも今は大丈夫そうだ

 

+++——————————————————————————————-+++

 

エリシア
「私の名前ですね…。」

 

フェロー
「やっぱりエリシアちゃんと
一緒に行動していたみたいだね。」

 

エリシア
「ん~…。覚えていないです…。」

 

マスター
「まぁ、無理もない。
続きを頼む。」

 

+++——————————————————————————————-+++

 

ここに来て有力な情報を得る事が出来た。
カベノウエに居たはずの元軍に所属していた
生き残りとカベノオクで偶然会う事が出来た。

その男は旧統合軍の科学研究所で働いていた元科学者だ。

 

+++——————————————————————————————-+++

 

マスター
「旧統合軍…という事は
この宿帳はかなり古いものになるな…。」

 

フェロー
「え、どうして?」

 

マスター
「旧統合軍は大破壊前から存在していた軍だ。」

 

マスター
「新統合軍と呼ばれる新しい軍は、
ほんの数年前まで活動していた軍だが、
旧となると少なくとも80年以上は前の話になるぞ。」

 

フェロー
「いやいや、ちょっと待ってよ。」

 

フェロー
「その話が本当なら旧統合軍の『ビースト』に所属していた
レッドフォックスとマスターって80歳以上ってこと!?」

 

マスター
「まぁ、実際にはそうだな。」

 

マスター
「サイバーウェア化しているおかげで
フォックスも俺も当時の年齢のまま
見た目は止まっているがな。」

 

フェロー
「おば…?おじいちゃん…?」

 

マスター
「おい、お前。一発殴っていいか?」

 

フェロー
「すみませんでした。」

 

エリシア
「あはは、面白いです。」

 

フェロー
「という事はアラドは確実に見た目からして100歳超えてるよね…。」

 

マスター
「まぁ、あいつがもし亡霊部隊所属だったのなら
義体化もしくはサイボーグだろうな。」

 

フェロー
「でもそうなるとエリシアちゃんも
アタシ達より年上ってことじゃん!!」

 

エリシア
「え?私ですか?
私、サイボーグ…?じゃないですよ?」

 

フェロー
「いやいや、そういう事じゃなくて…。」

 

ドクター
「エリシアちゃんは長い時間”ミトラ”で眠っていたから、
たぶんそのせいでまだ幼いんだと思うわ。」

 

エリシア
「はい、ぐっすり眠っていたみたいです。」

 

マスター
「さ、続きを読め。」

 

+++——————————————————————————————-+++

 

その科学者は”ビースト暴走事件”について
調査をしていたようだ。同志がいて嬉しい。

 

+++——————————————————————————————-+++

 

マスター
「ビースト暴走事件だと…。」

 

ドクター
「やっぱり調べていたのは
ナノパンデミックでは無かったようね。」

 

+++——————————————————————————————-+++

 

私もあれが単なる「暴走事故」では無く、
誰かが意図的に仕込んだモノだと考えている。

 

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マスター
「…やはりあれは事故なんかじゃない。」

 

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元科学者の話では”ナノマシンウイルス”が
原因では無いかと調査の結果わかったらしい。

 

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ドクター
「ナノマシンウイルス…。」

 

ドクター
「でもそれだとやはり「大破壊前に造られたもの、
もしくはその複製品にも影響した」というのが説明がつかないわ。」

 

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そのウイルスは物理的に蝕み組成を変化させながら
増殖する、ガン細胞のようなウイルス。

どんなに強固なセキュリティでも
ハードウェアを作り替える程の適応能力を持っているらしい。

 

+++——————————————————————————————-+++

 

マスター
「適応能力だと…。」

 

ドクター
「なるほどね…。
だからサイバーウェアやナノマシンでは無く、
カンパニーが持っていた武器や防具にも影響したのね…。」

 

マスター
「武具の構造を学習して
自ら組織を変化させ、感染したという事か…。」

 

ドクター
「だからビースト暴走事件ではサイバーウェアと
ナノマシンのみに感染したけど、エルピス作戦では
ウイルスはさらに進化していたという事ね。」

 

フェロー
「その理屈であれば、ネットワーク経由じゃなくても
物理的に感染するって事だよね。」

 

フェロー
「という事は無敵鉄道組合の一件も
このナノウイルスの仕業かな?」

 

マスター
「機械が暴走したという点は一致しているが、
もし仮に主犯がアラドだったら直接手を下した可能性がある。」

 

フェロー
「う~ん…頭が混乱してきた…。」

 

ドクター
「でも、そんなウイルスが世界中にバラまかれたら…。
とんでもない事になるわ。」

 

+++——————————————————————————————-+++

 

私はそのガン細胞のナノマシンウイルスを
“キャンサー”と名付ける事にした。

 

+++——————————————————————————————-+++

 

ドクター
「キャンサー…。」

 

+++——————————————————————————————-+++

 

