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【メインストーリー第62話】巨大な影

投稿者:
【プロデューサー】KAZ

〇フロータシティ

 

 

他地方に向かうクルー達と別れ、

フェロー達は南へ向かう為の対策を練っていた。

 



フェロー

「う~ん…。地図を見る限り、

南側に行く為にはレイクブリッジを渡る以外ない感じだね~。」

 

 

 

マヤ

「橋には新統合軍のゲートが作られているって言ってましたけど…。

今は通れるのでしょうか…。」

 

 

 

マスター

「行ってみない事には何とも言えんな。」

 

 

 

紅葉

「橋に向かう為にはフロータシティの東側に広がる

砂漠地帯を横切る必要がありますわね。」

 

 

 

フェロー

「ちょーっと待っててね。

ふむふむ…。

 

あ、あった!」

 

 

 

マリー

「ん~?何を調べてるの?」

 

 

 

フェロー

「モンスターのデータベースっ!

 

えーっと、その砂漠には『黒角鮫』と呼ばれている

体色が黒いインペイラーの亜種、

ブラックホーンって名前の賞金首が出現するみたい。

…危険度は★6だね。」

 

 

 

マヤ

「★6…。とても危険ですね。

私たちだけで倒せるかどうか…。」

 

 

 

フォックス

「……ふむふむ……。

…おもしろそうじゃあないか。」

 

 

 

マスター

「おいおい……。お前1人なら良いが、

皆を巻き添えにするわけにはいかないだろう。」

 

 



フォックス

「最近リザードは真面目すぎて

つっまんないなー。

あー…つまんないつまんない。」

 

 

 

マスター

「…お前なぁ…。」

 

 

 

フェロー

「やぁやぁ…、二人とも落ち着いて…。」

 

 

 

紅葉

「では、ホバークラフトを装備した戦車や

ミズグモを使って海を横断するのはいかがかしら?

紅葉は海に落ちる自信がありますけど…。」

 

 

 

マヤ

「先程の町の方のお話ですと、湖の水が放射線物質によって

汚染されているそうなので、誤って湖に落ちると

被曝する可能性がありますよね…。」

 

 

 

フェロー

「えーっと…。調べたところ、

最近この辺りの湖で『タールゴン』に似た

ヘドロ状のモンスターも発見されているみたいだね。

まだ詳細は不明みたい。」

 

 

 

マリー

「まっ、まじで…。

タールゴンってあのヘドロみたいなモンスターだよね…。

き、きもちわるぅぃ~…。」

 

 

 

マスター

「突然襲われて湖にでも沈められたら危険だな…。」

 

 

 

フェロー

「う~ん…。まさに八方塞がりだね…。」

 

 

 

紅葉

「まだ砂漠を横断してレイクブリッジに向かった方が

安全かもしれませんわね…。」

 

 

 

マスター

「そうだな。そっちの方がまだ安全そうだ。

道中黒角鮫に遭遇しないよう、気を付けよう。

マヤ、戦車は持ってるか?」

 

 

 

マヤ

「はい!愛車の『スコーピオン』があります。

が、ちょっと車内に犬(バルドゥール)の匂いがするので

フェローさんはダメかもしれません…。」

 

 

 

フェロー

「ん~…、ダメかも…。」

 

 

 

マスター

「FV101装甲車か。3人は乗れそうだな。

マリーは、モンスターバギーで行くのか?」

 

 

 

マリー

「もちろん!

愛用車の『トムボーイ』で行くよっ!」

 

 

 

マスター

「ふむ…。助手席含めて2人が限界か。」

 

じゃあ、俺とエンジニア、フェローは

売店でレンタルしたティーガーに乗ろう。

 

紅葉とフォックスはマヤの装甲車に乗ってくれ。

マリーはそのまま1人で向かってくれ。」

 

 

 

マリー

「…えっ。あたいだけ1人…。」

 

 

 

フェロー

「お姉ちゃん、ドンマイ…。」

 

 

 

〇戦車内部

 

レイクブリッジに向かう為、それぞれの戦車に乗り込み

砂漠に入るフェロー達。

 

向かう最中ふと、車内の片隅に目をやると

変わらず元気の無いエンジニアがそこにいた。

 

 

マスター

「… …エンジニア、大丈夫か?」

 

 

 

エンジニア

「うん…。」

 

 

 

フェロー

「なんて言うか…その…。

…残念だったね…。」

 

