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【メインストーリー第33話】謎の転送装置

投稿者:
【プロデューサー】KAZ

○司令室



フェロー達は無敵鉄道組合本部で
あった出来事を船長に報告していた。

 

フェロー
「…という事があったんだよ~。」

 

オフィサー
「なるほど…。通信記録を見る限り、
民間人とカンパニーは全滅していたと思っていたが、
転送装置を使い、他の場所へ避難した可能性があるという事か…。」

 

マスター
「鉄道警備隊の死体しか無かったところを見ると、
その可能性は高いだろうな。」

 

オフィサー
「しかし、なぜ鉄道組合本部に転送装置が…。
彼らはその転送装置を使い、
どこかと行き来していたという事になるな。」

 

フェロー
「どこにでも転送装置があるわけじゃないの?」

 

サルーンガール
「転送装置は基本、転送センターという施設にあったの。
このランドシップとかもそうだけど、最近では
割と設置されている箇所は増えているけどぉ…。」

 

エンジニア
「たまになんでこんな場所に転送装置が…。っていうのはあるね…。
そういう所にある転送装置はしっかりと
メンテナンスされてないからよく転送事故が起きるってよく聞くよね。」

 

フェロー
「転送事故って?」



エンジニア
「転送装置を使用していると、稀に発生する装置の不具合で
行きたい場所と別の場所に転送される事があるみたい。
うちの転送装置はボクがちゃんとメンテナンスしてるから大丈夫だよ!」

 

フェロー
「ほぇ~。転送されて出てきたら
ハエ男になってたりするのかな…。」

 

マスター
「SF小説の読み過ぎだ…。

しかし、鉄道組合本部にあった転送装置は
ピンク色の光に照らされたカプセルのような形状で
他の転送装置とは明らかに違っていた。」

 

フェロー
「確かにランドシップやトレーダーキャンプにある
転送装置とは全然形が違ってたね、」



スプーキー
「セカイジュウニハ イロンナカタチノ ソウチ ガ
アルトキイタコトハ アル。」

 

スプーキー
「ダガ ソンナカタチ ノ ソウチハ
キイタコトモ ミタコトモ ナイゾ。」

 

オフィサー
「うーむ…。もしかすると、
私達のような一般的な転送網ではなく、
独自の転送網を使った転送装置なのかもしれんな。」

 

フェロー
「独自の転送網?」

 

エンジニア
「転送装置は装置に乗った人間の記憶をスキャンして、
訪問した記憶があれば、人体を粒子分解して
その場所へ送る仕組みらしいんだけど、
基本は全部同じ転送網が使われてるんだ。」

 

エンジニア
「中には、組織的に保有する独自の転送網を持つシステムがあって、
その組織しか利用できない、かつその転送装置同士でしか
行けない場所があるみたい。」

 

フェロー
「へぇ~、色々あるんだね~。」

 

サルーンガール
「そういえば、転送装置の側面に
『GORO’S』って書いたマークがあったわぁ。あれは何かしら?」

 

マスター
「GORO’Sはスターフォールを中心に
昔、暴れていた「ならず者の集団」だな。」

 

マスター
「スターフォールに『ごろベース跡地』『ごろ本山跡地』があっただろ?
あそこを拠点としてカンパニーと度々抗争を繰り返していたみたいだな。」

 

サルーンガール
「そのGORO’Sが使ってた転送装置なのかしら?」

 

フェロー
「ん~。マークが入っているって事はたぶんそうだけど、
GORO’Sから鉄道組合が転送装置を買った、
もしくは譲ってもらったって可能性もあるよね。」

 

マスター
「どちらにせよ、GORO’Sと鉄道組合の関係性が気になるな。」

 

オフィサー
「エルピス作戦後は、ハンターオフィスと鉄道組合が
協力してたのを見ればわかるように、非常事態だったからな。
どこの組織も協力体制にあったように思う。

まぁ、ランドハスキーとかは別だが…。」

 

フェロー
「あの組織よくわからないしね…。
なんか一方的にハンターオフィスを恨んでるみたいな感じだし…。」

 

オフィサー
「そういえば昔、GORO’Sは独自の転送網を持つ
システムを保有していたとどこかで聞いたことがある。
本当かどうかはわからないが。」

 

