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【メインストーリー第42話】心が動くとき

○牢獄



白百合
「こんな事をしておいて大変厚かましいのですが、
困ったことがありまして…。
お願いしたいのですが宜しいでしょうか。」

 

フェロー
「ん?困ったこと?」

 

白百合
「はい…。
ここから南東にある『サル島』を拠点としている
サルモネラ軍団はご存じでしょうか?」

 

フェロー
「『サル島』の事は初めて聞いたけど、
サルモネラってあの銃とか持った猿のモンスターだよね?」

 

紅葉
「そうですわ。
他にはボクサーのような容姿の者もいますが、
それらをまとめて『サルモネラ軍団』と言いますの。」

 

マスター
「そのサルモネラ軍団がどうしたんだ?」

 

白百合
「近頃フォートポート付近の海域で
頻繁に海賊行為を行っているのです。」

 

マスター
「そう言えばロウが南東に住むサルモネラの野郎が
たまに海賊行為をしていたとか言ってたな。」

 

フェロー
「頻繁に、という事は最近はそんなにひどいの?」

 

紅葉
「ひどいってレベルじゃないですわ。
漁がまともに出来なくて、皆困っていますの。」

 

マスター
「そこまでか…。」

 

フェロー
「その猿達も漁をすればいいのにね。」

 

ドクター
「ロウも前に言っていたけど、
手間を掛けるなら”獲ったものを奪った方が早い”って
考えでしょうね。」

 

フェロー
「バナナをあげれば襲わなくなるかな…?」

 

マスター
「それで解決するならこんなに苦労していないだろ…。
で、俺達にどうして欲しいんだ?」

 

白百合
「島に行って辞めてほしいと
交渉をして頂きたいのです。」

 

フェロー
「いやいやいや…。
そもそも言葉通じるの?!」

 

白百合
「下っ端のサルモネラは言葉が通じていないようですが、
ボスの『サルモネラ元祖2世』というモンスターが
どうやら人間の言葉を話せるようです。」

 

フェロー
「な、なるほど…。
下っ端は言葉が通じないから
襲われたら倒さないといけないのね…。」

 

マスター
「GORO’Sには頼れないのか?」

 

白百合
「GORO’Sさんは下手にサルモネラ軍団に手を出すと
組織レベルでの対立になり兼ねず、
更に悪化する可能性がある為、慎重になっています。」

 

マスター
「なるほど…。でもそれなら、
元新統合軍のお前らなら腕も確かだろうし、
交渉なら出来るだろ。なぜ、俺達を頼るんだ?」

 

紅葉
「それが…。
サルモネラ軍団が海の底に沈んでいた『摩伽羅』をサルベーシして
独自で改造をし、『猛嶺羅(モネラ)』という兵器を
建造しているとの噂も聞いておりますの。」

 

マスター
「摩伽羅…、巨大戦艦か。
少し厄介だな。」

 

白百合
「はい。わたくし達は白兵戦にはそれなりに習得しておりますが、
戦車戦や戦艦が相手となると、歯が立ちません…。」

 

マスター
「なるほど、その戦艦が邪魔をしてきたら、
ロウに助けて欲しいという事か。」

 

白百合
「はい、その通りです。
もちろん、わたくしと紅葉も同行致しますわ。」

 

ドクター
「話はわかったわ。
では、早速準備をして向かいましょう。」

 

マスター
「そうだ。念の為俺の武器を用意してくれないか?
今武器を持っていないんだ。」

 

白百合
「わかりました。
どのような武器が宜しいでしょうか?」

 

マスター
「パイルバンカーをお願いしたい。
無ければ鉤爪やジャマダハルのような武器でもいい。」

 

白百合
「わかりました。ご用意致します。」

 

マスター
「助かる。」

 

フェロー
「ロウを起こさなくていいの?」

 

マスター
「放っておいたらそのうち起きるだろ。」

 