 

 

エンジニア

「…ううん、そうじゃないんだ。

それは何となくだけど、予想はしていたから…。」

 

 

 

マスター

「ん?何か気になることでもあるのか?」

 

 

 

エンジニア

「…レイクランドの南部には

ボクが昔小さい頃に住んでいた家があった場所なんだ…。」

 

 

 

マスター

「そうだったのか…。」

 

 

 

エンジニア

「…うん。孤児院に入る前…かな。」

 

 

 

フェロー

「聞いて良いかどうかわからないけど…。

小さい時に両親を亡くしたって言ってたけど…。」

 

 

 

エンジニア

… …。

 

 

 

フェロー

「…やっぱり聴いちゃいけなかったかな…。」

 

 

 

エンジニア

「ううん、大丈夫…。

 

…ある日、お父さんとお母さんと一緒に

昔住んでいた家からフロータシティまで

買い出しに向かっていたんだ。」

 

 



マスター

「南からフロータシティに…?

随分遠い買い物だな。」

 

 

 

エンジア

「うん…。レイクランドには町がフロータシティしか無いから、

月に数回食料とか必要な物資を買いに行ってたの。

 

その向かう途中…、化け物のような巨大な戦車に襲われたんだ。」

 

 

 

フェロー

「化け物のような巨大な戦車…。戦車系賞金首?

イエローバスタード…かな…?」

 

 

 

マスター

「イエローバスタードというと、

戦車の亡霊の集合体というウワサがあるアレか?

でもアレはスターフォールの砂漠にいるんじゃ…。」

 

 

 

エンジニア

「…わからない。でも…

あの大きさから見て恐らく賞金首だと思う。

 

お父さんとお母さんは…ボクを助けるために…。」

 

 

 

マスター

「…。囮になったのか…。」

 

 

 

エンジニア

「…その後、倒れていたボクをたまたま通りかかった

トレーダーの人が助けてくれて、

フロータシティまで運んでくれたみたい。

その後、孤児院に入ったんだよね。」

 

 

 

フェロー

「…もしかして

技師(エンジニア)になった理由って…。」

 

 

 

エンジニア

「…うん。あ、もちろん前にも話したように

機械をいじるのが好きだったのもあるけど…。

 

いつか自分がその化け物戦車に対抗できる

強い戦車を作るのが目標なんだ。」

 

 

 

マスター

「毎日夜遅くまでガレージで何かしているなと思ったら

戦車を開発してたんだな…。」

 

 

 

エンジニア

「そうだよ。

でもボクは戦車は作れるけど乗れない…。

だから、キミ達の力が必要なんだ。」

 

 

 

フェロー

「もちろん!

ナンバーワン調査員のあたしを頼ってくれていいよ!」

 

 

 

マスター

「お前は戦えないだろう…。

 

当たり前だが、俺も協力する。

絶対に両親の仇を取ろう。」

 

 



エンジニア

「…二人とも…ありがとう。」

 

 

 

〇砂漠地帯

 



ドッォンッ!!    ダンダンッ!!

 

砂漠を進むと何やら爆発音や砲撃音が聞こえてきた。

どうやら他のハンター達がブラックホーンと交戦中らしい。

 

 

フェロー

「おおっ!誰か戦ってるー!」

 

 

 

マスター

「俺達が遭遇しなくて助かったな。」

 



ウォォォォォン!!!!

ダンッ!ダンッ!ダンッ!ダンッ!

 

ブラックホーンは大きな唸り声をあげ、

戦車に何度も執拗に体当たりを繰り返している。

 

 

 

マスター

「…ん?

なんかヤバくないか…?」

 

 

 

紅葉

「おされていますわね。

このままでは戦車が大破してしまうのは時間の問題…。

私たちも加勢いたしますか?」

 

 

 

フォックス

「情けないねぇ… …。

ちょっと遊んでやるか。」

 

 

 

マヤ

「あっ!走行中に飛び出すと危険ですよ~!!」

 

 

注意するマヤの言葉に振り返る事なく、

戦車から飛び出したフォックスは

背中に担いでいた高周波ブレードを抜き

ブラックホーンに向かって一直線に走り出した。

 

 

マスター

「おい!待て!フォックス!!」

 

 

 

フォックス

「アーッハッハッハ!」

 

 

高笑いをしながら飛び上がり体を回転させ、

そのまま勢いに乗りブラックホーンを斬りつけた。

 

スブッシャッ!!