フェロー
「という事はグレートウォールの民間人やカンパニーは
スターフォールにあるGORO’Sの拠点に避難したのかな?」

 

マスター
「いや、スターフォールにある
ごろの拠点は全てもぬけの殻だった。」

 

フェロー
「じゃ~みんなは何処へ行ったんだろう。
他にもGORO’Sの拠点はないの?」

 

サルーンガール
「トコナツの要塞島にある
『ごろ砦』が彼らの本拠地よぉ。
今どういう状況になっているのか
全くわからないけれど…。」

 

フェロー
「トコナツ…聞いたことあるけど
行ったことないなぁ。どんなところなの?」

 

サルーンガール
「トコナツは入り組んだ内海と火山地帯が
特徴の熱帯地帯よぉ。」

 

フェロー
「あ、暑そう…。
ところでサロンの人詳しいよね。
行ったことあるの?」



サルーンガール
「あら?言ってなかったかしら?
私生まれも育ちもトコナツよ。」

 

フェロー
「あー!だから肌が褐色なの?!」

 

サルーンガール
「え?肌?
ああ、これは日焼けマシーンで焼いたのよ~。」

 

フェロー
「人工的なのね…。」

 

エンジニア
「トコナツへは海を渡って行かなきゃいけないよね。
水上のランドシップでの移動は問題無いけど、
現地に着いてからの移動を考えないといけないよね。」

 

サルーンガール
「そうねぇ。さすがに泳ぐのも大変だし、
海には凶悪なモンスターがいるし…。
戦車も水上は走れないものねぇ。」

 

エンジニア
「ちょっと調べてみるね!」

 

サルーンガール
「私もトコナツ出身の知人に連絡を取って
色々聞いてみるわぁ。」

 

オフィサー
「うむ、すまないな。
よろしく頼む。」

 

フェロー
「じゃ、トコナツへ出発する準備をしよう!」

 

———————————————————-

 

エリシアは眠り続けていた。

 

エリシア
「また…夢…?」

 

???
「エリシア…。」



頭の中で、またあの声が響いた。

 

???
「”救世主(メシア)”の証を持つ者…。」

 

エリシア
「証…?」

 

???
「そして、世界を滅ぼす者よ…。」

 

エリシア
「私が…?世界を…?」

 

???
「はやく我を解放するのだ!!!!さぁ、はやく!!」

 

エリシア
「嫌ァァァァァァァァァ!!!!」

 

———————————————————-



エリシア
… …!!!!

 

急に目の前が真っ暗になり、
エリシアは飛び起きるように目が覚めた。
服は汗でびっしょり濡れていた。

 

エリシア
「はぁ… はぁ… はぁ…。」

 

エリシア
「はぁ…。」

 

エリシア
「…一体誰…?私は…何者なの…?」

 

To Be Continued…

【メインストーリー第32話】悲劇の真相

投稿者:
【プロデューサー】KAZ

○司令室

 

エリシアの体調を心配した
ランドシップクルー達は司令室に集まっていた。



オフィサー
「エリシア君の体調はどうかね。」

 

ドクター
「眠っているわ。
ミトラから発見された時ほどでは
ないけれどかなり衰弱しているわ。

あのまま対処をしなければ、
命の危険もあったかもしれないわね。」

 

オフィサー
「ううむ…そうか。
エリシア君が回復するまで動くべきでは無いな。」

 

エンジニア
「エリシアちゃんのお父さんがワクチンを研究をする為に
どこに向かったのかもわからないしね…。」

 

フェロー
「スターフォールやグレートウォールにある
研究所を全部探索してみる?

BG研究所、透明化試験場、水際研究所、
防空研究所、天候制御研究所とか色々あるけど…。」

 

ドクター
「あと”ネクロハイツ”もあるわね。」

 

フェロー
「いや、それはちょっと…。」

 

マスター
「さすがに研究所をしらみ潰しに
探すのは時間が掛り過ぎるな…。
名前だけで場所もわからない所もあるし…。」

 

フェロー
「ずっと気になってたんだけど…
鉄道組合本部をもう一度調べてみない?」

 

オフィサー
「それはサルーンガールが潜入して
この前調べてくれただろう。」

 