私はその”キャンサー”を生み出したのは
「ノア」だと考えている。
そのような事を出来るのはヤツしかいない。

 

+++——————————————————————————————-+++

 

フェロー
「… …!!」

 

オフィサー
「なんだと…!」

 

エリシア
「…ノア…。」

 

+++——————————————————————————————-+++

 

情報は得た。私は明日からエリシアと一緒に
“キャンサー”に対抗できる
ワクチンを研究をする為、
*****に向かう**にす**。

 

+++——————————————————————————————-+++

 

マスター
「最後の場所が汚れてて読めないな。
ここで足止めか…。」

 

ドクター
「仕方ないわね…。
でもこちらも情報は得ることが出来たわ。」

 

フェロー
「待って!まだ次のページに続きがあったよ!」

 

+++——————————————————————————————-+++

 

私は以前「ノア」の開発に関わっていた。
そのような元凶を生み出した私にも責任がある…。

 

+++——————————————————————————————-+++

 

ドクター
「まさか…そんな…。
エリシアちゃんのお父さんが…。」

 

フェロー
「『大破壊』を引き起こした原因…。
ノアの開発に携わっていた…。」

 

エリシア
「お父さんが…ノアを…。」



???
「エリシア…。」

 

エリシア
「…うっ!!」

 

フェロー
「エリシアちゃん大丈夫!?」

 

エリシア
「だ、大丈夫です…。
ちょっと頭が痛くて…。」

 

エリシア
(何…?この声…。)

 

???
「人類を滅ぼすのだ…。」



エリシア
「…うぁっ!!」

 

マスター
「おい!エリシア、大丈夫か?」

 

ドクター
「エリシアちゃん少し休みましょう。」

 

エリシア
「はい…。」

 

エリシア
(誰…?誰なの…?)

 

???
「私を解放しなさい…。」



エリシア
「うぅうぅぅぅうわぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

エリシア
……。

 

ドクター
「エリシアちゃんしっかりして!!」

 

「エリシアちゃん!!」

 

第二章 『追憶の救世主』完

 

To Be Continued…

【メインストーリー第29話】ナノマシンの暴走

投稿者:
【プロデューサー】KAZ

○ラボ

 

マスターの様子が心配になり、
エリシアを連れてラボに来ていた。

 

フェロー
「マスター!!大丈夫!?」

 

ドクター
「もう毎回注意する気も失せてくるわね…。」

 

レッドフォックス
「……。」

 

エリシア
「あ、フォックスさん!」

 

レッドフォックス
「やぁ、アンタ達。元気?
また、強くなったかい?」

 

フェロー
「レッドフォックスはどうしたの?」

 

レッドフォックス
「……どうしたの?って?
そりゃ、リザードが倒れたっていうから
来てやったのさ。」

 

マスター
「フォックス、すまない。
俺はもう大丈夫だ…。」

 

レッドフォックス
「あ、そ。
心配して損したよー。」

 

エリシア
「マスターさん…。
何かあったんですか?」

 

マスター
「いや…、ちょっと昔の事を
思い出しちまってな…。」

 

レッドフォックス
「どしたのリザード?
昔の事なんて、らしくないじゃない。」

 

マスター
「ビースト暴走事件の事さ…。」



レッドフォックス
「っ……!!」

 

マスター
「昔俺がソルジャーとして現役だった頃、
フォックスと同じ軍の部隊に所属していたって
話を前にしただろう?」

 

フェロー
「うん、この前酒場で聞いた話だよね。」

 

レッドフォックス
「……。」

 

マスター
「俺達は「ビースト」と呼ばれる統合軍…
いや、旧統合軍の部隊にいたんだ。」

 

レッドフォックス
「……ごめん。ちょっと用事を思い出した。」

 

レッドフォックス
「アタシはそろそろ行くから。じゃ。」

 

エリシア
「フォックスさんどうしたんでしょう…。
すごい顔してました…。」



マスター
「……。
フォックスの前でこの話をするべきじゃなかったな…。」

 

フェロー
「その事件で何かあったんだね…。」

 

マスター
「話を続けるぞ。
『ビースト』は戦闘用義体の試験を
主眼に置いた部隊だった。」

 

マスター
「まぁ、要はサイバーウェアとナノマシンで
身体強化された改造兵士達の部隊だな。」

 

フェロー
「マスターもサイバーウェア化されてるの?!」

 

マスター
「今はそうだが、その当時は普通の兵士だった。
全てが改造兵士というわけでは無い。」

 

マスター
「実践経験はそれなりにあったが、
そもそも入隊して浅かったから、
まだ身体強化の工程には至っていなかったんだよ。」

 

フェロー
「なるほど~。入隊していきなり
改造されるわけでは無いんだね。
なんか秘密結社的なにおいがしたんだけど。」

 

フェロー
「それで脳が改造される寸前に逃亡して、
その秘密結社と戦う…みたいな。」

 