 

大きなうめき声と共に

ブラックホーンの身体が大きく揺らいだ。

 

 

そして、流れるようにブラックホーンの背ビレ目掛けて飛びかかり、

フォックスは左手に持っていた長大な対戦車ライフルを撃ち込んだ。

 

バウンッバウンッバウンッ!!

 

ブラックホーン大きな雄たけびを上げ

そのまま砂の海に沈んでいった。

 

 

マリー

「わお!すごいっ!!

一瞬で倒しちゃったよ~!」

 

 

 

フェロー

「相変わらず恐ろしい人だ…。」

 

 

 

フォックス

「…ふぅ。あー、スッキリした。

見た目よりたいしたことないね、アレ。」

 

 



ソルジャー女

「アンタが来なけりゃ危なかった。

おかげで助かったよ。」

 

 

 

フォックス

「ん?アタシは、別にキミたちを助けたって

思ってなんかいないけど?」

 

 

 

ソルジャー女

「なっ…?!」

 

 



フォックス

「キミたちが助かったのは

結果的にそうなったってだけだ。

 

お楽しみの最中に他人を構ってる

ほど、ヒマじゃあないよ。」

 

 

 

ハンター男

「…ッ!てめェ…。」

 

 

 

マスター

「おいおい…。

もっと言い方があるだろ…。

 

すまん、ちょっと変わったヤツなんだ。

許してくれないか。」

 

 

 

ハンター男

「ふん…。まぁ、いい。

 

オレたちはここ周辺のモンスターを狩っているハンターだ。

見たことが無い顔だが…。お前らは何処から来た?」

 

 

 

マヤ

「私たちはランドシップと呼ばれる

地上艦からレイクブリッジに向かっていました。」

 

 

 

ソルジャー女

「おや、ランドシップの人達かい。噂は聞いてるよ。

レイクブリッジには何しに行くんだい?」

 

 

 

マスター

「俺達はレイクブリッジを渡って南側にある

新統合軍の野営基地に行こうとしているんだ。」

 

 

 

ハンター男

「野営基地…?そんなのあったか?」

 

 

 

ソルジャー女

「ほら、あそこだよ。

戦車の残骸が転がってるところさ。」

 

 

 

ハンター男

「ああ、あの廃墟か。

そういや以前に戦車装備を漁りにいった事があったな。」

 

 

 

紅葉

「今は廃墟ですの?」

 

 

 

ソルジャー女

「随分前からさ。どんな用があるのか知らないが、

たぶんロクなモノは残ってないと思うよ。

 

軍の装備が大量に残ってるって噂が広まって

みんな漁りに行ってたからねぇ。」

 

 

 

マスター

「そうか…。でも、もしかすると何か残ってるかもしれない。

そういえばレイクブリッジのゲートは今どうなってるんだ?」

 

 

 

ハンター男

「今はゲートは何者かに壊されて通れるようになってる。

もちろん軍の人間ももういない。」

 

 

 

フェロー

「壊されてるってのは気になるけど…

とりあえずは南側には渡れそうだね。」

 

 

 

ソルジャー女

「南にはここよりも強い賞金首がいる。

気を付けて行くんだよ。」

 

 

 

マスター

「色々と情報ありがとう。

それじゃ、向かうか。」

 

 

〇レイクブリッジ

 



フェロー

「…と、来てみたものの

やっぱり誰もいないね~。」

 

 

 

マスター

「橋の上で争ったような形跡があるな…。

ナノパンデミックの影響なのか…?」

 

 

 

マリー

「ん~。派手に壊されてるね~。

人間が壊したというより、ドでかい兵器で

壊したようにも見えるね。」

 

 

 

マヤ

「とりあえず、ここに居ても何ですし

南側に渡りませんか?」

 

 

 

紅葉

「そうですわね。参りましょう。」

 

 

それぞれの戦車に再び乗り込み

橋を渡ろうとするフェロー達。

 

 

すると橋の南側から巨大な戦車のような影が

こちらへ向かってくる。

 



マスター

「…ん?

あれは何だ…?戦車…か…?」

 

 

 

エンジニア

… …!!

 

 

 

フェロー

「エンジニア、大丈夫?