フェロー
「そうだけど、少し気になる話があってね。
この前酒場でご飯を食べてた時に聞いたんだけど…。」

 

マスター
「どうやら、本部にはまだ入れない場所があるらしい。
そこに無敵鉄道組合の首領「鉄道組合総裁」がいた部屋らしいが…。」

 

オフィサー
「なるほど。サルーンガール、
そんな部屋心当たりはあるかね?」

 

サルーンガール
「そうねぇ…。フロアが5つあったから
一応全部調べてはみたけどぉ…。
もしかしたら隠し部屋とかもあったのかしらぁ。」

 

フェロー
「そこに何か鉄道組合であった事件の事について、
まだ手掛かりがあるかもしれないしね。」

 

ドクター
「でも”入れない場所”って言うぐらいだから
中に入れるのかしら。」

 

マスター
「わからん。
とりあえず行ってみる価値はあると思う。」

 

オフィサー
「わかった。では君とフェロー君。
サルーンガール、マスターの4人で行って来てくれ。」

 

○鉄道組合本部



調査の為、出動した4人は
無敵鉄道組合本部の門前に来ていた。

 

フェロー
「やっぱり封鎖されてて入れないね。
サロンの人どうやって入ったの?これ。」

 

サルーンガール
「わかったわぁ。ちょっと待ってね~。」

 

サルーンガールはひょいと壁を軽々と越えた。

 

その後ガラガラ音を立て入口が開いた。

 

サルーンガール
「は~い!開いたわよ~。」

 

フェロー
「おお、すげぇ。
やっぱりサロンの人タダ者じゃないね…。」

 

マスター
「よし、中に入ってみよう。」

 

○鉄道組合本部内部



中に入ると、むせるような血と燃えた後のにおいと
目を覆いたくなるような惨劇の痕が広がっていた。

 

フェロー
「うわぁ…。サロンの人の報告通り
ほんとに死体と機械の残骸だらけだね…。

というか、よくこんなところ
平気な顔で探索出来たよね…。」

 

サルーンガール
「まぁ、こういうのは慣れてるわぁ。
今までずっとしてきたもの。」

 

フェロー
「さすが元新統合軍のエージェント…。」

 

マスター
「相当激しく争ったみたいだな。
そこらじゅう弾痕だらけだ。」

 

サルーンガール
「でも通信記録の通り、
敵側の死体が無いところを見ると
やっぱり原因は警備ロボットや戦車の暴走のようね~。」

 

フェロー
「でもさ…なんか通信記録と違う部分があるよね…。」

 

マスター
「どうした?」

 

フェロー
「この白い軍服って鉄道警備隊だよね。
胸にバッジを付けてるし。」

 

マスター
「そうだな。鉄道警備隊のものだと思う。」

 

フェロー
「通信記録ではさ、こう言ってなかったっけ?」

 

-∴-∵-∴-∵-∴-∵-∴-∵-∴-∵-∴-∵-∴-∵-∴-∵-∴-∵-∴-∵-∴-

突然、警備ロボットや戦車達が暴走を始め、
民間人もカンパニー達も皆殺られてしまった…。
生き残ったのは我々一部の警備隊員のみ…。

-∴-∵-∴-∵-∴-∵-∴-∵-∴-∵-∴-∵-∴-∵-∴-∵-∴-∵-∴-∵-∴-

 

サルーンガール
「そうねぇ。ほぼ全滅だったみたいね。」

 

フェロー
「でもこの死体を見ると、鉄道警備隊と思われる死体しかないよ?
中にはカンパニーか傭兵と思われる死体も少しはあるけど…。」

 

マスター
「本当だ…。民間人と思われる死体がないぞ。
民間人はどこに消えたんだ…。」



フェロー
「私の推理が正しければ…。」

 

マスター
「なんで名探偵気取りなんだよ。」

 

フェロー
「えっと、あくまで予想なんだけど、
一度本部にカベノシタ、カベノウエ、カベノオクの
住人とカンパニーを集約させて
そこからまた移動させたんじゃないかな?」

 

サルーンガール
「なるほど~。バラバラで移動するより
一度集めてから動いた方が安全よねぇ。」

 

マスター
「フロッピーディスクを読み込んだ際、
一部データが破損していると言っていた。

もしかすると、その中に
次の移動に関する通信記録があったのかもしれないな。」

 

