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【メインストーリー第30話】キャンサー

○司令室

 

その日皆は司令室に集まっていた。
そこには体調が回復したマスターの姿もあった。



オフィサー
「マスター、調子はどうかね。」

 

マスター
「ああ、もう大丈夫だ。心配かけてすまない。」

 

エリシア
「マスターさん、元気になって良かったです!

 

マスター
「心配かけたな、ありがとよ。」

 

フェロー
「そういえば、あれからサロンの人から
何か報告はあったの?」

 

サルーンガール
「あら、呼んだ~?」

 

フェロー
「うわ!もう帰ってきてたの!!」

 

フェロー
「どうだった?なんか手掛かりはあった?」

 

サルーンガール
「そうね~。特に目立ったのもは無かったけど…。」

 

サルーンガール
「しいて言えば、これを拾ったぐらいかしら?
たぶん、ハンターの遺品だと思うけど~。」

 

フェロー
「これ、フェイスマスクかな?
ん?骸骨の模様…?」

 

船長
「… …これは…。」

 

サルーンガール
「あら、船長さん心当たりあるの~?」

 

オフィサー
「『エルピス作戦』の時、
アラドが付けていたものと似ている…。」

 

フェロー
「あれ?アラドってヘルメット被って無かったっけ?」

 

オフィサー
「いや、当時は被っていなかった。
これに似たフェイスマスクを付けていたな。」



レッドフォックス
「それは旧統合軍にあった『ガイスト』と呼ばれていた
亡霊部隊が付けていたマスクだ。」

 

フェロー
「うわっ!!いきなりびっくりした!」

レッドフォックス
「あはは、ごめんごめん。
リザード、調子はどうだい?」

 

マスター
「ああ、もう大丈夫だ。」

 

レッドフォックス
「そっかそっか!
良かった良かった、アハハハ。」

 

フェロー
「あ、そっか。レッドフォックスも
旧統合軍出身だもんね。」

 

マスター
「俺は知らないぞ、そんな名前の部隊。」

 

レッドフォックス
「無理もないよ。
一部の人間にしか公開されてないからね。」

 

レッドフォックス
「アタシはビーストの次期エース格とされていたから
軍の上の情報も一部のみだけど、開示されてたんだ。」

 

フェロー
「や、やっぱりただ者じゃないね…。」

 

レッドフォックス
「ただ亡霊部隊も「存在するかどうか分からない部隊」というニュアンスで
亡霊部隊と周りから呼ばれていただけで、正式名称は特に無かったんだよ。」

 

レッドフォックス
「だから知らないのも無理はない。
上の人間は「試験編成チーム」とか
『テストケース』と呼んでいたよ。」

 

マスター
「そりゃ知らないのも納得だ。
軍には部隊が幾つもあったが、
実際会ったこともあまり無いし
交流も無かったからな。」

 

レッドフォックス
「確かに。配属されていた場所も違うしね。
ほんと『ヴリトラ』の警備とかクソ退屈だった。
何回壊してやろうかと…なーんて、ね。」

 

マスター
「おいおい…。
ただ、フォックスの話を聞く限り
アラドは亡霊部隊に所属していたと見て間違いないな。」

 

フェロー
「その亡霊部隊ってどんな部隊なの?」

 

レッドフォックス
「アタシも詳しくは知らないけど、ビーストと同じで
サイバーウェアとナノマシンで
身体強化された改造兵士たちの部隊だったらしいね。」

 

フォックスの話では…

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・遠隔コントロールも可能な自律型戦闘ロボット部隊。

 

・優秀だが死亡した兵士を蘇生させ、強化外骨格でその正体を隠していた。

 

・脳改造やサイバネティクスで強化したサイボーグ兵士の集団。
 人道問題を避けるため、メンバーを死亡扱いにしていた

 

・精神を完全データ化し、身体を義体化した兵士たちの部隊

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

などの説があったらしい。

 

フェロー
「なんかすごい部隊だね…。
もう人間じゃないじゃん…。」

 

レッドフォックス
「まぁ、戦う為に作られた兵器って感じだねぇ。」

 

ドクター
「でもその話が本当なら、エルピス作戦で
アラドが戦死していなかったのも説明がつくわね。」

 

ドクター
「まぁ、どこかの博士の電撃で蘇った可能性も無くは無いけど…。」

 