体が震えてるよ?どうしたの?」

 

 

 

エンジニア

「あぁ…。あ、あぁ…。」

 

 

 

マスター

「ま、まさか…。」

 

 

その影の正体は前方に大きなブレードを持つ

巨大な戦車型のモンスターだった。

 

自分達をこれ以上行かせないと言わんばかりに

橋の上に立ち塞がる。

 



エンジニア

「こ…こ、こいつがお父さんと…

お母さんを殺した化け物戦車…!!」

 

 

To Be Continued…

【メインストーリー第61話】死の湖

投稿者:
【プロデューサー】KAZ

ランドシップは

レイクランドを目指し、荒地地帯を走っていた。

 

 

〇司令室

 



フェロー

「あ゛~ゆ゛う゛れ゛え゛え゛る゛う゛う゛う゛う゛う゛~。」

 

 

 

マスター

「お前わざとだろ…。」

 

 

 

フェロー

「いやぁ~、お約束かと思って…。

 

そういや妹さんの話では『れいくぶりっじ』って

橋が有名?らしいけど、実際レイクランドってどんなとこなの?」

 

 

 

オフィサー

「『レイクランド』は巨大な湖の周辺に栄えていた地方だ。

周辺には比較的大型の賞金首が棲息していたのもあり、

多くのカンパニーが拠点として利用していた。

 

私も現役のハンターだった頃は、

フロータシティを拠点として賞金首を倒しに行っていたものだ。」

 

 

 

フェロー

「確かその時にエンジニアと出会ったんだよね。」

 

 

 

オフィサー

「うむ、そうだな。懐かしい話だ。」

 



 

エンジニア

「… …そうだね。」

 

 

 

フェロー

「そ、そう言えばさ!

レイクランドって何かここがオススメ~みたいなの無い?!

ほ、ほら!ここでしか食べられない!!みたいなやつ!」

 



 

エンジニア

「…オススメってわけではないけど、

レイクランドの水は他の地方より水が綺麗で

少し処理するだけで飲み水として使えたって有名だったよ。」

 

 

 

ドクター

「ランドシップには浄水施設があるから

ある程度綺麗な水は供給されているけれど、

このご時世、天然の綺麗な水は貴重だわ。」

 

 

 

ロウ

「トコナツも水は綺麗だが海水だからなァ。

飲み水に出来なくもねェが、高温処理しないとまず飲めねェ。」

 

 

 

マスター

「綺麗な水か。うまい酒が作れそうだな。」

 

 

 

フェロー

「す、すごいマスターの目が輝いている…。」

 

 

 

エンジニア

「あとは…、湖で獲れる魚も美味しいって評判だったね。

酒場で提供されていた『押し寿司』がハンター達に人気だったかな。」

 

 

 

紅葉

「押し寿司…聞いたことがありますわ!

何でも生の魚を使ったお寿司だとか…。」

 

 

 

白百合

「センゲンにも焼いた魚を酢飯に乗せた

寿司のようなものはありましたが、

非常に興味がありますね。」

 

 

 

マスター

「そう言えば、レイクランドはウイスキーも有名じゃなかったか?」

 

 

 

エンジニア

「ボクはお酒が飲めないから味はわからないけど…

『シングルモルト』が有名だったね。」

 

 

 

マスター

「『シングルモルト』っていうのは、

大麦麦芽のみを使用し、1つの蒸留所で作られたウィスキーの事だな。

蒸留所ごとに味わいが違うのが魅力だ。」

 

 

 

レッドフォックス

「へぇ… …。うまそうな酒だねぇ。

リザードと一杯やりたいもんだ。」

 

 

 

マスター

「…ふん。この作戦が終わったらな。」

 



 

オペレーター(ゆるふわ)

「皆さん、前方に大きな湖が見えてきました。

もうすぐレイクランド地方に入ります。」

 

 

 

フェロー

「よーしっ!着いたらまずは

フロータシティで情報を集めようよ!