ロウ
「ムニャムニャ。グゥ…。」

 

─ 数時間後…

 

○海



フェロー達は準備をし、
「南東部にある『サル島』に向かっていた。」

 

ロウ
「オラァッ!猿の野郎を
ぶっ殺してやるぜェ!!」

 

ドクター
「いっぱい寝たから元気ね…。」

 

フェロー
「ロウ~!いきなり手を出しちゃダメだよ~!
向こうから攻撃してきたら応戦するんだよ~!」

 

ロウ
「ンだよォ…しゃらくせェ。
わかったよ。」

 

白百合
「前方にサル島が見えてきました。」

 

紅葉
「お姐様!!あれを!!」



マスター
「巨大戦艦…摩伽羅、
いや、猛嶺羅か。本当に作っていやがった。」

 

フェロー
「砲台がこっちを向いた!!
撃ってくる気だよ!!」

 

ドウンッ!ドウンッ!ドウンッ!ドウンッ!ドウンッ!

無数の主砲から繰り出されたロウの砲撃が
猛嶺羅の船体に集中砲火を浴びせる。

 

ロウ
「しゃらくせェ!先手必勝ゥゥ!!
オレに先手を打つなんて百年はえェんだよ!」

 

フェロー
「あちゃ~。やっちゃった…。
まぁ、もういいや!ロウやっちゃって!」

 

ロウ
「お~う。
オラオラァ!!吹っ飛べやァ!」

 

ドウンッ!ドウンッ!ドウンッ!ドウンッ!ドウンッ!
バラララララッ!!!

無数の主砲と副砲から繰り出されたロウの砲撃が
容赦なく猛嶺羅の船体に浴びせる。

 

ゴオゥンッ!!
猛嶺羅も負けじと砲撃をロウに向けて放つが、
ロウはさらりと避けてみせる。

 

ロウ
「ッハッハッハ!!!
ど~こ狙ッてんだァ?オイ。
ちゃんと狙わねェと当たんねェぞ!」

 

ドウンッ!ドウンッ!ドウンッ!ドウンッ!ドウンッ!

無数の主砲から繰り出されたロウの砲撃が
船体に集中砲火を浴びせ、猛嶺羅の動きが止まる。

 

マスター
「ここはロウに任せても大丈夫だろう。
俺達はこのまま上陸するぞ。」

 

白百合
「はい、参りましょう。」

 

○サルモネラ島



フェロー
「ふぅ、上陸上陸!」

 

マスター
「さてと、その『サルモネラ元祖2世』とやらの
ボス猿はどこにいるんだ?」

 

紅葉
「恐らくこの島の頂上にいますわ。」

 

フェロー
「ひえぇ…。頂上か~。
頑張って行こう!!」

 

─ 数分後…



フェロー
「も~むり~、つ~か~れ~た~。」

 

マスター
「早いな、おまえ。
帰ったら特訓してやる。」

 

フェロー
「ひぇ~、勘弁して~…。」

 

白百合
「…!! 敵っ!」

 

茂みから突然
サルモネラガンナーが飛び出した。

 

サルモネラガンナー
「ウキキーッ!!」

 

白百合
「はあっ!!」

 

白百合が刀を抜くと
サルモネラガンナーの体は真っ二つになった。

 

フェロー
「す、すごい…。
居合い切りだ!!」

 

白百合
「紅葉、後ろです!!」

 

紅葉の後ろの茂みから
サルモネラファイヤーが顔を出した。

 

紅葉
「不意を突こうとはこざかしいっ!」

 

紅葉は背中に下げた自分よりも
大きな薙刀を振りまわすと
サルモネラファイヤーの首が飛んだ。

 

紅葉
「ふぅ…。けがらわしいですわ。」

 

マスター
「二人とも腕は確かだな。恐れ入ったよ。」

 

紅葉
「ふんっ。当然ですわ。」

 