オフィサー
「うむ。確かに義体やサイボーグであれば、
何度でも代わりが効く。」

 

フェロー
「アラドはもう人間では無いってこと?」

 

マスター
「まぁ、それを言うと俺もフォックスも
半分以上人間では無いけどな。」

 

フェロー
「確かに。
という事は「無敵鉄道組合」の事件には、
亡霊部隊が絡んでいたのは間違いないね。」

 

オフィサー
「アラドの可能性は高いが、
なぜ避難していた人達を襲った理由がわからん。」

 

ドクター
「何か都合の悪いことでもあったのかもしれないわね。
もしくは単なる虐殺なのか…。」

 

オフィサー
「とりあえずこれ以上は詮索したところで
何も答えはでないだろう。」

 

オフィサー
「マスターも回復した事だ。
エリシア君の父親の手掛かりを探す続きをしよう。」

 

オペレーター(天真爛漫)
「そろそろカベノオクに着くよー!
みんな下船の準備してよね!」

 

フェロー
「それじゃ、お父さんの痕跡が
何か無いか探しに行こう!」

 

エリシア
「はい!!」

 

オフィサー
(アラド…。お前は一体何を…。)

 

─ 数時間後…

 

○ハンターオフィス



カベノオクで探索を終えた
フェロー達はハンターオフィスにいた。

 

フェロー
「ふぅ~…。
宿帳を見つけてきたよ。
この他にはめぼしい物は特になかったよ。」

 

エリシア
「また、服も汚れちゃいました…。」

 

マスター
「毎度の事だが、大変だな…。
リハビリにしてはさすがにキツすぎる。」

 

オフィサー
「うむ、皆ご苦労だった。」

 

オフィサー
「船長さんもさ~…いや、もういいや。
言う気も失せたよ…。」

 

フェロー
「とりあえず読んでみようか。」

 

マスター
「ゴーグルはもういいぞ。」

 

フェロー
「やる前にツッコむのやめようよ~…。
えーっと…。」

 

エリシア
「あ、ありました!
お父さんの名前!」

 

フェロー
「200X年X月X日「ニコラ」!
あったあった。じゃあ、読むね。」

 

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カベノオクに着いた。
カベノウエと比べものにならない程寒い。

でも、霜除けのお守りを持ってきて正解だった。
そのおかげで、エリシアも今は大丈夫そうだ

 

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エリシア
「私の名前ですね…。」

 

フェロー
「やっぱりエリシアちゃんと
一緒に行動していたみたいだね。」

 

エリシア
「ん~…。覚えていないです…。」

 

マスター
「まぁ、無理もない。
続きを頼む。」

 

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ここに来て有力な情報を得る事が出来た。
カベノウエに居たはずの元軍に所属していた
生き残りとカベノオクで偶然会う事が出来た。

その男は旧統合軍の科学研究所で働いていた元科学者だ。

 

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マスター
「旧統合軍…という事は
この宿帳はかなり古いものになるな…。」

 

フェロー
「え、どうして?」

 

マスター
「旧統合軍は大破壊前から存在していた軍だ。」

 

マスター
「新統合軍と呼ばれる新しい軍は、
ほんの数年前まで活動していた軍だが、
旧となると少なくとも80年以上は前の話になるぞ。」

 

フェロー
「いやいや、ちょっと待ってよ。」

 

フェロー
「その話が本当なら旧統合軍の『ビースト』に所属していた
レッドフォックスとマスターって80歳以上ってこと!?」

 

マスター
「まぁ、実際にはそうだな。」

 

マスター
「サイバーウェア化しているおかげで
フォックスも俺も当時の年齢のまま
見た目は止まっているがな。」

 

フェロー
「おば…?おじいちゃん…?」

 

マスター
「おい、お前。一発殴っていいか?」

 

フェロー
「すみませんでした。」

 

エリシア
「あはは、面白いです。」

 

フェロー
「という事はアラドは確実に見た目からして100歳超えてるよね…。」

 

マスター
「まぁ、あいつがもし亡霊部隊所属だったのなら
義体化もしくはサイボーグだろうな。」

 

フェロー
「でもそうなるとエリシアちゃんも
アタシ達より年上ってことじゃん!!」

 

エリシア
「え?私ですか?
私、サイボーグ…?じゃないですよ?」

 

フェロー
「いやいや、そういう事じゃなくて…。」

 