 

確かそこにはエンジニアの育った孤児院や

働いていたガレージもあるんだよね。」

 

 

 

エンジニア

「うん…。久しぶりにみんなと会えるかな…。」

 

 

 

オフィサー

「うむ。今までの事など色々話を聞いてみるとしよう。」

 

 

─ 数時間後…

 

 

〇フロータシティ

 

 

フローターシティに降り立つ

ランドシップクルー達。

 



 

エンジニア

「…そ、そんな…。」

 

 

 

フェロー

「…なに…、これ…。」

 

 

 

ここにも町が”確かに”存在した。

 

ガレキに埋もれた町は、復興の兆しを見せてはいたが、

あまりにも無残な町の姿に船長達は言葉を失う。

 

 

 

オフィサー

… …。

 

 

困惑しているクルー達に

通りかかった町の住人と思われる男が話かけてきた。

 



町の住人

「ん?人が来るのは珍しいな。

 

残念ながら…ここには何もあんた達が

探しているようなものはないぜ。

 

まぁ、この町の姿を見ればわかると思うが…。」

 

 

 

マスター

「一体何があったんだ?」

 

 

 

町の住人

「…まさに地獄だよ。

こうなったのも全部軍隊野郎のせいだ…!」

 

 

 

白百合

「…詳しくお話をお聞かせ頂けますか?」

 

 

 

町の住人

「少し昔の話にはなるが…。

ここは湖による水資源が多く、

周辺に大きな拠点やダンジョンもあまり無い事から、

軍の施設を作るには最適だったらしい。」

 

 

 

白百合

「軍の施設…ですか?」

 

 

 

町の住人

「そうだ。ここから南の方に

新統合軍の野営基地が作られていたんだよ。」

 

 

 

白百合

「新統合軍…。」

 

 

 

紅葉

… …。

 

 

 

ロウ

「レイクランドに基地があったとは初耳だなァ。」

 

 

 

町の住人

「なんでもそこから噂じゃ『爆心地』をはじめ

各地に部隊が派遣されていたみたいだな。」

 

 

 

白百合

「爆心地…、グラウンド・ゼロの事ですね。」

 

 

 

町の住人

「うーん、詳しいことはわからねぇが

何かその『爆心地』で軍による

大規模な作戦が行われていたみたいだな。」

 

 

 

マスター

「エルピス作戦の事だ…。

そこにはどんな部隊がいたかわかるか?」

 



 

町の住人

「いや、軍はレイクランドの中央にある

『レイクブリッジ』にゲートを作り、

北部からの侵入に制限を設けたんだ。

 

だから俺達一般人は近づく事さえできなかった。」

 

 

 

マスター

「なぜ検問を作り侵入に制限を設けていたんだ?」

 

 

 

町の住人

「わからないね。

よっぽど基地に何か秘密があったのかもしれないな。」

 

 

 

フェロー

「さっき『軍隊野郎のせいだ』って言ってたけど

何があったの?」

 

 

 

町の住人

「その作戦から戻った兵士達がたまたま

フロータシティの酒場に来てたんだよ。

 

そしたら突然銃声が鳴り、

兵士達は銃でお互い撃ち始めたんだ。」

 

 

 

フェロー

「…え?!仲間同士で?!」

 

 

 

町の住人

「最初は酔っぱらった兵士同士が

喧嘩でもおっぱじめたのかと思った。

…が、事態はもっと深刻だった。

 

機械の暴走だよ。」

 

 

 

レッドフォックス

「機械の暴走…だと… …。」

 



 

町の住人

「そして銃声が合図になったかのように

突然周りにあった無人戦車、無人重機、

ロボットが暴走し町の中で暴れ始めた…。

 

それだけならまだマシだったんだが…、

その暴動に反応したのか機械のモンスター共までが

町の外からなだれ込んできたんだ。

 

結果、フローターシティは崩壊。

 

そして、この有様ってわけさ…。」

 

 

 

マスター

「…『キャンサー』だ。

兵士達はキャンサーに感染していたんだ。

という事は俺と同じ強化兵士の部隊だな…。」

 

 

 

町の住人

「そして、湖も暴走した機械から放射された放射線物質によって水が汚染され

飲み水はおろか、今は体を洗い流すこともできない。

魚も生き物も全て死んだ。」

 

 

 

フェロー

… …。

 



 

エンジニア

「ま、町にあった孤児院や!!

