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【メインストーリー第62話】巨大な影

〇フロータシティ

 

 

他地方に向かうクルー達と別れ、

フェロー達は南へ向かう為の対策を練っていた。

 



フェロー

「う~ん…。地図を見る限り、

南側に行く為にはレイクブリッジを渡る以外ない感じだね~。」

 

 

 

マヤ

「橋には新統合軍のゲートが作られているって言ってましたけど…。

今は通れるのでしょうか…。」

 

 

 

マスター

「行ってみない事には何とも言えんな。」

 

 

 

紅葉

「橋に向かう為にはフロータシティの東側に広がる

砂漠地帯を横切る必要がありますわね。」

 

 

 

フェロー

「ちょーっと待っててね。

ふむふむ…。

 

あ、あった!」

 

 

 

マリー

「ん~?何を調べてるの?」

 

 

 

フェロー

「モンスターのデータベースっ!

 

えーっと、その砂漠には『黒角鮫』と呼ばれている

体色が黒いインペイラーの亜種、

ブラックホーンって名前の賞金首が出現するみたい。

…危険度は★6だね。」

 

 

 

マヤ

「★6…。とても危険ですね。

私たちだけで倒せるかどうか…。」

 

 

 

フォックス

「……ふむふむ……。

…おもしろそうじゃあないか。」

 

 

 

マスター

「おいおい……。お前1人なら良いが、

皆を巻き添えにするわけにはいかないだろう。」

 

 



フォックス

「最近リザードは真面目すぎて

つっまんないなー。

あー…つまんないつまんない。」

 

 

 

マスター

「…お前なぁ…。」

 

 

 

フェロー

「やぁやぁ…、二人とも落ち着いて…。」

 

 

 

紅葉

「では、ホバークラフトを装備した戦車や

ミズグモを使って海を横断するのはいかがかしら?

紅葉は海に落ちる自信がありますけど…。」

 

 

 

マヤ

「先程の町の方のお話ですと、湖の水が放射線物質によって

汚染されているそうなので、誤って湖に落ちると

被曝する可能性がありますよね…。」

 

 

 

フェロー

「えーっと…。調べたところ、

最近この辺りの湖で『タールゴン』に似た

ヘドロ状のモンスターも発見されているみたいだね。

まだ詳細は不明みたい。」

 

 

 

マリー

「まっ、まじで…。

タールゴンってあのヘドロみたいなモンスターだよね…。

き、きもちわるぅぃ~…。」

 

 

 

マスター

「突然襲われて湖にでも沈められたら危険だな…。」

 

 

 

フェロー

「う~ん…。まさに八方塞がりだね…。」

 

 

 

紅葉

「まだ砂漠を横断してレイクブリッジに向かった方が

安全かもしれませんわね…。」

 

 

 

マスター

「そうだな。そっちの方がまだ安全そうだ。

道中黒角鮫に遭遇しないよう、気を付けよう。

マヤ、戦車は持ってるか?」

 

 

 

マヤ

「はい!愛車の『スコーピオン』があります。

が、ちょっと車内に犬(バルドゥール)の匂いがするので

フェローさんはダメかもしれません…。」

 

 

 

フェロー

「ん~…、ダメかも…。」

 

 

 

マスター

「FV101装甲車か。3人は乗れそうだな。

マリーは、モンスターバギーで行くのか?」

 

 

 

マリー

「もちろん!

愛用車の『トムボーイ』で行くよっ!」

 

 

 

マスター

「ふむ…。助手席含めて2人が限界か。」

 

じゃあ、俺とエンジニア、フェローは

売店でレンタルしたティーガーに乗ろう。

 

紅葉とフォックスはマヤの装甲車に乗ってくれ。

マリーはそのまま1人で向かってくれ。」

 

 

 

マリー

「…えっ。あたいだけ1人…。」

 

 

 

フェロー

「お姉ちゃん、ドンマイ…。」

 

 

 

〇戦車内部

 

レイクブリッジに向かう為、それぞれの戦車に乗り込み

砂漠に入るフェロー達。

 

向かう最中ふと、車内の片隅に目をやると

変わらず元気の無いエンジニアがそこにいた。

 

 

マスター

「… …エンジニア、大丈夫か?」

 

 

 

エンジニア

「うん…。」

 

 

 

フェロー

「なんて言うか…その…。

…残念だったね…。」

 

 

 

エンジニア

「…ううん、そうじゃないんだ。

それは何となくだけど、予想はしていたから…。」

 

 

 