サルーンガール
「でももし、そうだとすると、
『民間人もカンパニー達も皆殺られてしまった』って言う
表現はしないわよねぇ。そんな嘘を付いても仕方ないし。」

 

フェロー
「それもそうか…。
とりあえず『入れない場所』っていうのを
探してみようよ。」

 

マスター
「そうだな。」

 

探索を続けていると5つ目のフロアで
壁を見つけた。

 

マスター
「なんかこの壁不自然だな。」

 

サルーンガール
「全然気付かなかったわぁ。
たしかに少し出っ張ってるわね。」

 

フェロー
「押してみよう!」

 

壁を押すと、「カチッ」という音がし、
隣の壁から大きく頑丈な扉が現れた。

 

フェロー
「おお…からくり屋敷みたいだ…。」

 

マスター
「実際見たことあるのかよ…。」

 

フェロー
「しかし頑丈な扉だね…。ビクともしないね。
マスターちょっとやっちゃってよ。」

 

マスター
「『デュアルファング』を持ってこい。
そしたら壊してやる。」

 

サルーンガール
「たぶんこのカードキーで開くんじゃない~?」

 

フェロー
「おお!それどこで手に入れたの?」

 

サルーンガール
「何か死体の中にお偉いさんっぽい服装した人が
いたから服の中を漁ったら見つかったわぁ。」

 

マスター
「やるな…。
よし、開けてみよう。」

 

壁にあった認証装置にカードキーを通した。

 

システム
「認証致しました。解錠致します。」

 

システム音が鳴ると、
扉が大きな音とともに開いた。

 

フェロー
「ひらけーーー!!ゴマーーー!!」

 

マスター
「いや、もう開いてるだろ…。
というか、いい加減疲れてきたぞ。」

 

サルーンガール
「綺麗な部屋ね。
特に荒らされた形跡もないわ。」

 

フェロー
「いかにも総裁がいた部屋って感じだね!
この写真のお髭の人が総裁かな?」



マスター
「船長に似てるな…。」

 

フェロー
「まさか船長さんが鉄道組合総裁!?
…そんなわけないか。」

 

サルーンガール
「あら、あそこに
転送装置みたいなのがあるわぁ。
ランドシップにあるのと形状が異なるけどぉ。」

 

マスター
「なんだこれ。
見たことも無い形をしているな。起動できるか?」

 

フェロー
「ん~…ダメっぽい。
通電はされてるみたいなんだけど動かないね。」

 

マスター
「ダメか…。もしかして民間人はここから逃げたのか…?」

 

サルーンガール
「今は動いていないけれど、
可能性としてはあり得るわね。」

 

フェロー
「もしかして…
あの通信の内容は時間稼ぎなんじゃ…。」

 

マスター
「どういうことだ?」

 

フェロー
「だってさ、考えてみてよ。
例えば今回の鉄道組合の事件の首謀が
アラドだったとするでしょ?

じゃあなぜアラドは鉄道組合本部に
民間人とカンパニーが居るって知ったんだろう?
あの情報はハンターオフィスと鉄道組合間でしか
やり取りされてないよね。」

 

マスター
「なるほど…!盗聴か。」

 

フェロー
「うん、恐らくアラドはネットワークを通して
通信内容をハッキングしたんだと思う。
どうやってアクセス権限を
得たのかまではわからないけど…。」

 

マスター
「だからわざと誤報を流した?
でもアラドは現地にいたんじゃないのか?」

 

フェロー
「いや、恐らく何らかの手段を使って
機械を暴走させて先に襲わせた後、
様子を見に来た時にマスクを落としたんだと思う。

『隻眼のアラド』と呼ばれた程の男だから
その場にいたのなら、そんな回りくどいことはせず
直接手を下すと思うんだよね。」

 

マスター
「確かにランドシップを襲った時も賞金首を
使って自分は別の場所にいたしな。」

 

フェロー
「そうだと思う。だから誤報を流す事で、
首謀に殺戮は順調だと思わせて時間稼ぎをして、
そのスキに民間人とカンパニーを
この転送装置で逃がしたって感じだろうね。

一部のカンパニーは交戦に参加していたみたいだけど…。」

 

マスター
「今日のフェローは頭さえてるな。
たまにはやるじゃないか。」

 