…ガレージは!?」

 

 

 

町の住人

「残念ながらもう無いよ。

町の多くの人々は湖を渡って逃げたと思う。

 

ただ、あれから連絡もないし

今は生きてるかどうかはわからないね。」

 

 

 

エンジニア

… …。

 

 

 

オフィサー

「… そうか…。」

 

 

 

町の住人

「こんな町にいても仕方がないのに

残ってるのは、ここから離れたがらない変わった人間だけだ。

 

所詮人間は水が無いと生きていけないのさ。」

 

 

 

マスター

「その新統合軍の野営基地は今でもあるのか?」

 

 

 

町の住人

「もう人はいないと思うが、

基地跡は残されてるんじゃないか。

まぁ、行くなら気を付けて行きな。」

 

 

 

白百合

「旧統合軍では無いですが…。

 

同じ統合軍関連の施設となると、

何か鍵の手がかりになるものがあるかもしれませんね。」

 

 

 

フェロー

「うん、調べる為にも南へ渡ろう。」

 

 

 

オフィサー

「うむ…。そうだな。

マスター、エンジニア、マリーくんの3名、

それにセンゲン組の紅葉くん、レッドフォックス、

マヤくんの3名も一緒に向かってくれ。」

 

 

 

マヤ

「はい!了解です。」

 

 

 

紅葉

「わかりましたわ。」

 

 

 

レッドフォックス

「ま、わかったよ。

リザードだけだと心配だし、ね。

……プッ、ハッハッハ!」

 

 

 

マスター

「おい…、こんな状況でやめろよ。」

 

 

 

レッドフォックス

「あはは、冗談だよ、冗談。」

 

 

 

オフィサー

「それでは準備が整い次第、グレートウォール組、トコナツ組、

スターフォール組の3組は転送装置で向かってくれ。

 

私達も一度ランドシップへ戻り、

こちらのバックアップを行う。」

 

 

 

エンジニア

… …。

 

 

 

フェロー

「…エンジニア、大丈夫?」

 

 

 

エンジニア

「うん…、大丈夫…。」

 



 

マリー

「よーし!いくぞ~!

モンスターバギーのお通りだーっ!」

 

 

 

フェロー

「…お姉ちゃん…。空気読もう…?」

 



 

マスター

「…お前もな。」

 

 

 

To Be Continued…

【メインストーリー第60話】鍵をめぐって

投稿者:
【プロデューサー】KAZ

———————————————————-

 

 

意識を失ったエリシアは夢を見ていた。

 

 

エリシア

(私…また眠ってるのかな…?)

 

 

 

夢の中に断片的な記憶が浮かんでくる。

いつもの研究室のような部屋だ。

 

 

 

???

「人類を滅ぼすのだ…。」

 

 

 

エリシア

「…うぁっ!!」

 

 

 

???

「我を解放しなさい…。」

 

 

 

エリシア

「うっ…ぐっ…うぁっ!!」

 

 

 

父親

「エリシア!?どうした!?

だ、大丈夫かッ!?」

 

 

 

エリシア

「うっうぁぁぁぁっ!!

ひ、左手が…ッ!!熱いッ!!!

ぐっ…う、うあっ!!」

 

 

 

父親

「左手だと!?痛いのか!?

よし…見せてみろ!!」

 



左手に紋章のようなものが浮かび上がっていた。

いつも自分の左手に刻印ある紋章だ。

 

 

エリシア

「ぐっ…うっ…あっ、熱い…ッ!!」

 

 

 

父親

「…この目…。ノアの意志表示か…。」

 

 

 

エリシア

「ノ…ノア!?…何そ…ぐっ…うぁっ!!」

 

 

 

父親

「くそ!!呪いの刻印か…!!」

 

 

 

エリシア

「ひ、左手が熱いよッ!

お父…さ…、うあっ!!」

 

 

 

父親

「大丈夫かエリシア!!

 

…仕方がない…。

これは付けたくなかったが…。」

 

 

父親の手には禍々しい首輪というより

装置のようなものを持っていた。

 

その装置は見覚えがある。

私の首にいつも付いているあの装置だ。



 

父親

「エリシア!!首をこちらに向けろ!!

さぁ、早く!!」

 



父親の方に首を向けると

「『ガシャッ』という音とともに

その装置が私の首に取り付けられた。

 

 

エリシア

「うっ…!っぐゥッ…!… …。」

 

 

 

父親

「しばらく苦しいだろうが…、

これでノアの力をなんとか制御できるだろう…。」

 

 

 

『… …ノア…。』

 

 

 

エリシアは夢の中で再び意識を失った。

 

 

 

○司令室

 

 

オフィサー

「マスターの報告によると、やはり鍵がある

可能性がある場所は各地に散らばっているようだ。

 

そこで、今回の作戦は全員で動くのではなく、

各自チームを結成し各地の探索を行ってもらう。」

 

 

 

エンジニア

「さっきも話したけど、サロンとハンターオフィスに協力してもらって

協力者が集まってくれたよっ!」

 