白百合
「紅葉、今の動き0.3秒程無駄がありましたよ。
精進しなさい。」

 

紅葉
「は、はい…。お姐様。」

 

フェロー
「白百合ちゃんは紅葉ちゃんに厳しいね…。

あ、そうだ!白百合ちゃんって長いから
『シロちゃん』って呼んでいいかな?」

 

紅葉
「…なっ…!!」

 

白百合
「し、シロちゃん!?」

 

フェロー
「えっ、ダメ~?可愛いと思うんだけど。」

 

白百合
「…ま、まぁ、宜しいですわ…。」

 

紅葉
「お、お姐様…。顔が真っ赤ですわ。」

 

白百合
「うっ、うるさい!!
ほ、ほら!先を急ぎますよっ!」

 

ドクター
「照れてる…。可愛い一面もあるのね。」

 

─数十分後…

 

マスター
「そろそろ頂上だな。」

 

フェロー
「…疲れた…。
あっ!あのでかい猿がそうじゃない?
横になんか小さい猿もいるけど…。」

 

白百合
「貴方がサルモネラ軍団のリーダーですか?」



サルモネラ元祖2世
「ふぅ……。
フォートポートのヤツらか。何の用だ?」

 

マスター
「フォートポートの人達がお前達の
海賊行為で困っている。すぐにやめてくれ。」

 

サルモネラ元祖2世
「何かと思えばそんな事か…。」

 

マスター
「そんな事って…お前…!!

 

サルモネラ元祖2世
「ワシ達もこのご時世生きることに
精一杯なんだよ。だから海賊行為は致し方ない。」

 

フェロー
「だからと言って人の物を
取るのは違うんじゃないかな。
みんな苦しい中、支え合って精一杯生きてるんだよ!」

 

サルモネラ元祖2世
「ふぅ……話にならんな。
じゃあ、こうしようじゃねぇか。…先生!」

 

サルモネラ元祖2世の隣にいた
用心棒のような風格の猿の老子に
声をかけた。



サルモネラ先生
「ん……。」

 

フェロー
「…先生?」

 

サルモネラ元祖2世
「先生と手合わせしてもし勝つ事が出来たら
海賊行為をやめてやろうじゃねぇか。

但し、おまえ達が負けた場合は、海賊行為はやめない。
そして定期的にワシ達に食糧を献上する。
どうだ?悪くない話だろう。」

 

マスター
「くそ…。ふざけるのもいい加減にしろ…。」

 

白百合
「条件は最悪です。
ただ、後にはひけませんね、ここは私が。」

 

サルモネラ元祖2世
「先生、こいつらを
ちゃちゃっとお願いしますよ。」

 

サルモネラ先生
「あんた方にゃ恨みはないが…。
これも仕事だ。お覚悟!」

 

白百合
「いざ、勝負ッ!!連ね斬り!!」

 

白百合はサルモネラ先生に向かって
瞬時に移動し、連続攻撃を繰り出した。

 

サルモネラ先生
「甘いな。」

 

サルモネラ先生はヒラリと攻撃をかわし…

 

サルモネラ先生
「ひとつ! ふたつ! みッつ!」

 

三回の連続斬撃を繰り出し、
白百合の体にヒットさせた。

 

白百合
「ぐあッ…!!」

 

サルモネラ先生
「ホッホッホ。この程度かね。
…峰打ちじゃよ、安心せぇ。」

 

紅葉
「お姐様…!!よくもお姐様を…!!」

 

マスター
「待て…。俺が行く。」

 

紅葉
「でも…!!」

 

マスター
「俺に任せろ。
身体は昔のようにはいかないが
まだ心は腐っちゃいない。」

 

フェロー
「マスター…。なんかかっこいい…。」

 

マスター
「行くぞ…!!」

 

マスターはサルモネラ先生に向かって
瞬時に移動し、後ろに飛び込み回り込んだ。

 

サルモネラ先生
「…何ッ!?」

 

マスター
「くらえ!!」

 

マスターは両手に装備したパイルバンカーを
サルモネラ先生の身体に叩き込んだ!