フェロー
「調査ならまかせてよね!
何しろあたしはランドシップで一番の調査員なんだからね!」

 

マスター
「あまり図に乗るな。」

 

フェロー
「へいへい、わかったよ~。
とりあえずこの事を船長さんに報告しに戻ろうよ!」

 

To Be Continued…

【メインストーリー第31話】頭の中の声

投稿者:
【プロデューサー】KAZ

メタルサーガ~荒野の方舟~
メインストーリー 第三章「叛逆の少女」

 

———————————————————-



意識を失ったエリシアは夢を見ていた。

 

エリシア
「これは…夢…?」

 

???
「エリシア…。」



また、頭の中で誰かの声が響いた。

 

エリシア
「誰…?あなたは誰なの…?」

 

???
「人類を滅ぼすのだ…。」

 

エリシア
「人類を…?なぜ…?」

 

???
「我を解放しなさい…。」

 

エリシア
「解放…?あなたは一体誰なの…?」

 

???
「我が名は…。」



エリシアは夢の中で再び意識を失った。

 

———————————————————-

○ラボ

 

???
「エリシアちゃん!しっかりして!」

 

暗闇の中でまた誰かの声が響く。

 

???
「エリシア!おい、エリシア!」



???
「目を覚まして!エリシアちゃん!!」

 

エリシア
「うぅ…ん…。」

 

目を開けると、目の前には
フェローが心配そうに覗きこんでいた。



エリシア
「わたしは…。」

 

フェロー
「よかったー!!目が覚めたんだ!!」

 

エリシア
「眠っていたのでしょうか…。」

 

ドクター
「突然意識を失ったのよ。
ここはラボよ、安心していいわ。」

 

エリシア
「そう…ですか…。」

 

マスター
「ふん…。心配かけやがって。」

 

エリシア
「すみません…。」

 

フェロー
「エリシアちゃんどうしたの?」

 

 

 

エリシア
「頭の中で…、急に誰かの声が急に聞こえて…。
その瞬間、突然激しい頭痛が…。」

 

フェロー
「頭の中で声…?
その声は何を言っていたの?」



エリシア
「はい…。
『人類を滅ぼすのだ』『私を解放しなさい』と…。」

 

ドクター
「人類を滅ぼす…。」

 

フェロー
「その声の主は誰かわかったの?」

 

エリシア
「いえ…。名前を名乗った瞬間に
夢の中で意識を失いました…。」



ドクター
「ノア…。」

 

エリシア
「えっ…。」

 

ドクター
「ノアは地球を救う為に人類を滅ぼす
選択肢を取ったと言われているわ…。」

 

フェロー
「私も『大破壊』の事を調べているけど、
確かノアは、文明の発達とともに汚染されていく
地球を救済するために造られたマザーコンピューターだよね。

で、地球を救う手段として自ら導き出した結論が
『人類が消え去るしかない』だった。
それで大破壊が起こったんだよね…。

でも…、なぜノアがエリシアちゃんに…?」

 

ドクター
「わからないわ…。
でも声の主がノアという確証はどこにも無い。
ただ発言が似ているわね…。」

 

フェロー
「『私を解放しなさい』というのもわからないね。
どこかにノアは今も眠っているのかな…。」

 

エリシア
… …。

 

マスター
「とりあえず、エリシアの体調の事もあるし
今は深く考えない方がいいかもな。
考えたところで答えは出ない。」

 

ドクター
「そうね…。そういえば、エリシアちゃんが眠っている間、
ずっと左手の紋章が光っていたわ。」



エリシア
「私の手の紋章が…?」

 

ドクター
「ええ。それで光が止んだ瞬間すごい音がしたの。」

 

フェロー
「音?」



ドクター
「うん。その音が気になってエリシアちゃんを
見ると首の装置にヒビが入っていたの。

一応、エンジニアにも見てもらったんだけど、
現代の技術では直せそうにないみたい。」

 

エリシア
「お父さんが付けてくれた首飾りにヒビが…。」

 

フェロー
「確かその首の装置って
『絶大なる力を制御するための首飾り』って前に
廃倉庫で見つけた古い書物に書いてたよね。
抑えきれない程の力がかかったってことかな?」

 