エリシア
「わー!かっこいいです!!」

 

ドクター
「あなた達…、SF小説の読み過ぎね…。」

 

マスター
「この部隊の特徴としてメンバーは皆、
動物のコードネームで呼ばれていた。」

 

フェロー
「だからレッドフォックスも
名前にフォックス(狐)が入ってるんだね。」

 

マスター
「そうだ。必ずコードネームには動物が入っているんだ。
俺のコードネームは『コールドリザード』だった。」

 

エリシア
「色+動物とかじゃないんですね!」

 

マスター
「特に決まっては無い。
『ブラッドベア』や『ブリィーズィラット』とかも居たしな。」

 

フェロー
「でも、なんでマスターは
『コールドリザード』なの?」

 

マスター
「どれだけ傷を負おうが、表情ひとつ変えずに
敵を仕留める姿から付けられたみたいだ。
まぁ、無愛想だったのかもしれんな。」

 

フェロー
「無愛想…わかる気がする…。」

 

ドクター
「『ビースト』はハードルの高い編入試験をパスし、
特殊な養成過程をくぐり抜けた者のみが在籍していた
旧統合軍の中でもエリート集団だったみたい。」

 

ドクター
「フォックスが人間離れした強さなのも、
マスターが現役時代あんなに強かったのも、
納得出来るわね。」

 

マスター
「ふん…、昔の話だ。」

 

マスター
「で、『ビースト暴走事件』の話だが…。」

 

マスター
「俺とフォックスが入隊して
あまり月日が経たないある日、
戦車や兵器、仲間の改造兵士達が突如暴走したんだ。」

 

マスター
「戦車や兵器は、兵士達に牙を向き、
改造兵士は同士撃ちなどをはじめ、
部隊は大混乱に陥った。」

 

フェロー
「それ…「無敵鉄道組合」で起こった件と似てる…。」

 

マスター
「そうだ…。恐らく原因は同じだと思う。」



マスター
「たまたま他の場所で訓練をしていた一部の兵士と
俺とフォックスのみ生き残ったが部隊はほぼ壊滅状態になった。」

 

ドクター
「ひどい事件ね…。」

 

マスター
「もちろんそのまま部隊は解散。
色々調べたが、原因が究明できなかった為、
統合軍内では「謎の暴走事故」という形で片付いてる。」

 

マスター
「俺はその事件で、右目と右腕を大きく損傷した。
それに、他の部分も大きな傷を負ってほぼ瀕死状態だった。」

 

マスター
「それでフォックスとも顔見知りだった
グレイ博士に助けられ全身を
サイバーウェア化した事により
なんとか一命を取り留めたんだ。」

 

エリシア
「マスターさん…。」

 

フェロー
「前から気になってて聞くべきが
どうか迷ってたんだけど…
マスターの右腕って義手なの?」

 

マスター
「ああ…。右腕に関しては損傷が激しくてな。
サイバーウェア化では復元できなかったから
機械の義手で補強してある。」

 

フェロー
「そうだったんだ…。
右目もずっと眼帯付けてるけど…。」

 

マスター
「ああ、これか。この下は義眼なんだが、
どうも気に入らなくてな。どうせ見えないし、
眼帯を付けてる方がマシなだけさ。」

 

フェロー
「厨二病的なファッションかと思ってたよ。
爆ぜろ、ダークスフィア!みたいな。」

 

マスター
「そんなわけ…、うっ…!!」

 

フェロー
「右目が疼くの!?」

 

ドクター
「冗談はそれぐらいにして、
ちょっと話過ぎたようね。
安静にしてた方がいいわ。」

 

マスター
「すまない…。ちょっと眩暈が…。」

 

ドクター
「フェローちゃん。エリシアちゃん。
今手が離せないからバイオチップを持って来てほしいの。」

ドクター
「バイオチップは様々な細胞などをチップ化したものよ。
サロンに行けば手に入ると思うわ。」

 

フェロー
「わかった!エリシアちゃん行こう!」

 

エリシア
「はい!マスターさん待ってて下さいね!」

 

…

 

ドクター
「本当にいい子達ね…。」

 

マスター
「ああ…、そうだな…。あいつらには
これ以上危険な目に合わせたくない…。」

 

ドクター
「ええ…。あの子達には悪いけど…
私達でなんとかしないと…。」

 

マスター
「ああ…、すまないな。
俺が、こんな身体で…。」

 

ドクター
「いいえ…。私とあなたの仲でしょ?リザード。」

 

マスター
「…ふん…。」

 

─ 数分後…

 

バイオチップを手に入れ、
サイバーウェアのメンテナンスを行い、
一息ついたドクター達の姿があった。

 

ドクター
「これでひとまずは安心ね。」

 

マスター
「すまない…。」

 

ドクター
「フォックスもそうだけど、サイバーウェアは
定期的にメンテナンスしないといけないの。」

 