 

 

オフィサー

「うむ。非常に頼もしい。

それではサルーンガール、紹介してもらえるかな?」

 



 

サルーンガール

「何人か名の知れた腕ききのハンター達もいるわぁ。

それじゃ紹介するわねぇ。

 

そうね…まずは、ニーナちゃんから!」

 



 

ニーナ

「…ちゃん付けはやめておくれ…。

 

…ゴホン。疾風のニーナだ、よろしく。」

 

 

 

サルーンガール

「ニーナちゃんは、逃げるカミカゼファイヤー!に追い付き、

切り刻んだという伝説を持ってるわぁ。

素早いトリッキーな動きで戦うのが得意な熟練のソルジャーよぉ。」

 

 

 

フェロー

「カミカゼに追い付くって恐ろしい速さだね…。」

 

 

 

白百合

「ニーナさんは私と同じで刀使いなのですね。」

 

 

 

ニーナ

「あぁ、これか?これは『風神刀』って言うんだ。

アタシの愛刀さ。」

 

 

 

紅葉

「風神刀…!その刀…、

珍しい「裂」属性を持つ刀ですわ!!」

 

 

 

ニーナ

「アンタよく知ってるねぇ。

この刀はこの世に1本しかないからねぇ。」

 

 

 

サルーンガール

「じゃ、次はマリーちゃんね。

 

マリーちゃんは大型のモンスターバギーを操る

『じゃじゃ馬』の異名で有名なハンターよぉ。

モンスタートラックを使用した

オフロードレースの元レーサーでもあるわぁ。」

 



 

マリー

「やっほー!あたいの名前はマリー!

みんな、よろしくぅ~!」

 

 

 

フェロー

「…えっ!?…ええっ!?

お、お姉ちゃん…!?」

 



 

マリー

「…わお!

なんで妹が…こんなところに…?」

 

 

 

フェロー

「『なんで?』じゃないよ~!

この前メールで今はランドシップで働いてるって

説明したでしょ!見てないの?!」

 

 

 

マリー

「ん~…。ごめん。

この前BSコントローラーを

間違えてバギーで踏んじゃってさ…。

今修理中なんだよ~…。」

 

 

 

フェロー

「えぇ~…。本当にお姉ちゃんは

相変わらず『ドジ』なんだから…。」

 

 

 

マスター

「うぅ…頭痛がしてきた…。

まるでフェローが二人いるみたいだな…。」

 

 

 

サルーンガール

「それじゃ、どんどんいくわよぉ!

次はボブさん。

 

ボブさんは大型レンチを武器にしている

肉体派のメカニックよぉ。

ランドシップの修理の手伝いもしてくれているわ。」

 

 

 

フェロー

「えっ?例のバイトってボブさんだったの…?」

 

 

 

エンジニア

「そうだよ。修理の腕も抜群に良いからね。

たまにお願いしてるんだよ。」

 



 

ボブ

「俺はボブ。鉄腕のボブと呼ばれている。

よろしく頼んだぜ。」

 

 

 

エンジニア

「ボブさんがいると心強いや。

協力してくれてありがとう!」

 

 

 

ボブ

「いつもお世話になってるからね。

さて、お仕事お仕事。」

 

 

 

サルーンガール

「じゃ、次入ってもらうね!シュン君よろしく~!」

 



 

シュン

「…よろしく頼む。」

 

 

 

サルーンガール

「シュン君は『壊し屋』の異名を持つ

ランドシップの中でも名の知れたハンターよぉ。

女性からも人気があるのよぉ。」

 

 

 

シュン

「…やめてくれ、興味がない…。」

 

 

 

サルーンガール

「んもぅっ、つれないわねぇ。

男前なのに勿体ないわぁ。」

 

 

 

シュン

… …。

 

 

 

サルーンガール

「じゃ、最後はジェシィちゃんね!」

 

 

 

フェロー

「あっ!トレーダーキャンプBの人!!」

 



 

ジェシィ

「あはぁ、いらっしゃぁい。

…じゃないわぁ、よろしくぅ。」

 

 

 

サルーンガール

「ジェシィちゃんは戦闘は参加できないけど、

交渉術や情報を聞き出すのが上手いのよぉ。

情報を集めるためにはきっと役立つわぁ。」

 

 

 

ジェシィ

「情報が欲しかったら言ってねぇ。」

 