ドクター
「わからないわ…。でもヒビが入るってことは
何かしらの負荷がかかったって事よね…。」

 

フェロー
「もしかして…その首の装置が壊れると、
制御され、抑えられていた力が解放され…
エリシアちゃんが暴走!?」

 

マスター
「そんなどこかで見たロボットものみたいな
展開にはならんだろう…。」

 

フェロー
「エリシアちゃんが暴走した時、
第二の大破壊…セカンド…。」

 

マスター
「おい、それぐらいでやめておけ。」

 

フェロー
「そういえば、思い出したけど前に寝ている時に
『あなたの思い通りにはさせない』って
誰かと会話しているみたいだったってドクターに聞いたけど、
あの時と同じ声だった?」

 

エリシア
「いえ…、そちらは全く記憶にないんです…。」

 

ドクター
「確かその時もエリシアちゃんがしゃべった後に
左手の紋章の光が止んだのよね。」

 

マスター
「ま、とりあえずエリシアが回復するまで
次の行動は避けるべきだな。」

 

エリシア
「すみません…。私のせいで…。」

 

マスター
「いや、最近色々立て続けにあったからな。
無理もない。ゆっくり休むといい。」

 

エリシア
「ありがとうございます…!」

 

○司令室

 

エリシアを眠らせた後、
皆、司令室に集まっていた。



オフィサー
「しかしエリシア君のお父さんが、
ノアの開発者だったとはな…。」

 

ドクター
「でもノアの開発者は確か…。
ヴラドという名前だった気が…。」

 

フェロー
「調べたけど、ノアはヴラド・コーポレーションと
神話コーポレーションの共同開発だったみたいだよ。」

 

マスター
「恐らくどちらかの企業にいた科学者だろう。」

 

オフィサー
「エリシア君のお父さんが言っていた
『ノア』がキャンサーを生み出したって本当だろうか。
しかし、何の為に…。」

 

ドクター
「もしそれが本当であれば、『キャンサー』は
生き残った人類を抹殺する為にノアが残した
最後のプログラムなのかしら…。」

 

フェロー
「『エリシアちゃんのお父さん』『キャンサー』
調べるものがどんどん増えて行くね…。」

 

オフィサー
「アラドの動向も気になるな…、うーむ…。」

 

フェロー
「そういえば、お父さんの残した宿帳に
『キャンサー”に対抗できるワクチンを研究』と
書いてるけど、結局ワクチンの開発には成功したのかな?」

 

 

マスター
「この宿帳が書かれたのが、ナノパンデミックの前だとすると
『恐らく対抗手段が見つけられなかった』か
『キャンサーのが上手だった』可能性がある。」

 

ドクター
「そうね。キャンサーは『学習し成長するウイルス』
早めに手を打たないとどんどん進化していく。
まさしく名前の通りガン細胞と同じだわ。」

 

オフィサー
「しかし、エリシア君のお父さんの足取りを
追跡する事で何かヒントになりそうだな。
引き続き調査を進めるとしよう。」

 

ドクター
「そうね。まずはエリシアちゃんの回復を待ちましょう。」

 

———————————————————-

 

エリシアはまた夢を見ていた。

 

夢の中に断片的な光景が浮かんでくる。
それが昔の記憶なのか夢なのかも判らない。



エリシア
(この前みた二人…?)
(あれ…声が…出ない…。)

 

父親?
「エリシア…。待ってろよ…。
お前をこの機械で…。」

 

エリシア
… …。

 

母親?
「あなた…もうやめて…。
私…もう…。耐えられない…!!」

 

エリシア
… …。

 

父親?
「何を言ってるんだお前!!
こうでもしないと、エリシアはこのままなんだぞ!!」

 

エリシア
… …。

 

母親?
「エリシア…待ってて…。
私も…あなたの元に…。」

 

父親?
「おい!!何をしている!!
やめろ!!やめるんだ!!」

 

エリシア
… …。

 

———————————————————-

 

夢の中に浮かんでくる光景が消え去り、
エリシアは目が覚めた。

 

ラボは真っ暗。エリシアは一人。
闇の中にとり残された気分だった。

 

エリシア
「お…母…さん…?」



エリシアの目から一粒の涙がこぼれ落ちた。

 

To Be Continued…

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