マスター

「ん?何か気になることでもあるのか?」

 

 

 

エンジニア

「…レイクランドの南部には

ボクが昔小さい頃に住んでいた家があった場所なんだ…。」

 

 

 

マスター

「そうだったのか…。」

 

 

 

エンジニア

「…うん。孤児院に入る前…かな。」

 

 

 

フェロー

「聞いて良いかどうかわからないけど…。

小さい時に両親を亡くしたって言ってたけど…。」

 

 

 

エンジニア

… …。

 

 

 

フェロー

「…やっぱり聴いちゃいけなかったかな…。」

 

 

 

エンジニア

「ううん、大丈夫…。

 

…ある日、お父さんとお母さんと一緒に

昔住んでいた家からフロータシティまで

買い出しに向かっていたんだ。」

 

 



マスター

「南からフロータシティに…?

随分遠い買い物だな。」

 

 

 

エンジア

「うん…。レイクランドには町がフロータシティしか無いから、

月に数回食料とか必要な物資を買いに行ってたの。

 

その向かう途中…、化け物のような巨大な戦車に襲われたんだ。」

 

 

 

フェロー

「化け物のような巨大な戦車…。戦車系賞金首?

イエローバスタード…かな…?」

 

 

 

マスター

「イエローバスタードというと、

戦車の亡霊の集合体というウワサがあるアレか?

でもアレはスターフォールの砂漠にいるんじゃ…。」

 

 

 

エンジニア

「…わからない。でも…

あの大きさから見て恐らく賞金首だと思う。

 

お父さんとお母さんは…ボクを助けるために…。」

 

 

 

マスター

「…。囮になったのか…。」

 

 

 

エンジニア

「…その後、倒れていたボクをたまたま通りかかった

トレーダーの人が助けてくれて、

フロータシティまで運んでくれたみたい。

その後、孤児院に入ったんだよね。」

 

 

 

フェロー

「…もしかして

技師(エンジニア)になった理由って…。」

 

 

 

エンジニア

「…うん。あ、もちろん前にも話したように

機械をいじるのが好きだったのもあるけど…。

 

いつか自分がその化け物戦車に対抗できる

強い戦車を作るのが目標なんだ。」

 

 

 

マスター

「毎日夜遅くまでガレージで何かしているなと思ったら

戦車を開発してたんだな…。」

 

 

 

エンジニア

「そうだよ。

でもボクは戦車は作れるけど乗れない…。

だから、キミ達の力が必要なんだ。」

 

 

 

フェロー

「もちろん!

ナンバーワン調査員のあたしを頼ってくれていいよ!」

 

 

 

マスター

「お前は戦えないだろう…。

 

当たり前だが、俺も協力する。

絶対に両親の仇を取ろう。」

 

 



エンジニア

「…二人とも…ありがとう。」

 

 

 

〇砂漠地帯

 



ドッォンッ!!    ダンダンッ!!

 

砂漠を進むと何やら爆発音や砲撃音が聞こえてきた。

どうやら他のハンター達がブラックホーンと交戦中らしい。

 

 

フェロー

「おおっ!誰か戦ってるー!」

 

 

 

マスター

「俺達が遭遇しなくて助かったな。」

 



ウォォォォォン!!!!

ダンッ!ダンッ!ダンッ!ダンッ!

 

ブラックホーンは大きな唸り声をあげ、

戦車に何度も執拗に体当たりを繰り返している。

 

 

 

マスター

「…ん?

なんかヤバくないか…?」

 

 

 

紅葉

「おされていますわね。

このままでは戦車が大破してしまうのは時間の問題…。

私たちも加勢いたしますか?」

 

 

 

フォックス

「情けないねぇ… …。

ちょっと遊んでやるか。」

 

 

 

マヤ

「あっ!走行中に飛び出すと危険ですよ~!!」

 

 

注意するマヤの言葉に振り返る事なく、

戦車から飛び出したフォックスは

背中に担いでいた高周波ブレードを抜き

ブラックホーンに向かって一直線に走り出した。

 

 

マスター

「おい!待て!フォックス!!」

 

 

 

フォックス

「アーッハッハッハ!」

 

 

高笑いをしながら飛び上がり体を回転させ、

そのまま勢いに乗りブラックホーンを斬りつけた。

 

スブッシャッ!!

 

大きなうめき声と共に

ブラックホーンの身体が大きく揺らいだ。

 

 

そして、流れるようにブラックホーンの背ビレ目掛けて飛びかかり、

フォックスは左手に持っていた長大な対戦車ライフルを撃ち込んだ。

 

バウンッバウンッバウンッ!!