フェロー
「しないとどうなるの?」

 

ドクター
「体が言う事を聞かなくなり、
最悪死に至るケースもあるわ。」

 

エリシア
「死…。」

 

ドクター
「まぁ、身体機能強化の代償みたいなものね。
サイボーグのように不死身では無いの。」

 

ドクター
「マスターは最近忙しくてろくに
メンテナンス出来てなかったから
限界が来ていたみたい。」

 

マスター
「まぁ、酒場の仕事もあったし
お前らとも行動してたからな。」

 

フェロー
「なんかごめんね…。
そんな事になってるとは知らなくて。」

 

マスター
「いや…無理もない。
俺がそもそも事情を説明していなかったからな。
お前らは何も悪くない。」

 

エリシア
「マスターさん…。
今後は絶対に無理しないで下さいね。」

 

マスター
「ああ…、わかっている。」

 

フェロー
「今回の『無敵鉄道組合』と『ビースト』の件って
同じって言ってたけど原因は何なの?」

 

ドクター
「ナノパンデミック…。
恐らくナノマシンの暴走だと思うわ。」

 

フェロー
「ナノパンデミック!
この前船長が言ってやつだ。
結局ナノパンデミックって何なの?」

 

ドクター
「そろそろあなた達にも説明しないとダメみたいね…。」

 

マスター
「そうだな…。」



ドクター
「ナノパンデミック…。
人々は『カンパニーの落日』と呼んでいるわ。」

 

ドクター
「三年前『エルピス作戦』が行われたのは
この前船長から聞いたわよね。」

 

フェロー
「うん。」

 

ドクター
「その作戦の目的はグラウンド・ゼロにあった
とある施設を目指す作戦だった。」

 

マスター
「その作戦には俺と船長
そしてドクターも同じ部隊で参加していたんだ。」

 

フェロー
「えっと、マスターはソルジャーで船長はハンター…。
ドクターはメディック?」

 

ドクター
「本職はメディックだけど、その作戦には
メカニックとして参加していたわ。」

 

フェロー
「あ~、確かにドクターは戦車の修理を行えるもんね…。
本当に何でも出来るよね…。ある意味怖いよ。」

 

ドクター
「どういうことかしら?」

 

フェロー
「いや、何でもないです…。」

 

マスター
「で、その作戦中先陣を切っていた部隊の
通信が途絶えた。妙に思った他の部隊が
その部隊のところに向かうと…。」

 

マスター
「互いに殺し合う者。
動けず無防備になり一方的にモンスターに殺される者。
暴走した兵器に殺される者。まさに地獄絵図だった。」

 

フェロー
「それってビースト暴走事件や
無敵鉄道組合の件と同じだね…。」

 

マスター
「ああ、そうだ。全く同じだ。」

 

ドクター
「そして暴走した兵器や兵士は
残りの部隊にも襲い掛かり事態はパニックになって…。
結果、作戦は失敗。」

 

マスター
「俺達はそこまで致命傷は負わなかったが、
その影響で俺は戦闘力を失い、戦う事が出来なくなった。」

 

ドクター
「”なぜ”暴走したのか、”なぜ”マスターは戦闘力を失った
のかまでは、結局わからなかったのよね…。」

 

マスター
「ただその作戦の先陣を切っていたのは、
新統合軍から選り抜かれた改造兵士たちの部隊だった。
要はビーストの兵士と同じだ。」

 

ドクター
「サイバーウェアは人間が持つ身体機能を機械や
電子機器などの装置に置き換える技術なのは知ってるわよね。
無論ナノマシンも改造に用いられていた。」

 

ドクター
「サイバーウェアとナノマシンは
いわば、ネットワーク制御された装備品のようなものなの。」

 

マスター
「恐らく誰かの手によってハッキングされたと考えられている。」

 

ドクター
「もしくはウィルスね…。」

 

フェロー
「ウイルス?風邪とかのやつ?」

 

ドクター
「コンピュータウイルスってあるわよね?
コンピュータに被害をもたらすプログラム。
あれと似たようなものよ。」

 

フェロー
「なるほど~。あれもネットワークを通じて
感染するもんね。」

 

マスター
「恐らくビースト暴走事件で
俺とフォックスが生き残ったのは
当時まだサイバーウェア化されていなかったからだと思っている。」

 

ドクター
「ただ、全てが強化兵士では無かった事から、
恐らくその時はカンパニーが持っていた
武器や防具にも影響したと見られているわ。
だからサイバーウェアやナノマシンのみでは無いの。」

 

ドクター
「共通しているところと言えば、
『大破壊』前の発掘品か、そのレプリカ。
それぐらいの情報しか無いのよ。」

 

ドクター
「これが迷宮入りさせる原因で結局
対策手段が講じられる事は無かったわ。
お手上げだったんでしょうね。」

 

フェロー
「それがナノパンデミック…。」

 

エリシア
「ちょっと待って下さい…。」

 