ドクター
「エリシアちゃんは長い時間”ミトラ”で眠っていたから、
たぶんそのせいでまだ幼いんだと思うわ。」

 

エリシア
「はい、ぐっすり眠っていたみたいです。」

 

マスター
「さ、続きを読め。」

 

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その科学者は”ビースト暴走事件”について
調査をしていたようだ。同志がいて嬉しい。

 

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マスター
「ビースト暴走事件だと…。」

 

ドクター
「やっぱり調べていたのは
ナノパンデミックでは無かったようね。」

 

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私もあれが単なる「暴走事故」では無く、
誰かが意図的に仕込んだモノだと考えている。

 

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マスター
「…やはりあれは事故なんかじゃない。」

 

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元科学者の話では”ナノマシンウイルス”が
原因では無いかと調査の結果わかったらしい。

 

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ドクター
「ナノマシンウイルス…。」

 

ドクター
「でもそれだとやはり「大破壊前に造られたもの、
もしくはその複製品にも影響した」というのが説明がつかないわ。」

 

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そのウイルスは物理的に蝕み組成を変化させながら
増殖する、ガン細胞のようなウイルス。

どんなに強固なセキュリティでも
ハードウェアを作り替える程の適応能力を持っているらしい。

 

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マスター
「適応能力だと…。」

 

ドクター
「なるほどね…。
だからサイバーウェアやナノマシンでは無く、
カンパニーが持っていた武器や防具にも影響したのね…。」

 

マスター
「武具の構造を学習して
自ら組織を変化させ、感染したという事か…。」

 

ドクター
「だからビースト暴走事件ではサイバーウェアと
ナノマシンのみに感染したけど、エルピス作戦では
ウイルスはさらに進化していたという事ね。」

 

フェロー
「その理屈であれば、ネットワーク経由じゃなくても
物理的に感染するって事だよね。」

 

フェロー
「という事は無敵鉄道組合の一件も
このナノウイルスの仕業かな?」

 

マスター
「機械が暴走したという点は一致しているが、
もし仮に主犯がアラドだったら直接手を下した可能性がある。」

 

フェロー
「う~ん…頭が混乱してきた…。」

 

ドクター
「でも、そんなウイルスが世界中にバラまかれたら…。
とんでもない事になるわ。」

 

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私はそのガン細胞のナノマシンウイルスを
“キャンサー”と名付ける事にした。

 

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ドクター
「キャンサー…。」

 

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私はその”キャンサー”を生み出したのは
「ノア」だと考えている。
そのような事を出来るのはヤツしかいない。

 

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フェロー
「… …!!」

 

オフィサー
「なんだと…!」

 

エリシア
「…ノア…。」

 

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情報は得た。私は明日からエリシアと一緒に
“キャンサー”に対抗できる
ワクチンを研究をする為、
*****に向かう**にす**。

 

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マスター
「最後の場所が汚れてて読めないな。
ここで足止めか…。」

 

ドクター
「仕方ないわね…。
でもこちらも情報は得ることが出来たわ。」

 

フェロー
「待って!まだ次のページに続きがあったよ!」

 

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私は以前「ノア」の開発に関わっていた。
そのような元凶を生み出した私にも責任がある…。

 

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ドクター
「まさか…そんな…。
エリシアちゃんのお父さんが…。」

 

フェロー
「『大破壊』を引き起こした原因…。
ノアの開発に携わっていた…。」

 

エリシア
「お父さんが…ノアを…。」



???
「エリシア…。」

 

エリシア
「…うっ!!」

 

フェロー
「エリシアちゃん大丈夫!?」

 

エリシア
「だ、大丈夫です…。
ちょっと頭が痛くて…。」

 

エリシア
(何…?この声…。)

 

???
「人類を滅ぼすのだ…。」



エリシア
「…うぁっ!!」

 

マスター
「おい!エリシア、大丈夫か?」

 

ドクター
「エリシアちゃん少し休みましょう。」

 

エリシア
「はい…。」

 

エリシア
(誰…?誰なの…?)

 

???
「私を解放しなさい…。」



エリシア
「うぅうぅぅぅうわぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

エリシア
……。

 

ドクター
「エリシアちゃんしっかりして!!」

 

「エリシアちゃん!!」

 

第二章 『追憶の救世主』完

 

To Be Continued…

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