 

ブラックホーン大きな雄たけびを上げ

そのまま砂の海に沈んでいった。

 

 

マリー

「わお!すごいっ!!

一瞬で倒しちゃったよ~!」

 

 

 

フェロー

「相変わらず恐ろしい人だ…。」

 

 

 

フォックス

「…ふぅ。あー、スッキリした。

見た目よりたいしたことないね、アレ。」

 

 



ソルジャー女

「アンタが来なけりゃ危なかった。

おかげで助かったよ。」

 

 

 

フォックス

「ん?アタシは、別にキミたちを助けたって

思ってなんかいないけど?」

 

 

 

ソルジャー女

「なっ…?!」

 

 



フォックス

「キミたちが助かったのは

結果的にそうなったってだけだ。

 

お楽しみの最中に他人を構ってる

ほど、ヒマじゃあないよ。」

 

 

 

ハンター男

「…ッ!てめェ…。」

 

 

 

マスター

「おいおい…。

もっと言い方があるだろ…。

 

すまん、ちょっと変わったヤツなんだ。

許してくれないか。」

 

 

 

ハンター男

「ふん…。まぁ、いい。

 

オレたちはここ周辺のモンスターを狩っているハンターだ。

見たことが無い顔だが…。お前らは何処から来た?」

 

 

 

マヤ

「私たちはランドシップと呼ばれる

地上艦からレイクブリッジに向かっていました。」

 

 

 

ソルジャー女

「おや、ランドシップの人達かい。噂は聞いてるよ。

レイクブリッジには何しに行くんだい?」

 

 

 

マスター

「俺達はレイクブリッジを渡って南側にある

新統合軍の野営基地に行こうとしているんだ。」

 

 

 

ハンター男

「野営基地…?そんなのあったか?」

 

 

 

ソルジャー女

「ほら、あそこだよ。

戦車の残骸が転がってるところさ。」

 

 

 

ハンター男

「ああ、あの廃墟か。

そういや以前に戦車装備を漁りにいった事があったな。」

 

 

 

紅葉

「今は廃墟ですの?」

 

 

 

ソルジャー女

「随分前からさ。どんな用があるのか知らないが、

たぶんロクなモノは残ってないと思うよ。

 

軍の装備が大量に残ってるって噂が広まって

みんな漁りに行ってたからねぇ。」

 

 

 

マスター

「そうか…。でも、もしかすると何か残ってるかもしれない。

そういえばレイクブリッジのゲートは今どうなってるんだ?」

 

 

 

ハンター男

「今はゲートは何者かに壊されて通れるようになってる。

もちろん軍の人間ももういない。」

 

 

 

フェロー

「壊されてるってのは気になるけど…

とりあえずは南側には渡れそうだね。」

 

 

 

ソルジャー女

「南にはここよりも強い賞金首がいる。

気を付けて行くんだよ。」

 

 

 

マスター

「色々と情報ありがとう。

それじゃ、向かうか。」

 

 

〇レイクブリッジ

 



フェロー

「…と、来てみたものの

やっぱり誰もいないね~。」

 

 

 

マスター

「橋の上で争ったような形跡があるな…。

ナノパンデミックの影響なのか…?」

 

 

 

マリー

「ん~。派手に壊されてるね~。

人間が壊したというより、ドでかい兵器で

壊したようにも見えるね。」

 

 

 

マヤ

「とりあえず、ここに居ても何ですし

南側に渡りませんか?」

 

 

 

紅葉

「そうですわね。参りましょう。」

 

 

それぞれの戦車に再び乗り込み

橋を渡ろうとするフェロー達。

 

 

すると橋の南側から巨大な戦車のような影が

こちらへ向かってくる。

 



マスター

「…ん?

あれは何だ…?戦車…か…?」

 

 

 

エンジニア

… …!!

 

 

 

フェロー

「エンジニア、大丈夫?

体が震えてるよ?どうしたの?」

 

 

 

エンジニア

「あぁ…。あ、あぁ…。」

 

 

 

マスター

「ま、まさか…。」

 

 

その影の正体は前方に大きなブレードを持つ

巨大な戦車型のモンスターだった。

 

自分達をこれ以上行かせないと言わんばかりに

橋の上に立ち塞がる。

 



エンジニア

「こ…こ、こいつがお父さんと…

お母さんを殺した化け物戦車…!!」

 

 

To Be Continued…

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