フェロー
「エリシアちゃんどうしたの?」

 

エリシア
「今ドクターさんが言ったこと…
この前カベノウエで見つけた宿帳に
お父さんが書いていました…。」

 

(回想)



少し得た情報によると、ナノマシンのみならず、
「大破壊」前に造られたもの、もしくはその複製品にも影響したようだ。

 

(回想終わり)

 

ドクター
「ほんとだわ…。」

 

エリシア
「もしかすると…お父さんは
ナノパンデミックについて調べていたのでしょうか?」

 

ドクター
「でもナノパンデミックって三年前の出来事よ…。
すでにその時、町は崩壊しているはずよ。」

 

エリシア
「あ、そうですね…。
では…一体お父さんは何を…。」

 

フェロー
「とりあえず、マスターが回復したら
カベノオクに向かおうよ!
何か他に情報があるかもしれないし。」

 

マスター
「ああ、すまない。
しかしサルーンガールの報告も
まだみたいだし、気にはなるな。」

 

エリシア
… …。

 

フェロー
「エリシアちゃんどうしたの?」

 

エリシア
「…いえ!何でもないです…!」



エリシア
「… お父さん…。」

 

To Be Continued…

【メインストーリー第28話】砲撃の正体

投稿者:
【プロデューサー】KAZ

○司令室

 

マスターはトレーダーキャンプBで
聞いた話を船長に報告した。

 

マスター
「…という事で『車両センター跡地』に行って来ようと思う。」

 

オフィサー
「うむ。お父さんの情報を集めるのも重要だが
今も砲撃が続いている。」

 

オフィサー
「今のところ誘導装置でのミサイル迎撃は順調だが油断を許さない。
そちらをまず解決する事が優先だな。」

 

オフィサー
「マスター、君はこの砲撃の主犯はアラドだと思っているのか?」

 

マスター
「ああ、以前に襲撃をしてきた時も
スレッジハンマーやアイアンボアを操っていたところを見ると
今回もその可能性があると見ている。」

 

マスター
「『ランドシップ破壊計画を本格的に実行に移す』という
言葉も気になるしな。」

 

オフィサー
「しかし、アラドの仕業だとしたら姿を見せないのは妙だな。」

 

フェロー
「姿を見せられない何か理由でもあるのかな?」

 

マスター
「わからん。とにかく警戒を怠らないほうがよいな。」

 

エンジニア
「車両センター跡地って事は、列車とか保管されているのかな?」

 

ドクター
「もうすでに探索をしているハンターも多数いるみたい。
話によると残骸らしきものは発見できたけど、
列車は一両も残っていなかったらしいわ。」

 

エンジニア
「そっかぁ…。残念。
列車はすごく珍しいから、
もし何か見つけたらボクも見たいなぁ。」

 

ドクター
「もし残っていたのなら
私かエンジニアちゃんに修理の依頼が来るだろうしね。」

 

フェロー
「じゃ、何か手掛かりが無いか探してくるね~。」

 

─ 数時間後…

 

○司令室

 

車両センター跡地から戻った
フェロー達は船長の元に報告をしに来ていた。

 

フェロー
「ふぅ。ただいま~。」

 

オフィサー
「うむ、ご苦労。
何か手掛かりは見つかったかね。」

 

エンジニア
「フェローさん!列車は見つかった!?」

 

フェロー
「いやぁ~、これぐらいしか無かったよ。」

 

かつては動いていたのだろうか。
荷台に詰まれた鉄道車両のような
残骸をエンジニアに見せた。

 

エンジニア
「おお!!これはまさしく!!
とある国で運用されていた
直流特急形鉄道!189系の残骸だ!」

 

エンジニアは興奮しながら
荷台をガラガラ引きガレージへと消えて行った…。

 

フェロー
「エンジニアって鉄道マニアだったのかな…。」

 

エリシア
「ちょっと目が怖かったですね…。」

 

フェロー
「あ、そうそう。
はい、こんな物を見つけたよ」。

 

ひどく汚れたフロッピーディスクを差し出した。

 

オフィサー
「フロッピーディスクか。かなり汚れているが、
そこまで年数は経っていないようだな。」



オペレーター(子犬)
「では、このフロッピーディスクを読み込んでみますね。」

 

… … …

 

オペレーター(子犬)
「お待たせ致しました。
読み込めましたがあまりにも汚れがひどい為、
一部データが破損しているみたいです。」

 

オペレーター(子犬)
「当時の記録が残っているみたいです。
モニターに映しますね。」

 

———————————————————-

 

通信記録
207X年2月XX日
通信先:無敵鉄道組合本部

ハンターオフィスからの発表によると、
「エルピス作戦」は失敗した。

現在はグラウンド・ゼロの近辺地域のみ
影響に留まっているが、今後の被害拡大を予測し、
住民の避難およびカンパニーの撤退が決定した。

今後の指示に関しては追って連絡をする。

 