 

サルモネラ先生
「…ぐはっ!!」

 

マスター
「…次ッ!!」

 

後方に勢いよく跳びながら弧を描き、蹴りを放った!
サルモネラ先生の身体が宙に舞う。

 

サルモネラ先生
「…かはッ!!」

 

フェロー
「…す、すごい…。」

 

マスター
「トドメだッ!!」

 

宙に浮いたサルモネラ先生を目掛け
腹に飛び込みパイルバンカーを叩き込んだ!

 

サルモネラ先生
「…ッ!!」

 

サルモネラ先生の身体が地面に叩きつけられ、
ピクリとも動かなくなった。

 

サルモネラ元祖2世
「せ、先生…!!」

 

マスター
「はぁ…はぁ…。」

 

紅葉
「…お見事ですわ…。」

 

マスター
「…ふん。俺の勝ちだな。
約束は守ってもらうぞ…。」

 

サルモネラ元祖2世
「…チッ。わかった、約束は守ろう…。」

 

フェロー
「やった~!!アタシ達の勝ち~!!」

 

紅葉
「お姐様!!大丈夫ですか!?」

 

白百合
「問題ございません…。
この人達に頼んで本当に良かったわ…。」



ロウ
「お~う。お前ら怪我ねェか?」

 

フェロー
「ロウ!!猛嶺羅は倒したの!?」

 

ロウ
「ったく、しゃらくせェ。ザコのクセによォ。
デカイ、硬いだけでクッソ弱かったぞ。」

 

マスター
「ふっ…。さすがだな。」

 

ドクター
「さ、用も済んだし帰りましょうか。」

 

─数時間後…

 

○フォートポート



白百合
「…というわけで、この方々が
サルモネラ軍団と交渉して下さり、
もう海賊行為はしないと約束取り付けましたわ。」

 

GORO’S
「やるじゃねぇか。
おれ達はアイツらに下手に手をだせねぇから
本当に助かった。ありがとよ。

あと、乱暴にしちまってすまねぇな。」

 

マスター
「大丈夫だ。疑いが晴れて良かったよ。」

 

ロウ
「俺は負に落ちねェけどな。」

 

ドクター
「まぁまぁ…。」

 

マスター
「白百合、改めて聞くが、
俺達と一緒に来ないか?」

 

白百合
「はい。今回のご恩もありますし、
ご一緒させて頂きます。」

 

GORO’S
「お前達がいない間は、
おれ達が住人を守ってやる。
任せておけ。」

 

フェロー
「紅葉ちゃんはどうする?」

 

紅葉
「…紅葉はお姐様が行くなら一緒に行きますわ。」

 

マスター
「決まりだな。
今日はもう遅いし明日ビーチタウンに戻ろう。」

 

白百合
「そうですね。宿泊の手配を致しますわ。」

 

ロウ
「よっしャ!!今日は飲むか!」

 

フェロー
「飲酒運転にならないように
ほどほどにしときなよ~…。

そういえば、お腹空いたね~…。」

 

白百合
「近くに酒場があります。
そこで夕食を取ることにしましょう。」

 

GORO’S
「今日は俺達がおごってやるぜ。
ほんのお礼がわりだ。」

 

フェロー
「やったー!!宴会だ!宴会だ!!」

 

マスター
「あまりはしゃぐんじゃないぞ。

…ッ!!」

 

ドクター
「マスター大丈夫!?」

 

マスター
「ああ…。すまない。
ちょっと無理をし過ぎたようだ…。」

 

ドクター
「無理しすぎよ。
でも、格好良かったわ。
相変わらず強さは健在ね。」

 

マスター
「ふっ…。ありがとよ。」

 

To Be Continued…

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