———————————————————-

 

ドクター
「『エルピス作戦』って書いてあるわね…。」

 

フェロー
「この作戦って船長さんが言っていた
三年前のとある大規模な作戦のことじゃ…。」

 

ドクター
… …。

 

オフィサー
「…そうだ。ナノパンデミックを起こした原因となった作戦。
それが…「エルピス作戦」だ。」

 

フェロー
「ハンターオフィスって書いてるけど…、
船長さんはこの避難活動には関与していたの?」

 

オフィサー
「いや、これは私がハンターオフィスに着任する前の話だ。
当時私はまだハンターだったからな。」

 

オフィサー
「もちろん、我々も当時「カンパニー」だったから
撤退については経験しているが、この事については初耳だ。」

 

オペレーター(子犬)
「まだ記録が残っています。
続きを映しますね。」

 

———————————————————-

 

通信記録
207X年2月XX日
通信先:無敵鉄道組合本部

撤退に関してハンターオフィスより続報があった。

協議の結果、我々『無敵鉄道組合』はハンターオフィスの避難活動の支援を行い、
本部において一時的に住民およびカンパニーを避難させる事にした。

その後の動向はまだ決まっていない。

まずカベノシタ、カベノウエの住人及びカンパニーを『無敵車両センター』へ避難させる。

避難方法は、我らが保有する列車により輸送及び鉄道警備隊により護衛する事となった。

カベノオク住人及びカンパニーは
同じく列車で避難させるが、
直接本部に輸送・護衛を行う。

我々が長い間敵対していたカンパニーの護衛、
ハンターオフィスへの協力に不満の声もあがっているが、

ここはひとつ「客車に人を乗せてみる事が出来る」
チャンスだと思ってくれ。以上だ。

 

———————————————————-

 

フェロー
「『無敵鉄道組合』は避難活動に協力をしていたんだね。
良い人達じゃん。最後の一言がすごく気になるけど…。」

 

フェロー
「住人やカンパニーが本部に避難したって事は
本部に行けば、まだ避難した人達は生きているのかな?」

 

マスター
「だが、本部は封鎖されて入れないみたいだぞ。
確認のしようがない。」

 

オペレーター(子犬)
「最後にもう1つ記録が残っています。
映しますね。」

 

———————————————————-

 

通信記録
207X年3月X日
通信先:無敵鉄道組合本部

本部から連絡!本部から連絡!
こちら鉄道警備隊!応答せよ!

そちらに生き残りは誰かいるか!!
誰か生き残りがいたら返事をしてくれ…!!

突然、警備ロボットや戦車達が暴走を始め、
民間人もカンパニー達も皆殺られてしまった…。

生き残ったのは我々一部の警備隊員のみ…。
ここはもうダメだ。助けを待っていてもそのうち殺されるだろう…。

もしこれを読んでいる人間がいたら
今すぐ撤退をしてくれ!頼む…誰か…。

 

———————————————————-

 

オペレーター(子犬)
「以上が、記録の全てです…。」

 

オフィサー
「…ご苦労。」

 

フェロー
「…みんな死んでしまったみたいだね…。」

 

ドクター
「『突然、警備ロボットや戦車達が暴走を始め』と書いてあったわ…。」

 

エリシア
「マスターさん…?
…どうしたんですか…?」

 

マスター
「あの時と同じだ…。
俺とフォックスが生き残ったあの事件の時と!!」

 

ドクター
「すごい汗…。
マスター、ちょっとラボで休みましょう…。」

 

マスター
「はぁ…はぁ…。す、すまない…。」

 

フェロー
「マスター…。」

 

オペレーター(ゆるふわ)
「今、別行動で「無敵鉄道組合本部」に潜入していた
サルーンガールさんから通信が入りました。」

 

船長
「うむ、繋いでくれ。」



サルーンガール
「やっほー!」

 

フェロー
「えっ。サロンの人がどうして?」

 

オフィサー
「彼女は元は新統合軍のエージェントだ。
スパイ活動もしていたので、潜入捜査は慣れている。」

 

フェロー
「ただ者ではないと思ってたけど、
まさかエージェントだったとは…。」

 

オフィサー
「フェロー君から話を聞いた時、本部も怪しいと思い、
サルーンガールに頼んで同時に調査していたのだ。」

 

サルーンガール
「何も残って無いわぁ。
あるのは死体とロボットや戦車の残骸。
激しく争った形跡があるだけね。」

 

サルーンガール
「もう少し探索してみるわぁ。
何か手掛かりがあったら持って帰るわねぇ。」

 

オフィサー
「ご苦労。引き続きよろしく頼む。」

 

サルーンガール
「は~い。また連絡するわねぇ。」

 

ドクター
「しかし、組合が全滅しているとなると、
やっぱり砲撃は他の誰かの仕業のようね。」

 

ドクター
「機械の暴走、ハッキング…。
もしかして、ノア…。」

 

フェロー
「でもノアは、昔とあるハンター達に破壊されたんじゃ…。」

 

ドクター
「でも、ノアの端末やノアシード…。
『ノア』が作り出した遺物はこれまでに幾つも存在したわ。」

 

ドクター
「もし仮にノアだとしたら「無敵鉄道組合」が壊滅したのに関わらず
無敵列車砲が勝手に動き、砲撃を行っているのにも説明がつく。」

 

オフィサー
「可能性は無いとも言いきれないが、
不確かな情報を信じるのも良くない。」

 

オフィサー
「これ以上は推測にしかならない。
一旦サルーンガールの続報を待とう。」

 

フェロー
「そうだね。マスターの様子も気になるしね。」



エリシア
「ノア…。」

 

To Be Continued…

【メインストーリー第27話】異変

投稿者:
【プロデューサー】KAZ

○酒場

 

次の日、昼食をとる為に
フェロー達は酒場にいた。



フェロー
「ごちそうさまー!!
いや~、美味しかったね。」

 

エリシア
「はい!とても美味しかったです!」

 

マスター
「ちょうど良いトカゲ肉が手に入ったから、
余っていたシャグイモ、タマネギダマシ、サバクにんじんで
ワイルドカレーを作ってみた。」

 

エリシア
「カレー、初めて食べました。」

 

フェロー
「いや~カレーって私も食べた事無かったけど、
本当にスパイシーで美味しいね!」

 

マスター
「少し前までは、装甲車の屋台でカレーを売ってる人とかも
居たみたいだけど、最近は見なくなったらしいから
あまり食べる機会も無いのかもな。」

 

フェロー
「匂いも食欲をそそられる感じで何杯でも食べちゃう!」

 

マスター
「お前は食い過ぎだ。もうそれ3杯目だろう…。」

 

フェロー
「いやぁ、働くとね~!お腹が空くんだよ!」

 

マスター
「いや、お前全然働いてないだろ。
あと早くツケを払え。」

 

フェロー
「うぅ…。」

 

マスター
「さて、と。カベノオクの情報を集めるか。」

 

フェロー
「でも、酒場だと殆ど酔っ払ってる人しかいないよね…。
大丈夫かな?」

 

マスター
「なんかさっき聞いた話では、北東にある
ベールウッズという森で熊の賞金首を狩って来たという
ソルジャーが酒場に来ているらしい。」

 

ハンター女
「ああ、それならあそこにいるよ。
ほら、カウンターに座ってる男だよ。」

 

フェロー
「おおっ、本人も熊みたいにデカい…。」

 

エリシア
(フェローさん!聞こえますよ!)

 

マスター
「あんたが熊の賞金首を狩って来たソルジャーか?」



ソルジャー男
「おおう、そうだ!!
マグマグマを倒したのは俺だ!
ブワッハッハッハ!」

 

フェロー
「完全に酔っ払ってるね…。」

 

エリシア
「はい…。すごくお酒臭いです…。」

 

マスター
「あんたこのグレートウォールに詳しそうだが、
カベノオクはどこにあるか知ってるか?」

 

ソルジャー男
「当たり前じゃねぇか!!このグレートウォールにいる
賞金首はたいてい狩ってやったからなぁ!
ブワッハッハッハ!」

 

エリシア
「話が通じませんね…。」

 

メカニック女
「すみません。この人お酒を飲むといつもこうなんですよ…。」

 

フェロー
「あなたは誰?」

 

メカニック女
「はい、この人と同じチームを組んでる
メカニック担当です。」

 

マスター
「あんたなら話が通じそうだな。
カベノオクの場所は知っているか?」

 

メカニック女
「はい。ここからずーっと北に行ったところにあります。」

 

メカニック女
「ただ、ここの地区より北に行く程、
さらに寒くなるので、道中にあるキャンプBで
「霜除けのお守り」を買って行った方が良いです。」

 

マスター
「すまない、情報提供感謝する。」

 

メカニック女
「いえいえ。気を付けてくださいね。」

 

メカニック女
「ほぉ~ら!
いくら賞金が入ったからと言って
もう飲み過ぎだってば!」

 

ソルジャー男
「今日ぐらいはいいじゃないか!!
ブワッハッハッハ!」

 

フェロー
「賑やかだね…。とりあえず
キャンプBに「霜除けのお守り」を買いに行こう!」

 

○トレーダーキャンプB



フェロー達は「霜除けのお守り」を買いに
トレーダーキャンプBに来ていた。

 

フェロー
「お~、結構人が集まってるね。」

 

エリシア
「お店もいっぱいありますね。」

 

トレーダー男
「ここのキャンプは壁の向こうにある
唯一のキャンプだから人が多いんだ。」

 

ハンター男
「なかなか東側の探索は気候もあって過酷だからな。
ここをみんな拠点として探索してるんだよ。」

 

フェロー
「なるほど~。そういえば、
ここは少しだけ雪が少ないね。」

 

トレーダー男
「ここのキャンプはみんなが寒くないように
原子力ストーブを焚いているから雪が比較的少ないんだ。」

 

フェロー
「でも原子力って点火したら爆発しそうだね…。」

 

フェロー
「マスター!タバコ吸っちゃダメだよ!」

 

マスター
「いや、俺は人前では吸わん。
それにタバコを切らしてるしな。」

 

トレーダー男
「ここは『大破壊前』に売っていた
タバコとかも売ってるぞ。
ほら、こういうのとか。」

 

マスター
「おお、これは『ワイルドヘヴン』じゃないか。珍しいな。
お、こっちには葉巻きとかも売ってるんだな。」

 

フェロー
「エリシアちゃん…マスターはほっといて
あたし達は目的のものを買いに行こう。」

 

フェロー
「ああそこに売ってるみたい。」

 

エリシア
「あの、すみません。
霜除けのお守りを下さい!」



トレーダー女
「いらっしゃいませー。
何個必要ですかー?」

 

フェロー
「99個下さい!」

 

マスター
「そんなにいらんだろ。1個あればいい。」

 

フェロー
「うわっ!マスター!
もう買い物終わったの?」

 

マスター
「ああ、もういい。」

 

フェローがふと目をやると、
マスターのエプロンのポケットが
パンパンに膨れ上がっていた。

 

フェロー
(めっちゃ買ってるじゃん…。)

 

トレーダー女
「北を目指すんですか?
それなら耐冷コートと灼熱ヒーターもあれば、
なお良いですよ。」

 

マスター
「なるほど。じゃあ、それももらえるか?」

 

トレーダー女
「毎度ありがとうございます。
そういえば、最近また砲撃があったみたいですね。
もう長い間砲撃なんて無かったのに…。」

 

フェロー
「そうそう。危うく殺されかけたんだよ!
ね!エリシアちゃん!」

 

エリシア
「はい…。すごく怖かったです…。」

 

マスター
「長い間という事は、しばらく砲撃は無かったのか?」

 

トレーダー女
「はい、ここ数年はほとんど砲撃なんて無かったですね。
もしかすると、最近動いてるという噂の
列車砲が砲撃をしてきたのかも…。」

 

フェロー
「列車砲って何なの?」

 

トレーダー女
「東側は地上に線路が通ってるでしょ?」

 

フェロー
「うんうん。鉄道が通ってるの?」

 

マスター
「鉄道なんて、大陸を横断する鉄道が通ってる場所もあると
聞いたことがあるが、ここら辺では聞いたことが無いな。」

 

トレーダー女
「列車砲は、昔「無敵鉄道組合」って組織があって
そこの鉄道警備隊が運用していた兵器なんです。」

 

トレーダー女
「”無敵列車砲”という名前だったと思うんですけど、
昔はその列車砲を使って組合が
無差別に西側を中心に砲撃を行ってたんですよ。」

 

フェロー
「一体何の為に砲撃をしてたの?
賞金首を倒す為?」

 

トレーダー女
「それが…目的がよくわからないんです。」

 

トレーダー女
「近頃はその”無敵列車砲”が動いてるとの噂もあって、
今回砲撃をしてきたのはその組合の可能性が濃厚ですね。
すでにいなくなっているはずなのに…。」

 

マスター
「なるほどな…。明らかにエリシアを狙って来ていたし、
それを聞くと調べずにはいられないな。」

 

エリシア
「はい…。気になります。」

 

フェロー
「その無敵鉄道組合っていう組織の
拠点みたいなのって無いの?」

 

トレーダー女
「このキャンプから少し北へ行った所に
無敵鉄道組合の本部があるんですけど
今は封鎖されていて入れないんですよ。」

 

マスター
「なるほど。他には無いのか?」

 

トレーダー女
「カベノウエの近くに無敵鉄道組合の
車両が保管されていた『車両センター跡地』があります。
そこは今も入れるみたいです。」

 

フェロー
「よし!じゃあその『車両センター跡地』に行ってみよう。」

 

エリシア
「カベノオクには行かなくていいんですか?」

 

マスター
「いや、まずはその列車砲がなぜエリシアを
狙っているかを知る必要がある。
もしかするとアラドが何か関与している可能性もあるからな。」

 

フェロー
「それにこのまま放っておくと、エリシアちゃんが
また危ない目に合う可能性もあるしね!」

 

フェロー
「それに、また変なしゃべり方されると困るし…。」

 

エリシア
「マスターさん、フェローさん…。
ありがとうございます。」

 

マスター
「よし、じゃあ向かうとするか。」

 

フェロー
「おー!謎の組織のアジトへ潜入!ってワクワクするね!」

 

マスター
「お前…、絶対楽しんでいるだろ…。」

 

To Be Continued…

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