 

 

マスター

「ギーガンとマヤとバルドゥールを加えると7人と1匹。

戦力としては十分だな。」

 

 

 

─ 数分後…

 



 

オフィサー

「チーム構成はこちらで決めさせて頂いた。

オペレーター、皆に報告してくれ。」

 

 

 

オペレーター(無責任)

「へいへい。んじゃ、報告するねー。

 

えっと、スターフォール組は、

フェローちゃんとキミのペア。そしてエリシアちゃん。

あとはー。シュンさんとバルドゥールかなー。」

 

 

 

オフィサー

「エリシアはこの件の重要な鍵を握っている。

ただ、まだ体調が不安定だ。

もしもの時は君とフェロー君で守ってあげてくれ。」

 

 

 

エリシア

「お二人がいるなら…、心強いです!」

 

 

 

フェロー

「エリシアちゃんの面倒は任せてよ!」

 

 

 

エリシア

「はい!ご迷惑にならないよう頑張ります…!」

 

 

 

フェロー

「しっかし、また君と一緒か~!

もうあたし達、立派な”相棒”だね!

 

ってえっ!?い、犬も一緒…!?

いやだぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

 

 

マスター

「1人漫才かよ。」

 

 

 

ギーガン

「ブワッハッハッハ!バルドゥール!

このねーちゃんをよろしく頼んだぞ!」

 

 

 

マヤ

「よろしくね、バルドゥール。」

 

 

 

バルドゥール

「ヴァウ!ヴァウ!」

 

 

 

フェロー

「ひ、ひぃぃぃぃっ!!」

 

 

 

シュン

「先が思いやられるな…。」

 

 

 

オペレーター(ふんわり子犬)

「はい、次はグレートウォール組ですね。

 

白百合さん、ドクターさん、

ニーナさん、ジェシィさんの4名です。」

 

 

 

白百合

「ハンターはいないようですが…。

白兵戦なら申し分ない構成ですね。」

 

 

 

ドクター

「ハンターがいないなら、私はメディック担当ね。」

 

 

 

紅葉

「お姉様とご一緒がよかったのですが…

仕方ありませんわね…。」

 

 

 

白百合

「紅葉、他の人達を頼みましたよ。」

 

 

 

紅葉

「はい、お任せくださいお姉様。」

 

 

 

オペレーター(天真爛漫)

「どんどんいっちゃおう!

はい、次!レイクランド組ね!

 

マスター、エンジニアちゃん、

マリーさんの3名だね!」

 

 

 

マスター

「おいおい…。さすがに戦力として

少なすぎるんじゃないか…?

 

エンジニアは非戦闘員だし、

俺とマリーの2人じゃさすがに…。」

 

 

 

マリー

「大丈夫、大丈夫!

いける、いけるよーっ!」

 

 

 

マスター

「また頭が痛くなってきた…。」

 

 

 

オフィサー

「うむ。少し戦力の差は気にはなる。

そこは状況によってフォローを考えるとしよう。」

 

 

 

オペレーター(あつサバ)

「次はセンゲン組です。

紅葉さん、マヤさん、レッドフォックスの3名です。」

 



 

レッドフォックス

「……なんで、アタシだけ呼び捨てなんだ…。

ま、いいけどさ。」

 

 

 

紅葉

「こちらも3人ですわね…。大丈夫でしょうか?」

 

 

 

マスター

「まぁ、フォックスがいれば大丈夫だろ。

コイツ1人で2人分以上の戦闘力があるからな。」

 

 

 

レッドフォックス

「……プッ、アッハッハッハ!

間違いないかもねぇ。

まぁ、よろしくやってるよ。」

 

 

 

マヤ

「私も後方支援で頑張ります!」

 

 

 

オペレーター(イケメン女子力)

「はぁい、じゃ最後ね。次はトコナツ組よ。

ロウさん、ギーガンさん、カワイコちゃん、ボビーの4名ね。

気を付けて行ってくるのよ!」

 

 

 

ロウ

「お~う。任せとけやァ!

トコナツは俺の庭みたいなもんだからなァ!」

 

 

 

ボブ

「…ボ、ボビー…。」

 

 

 

ギーガン

「ブワッハッハッハ!

良いあだ名じゃねぇか!!」

 

 

 

サルーンガール

「カワイコちゃんだなんて、もう~。」

 

 

 

マスター

「カワイコちゃんってサロンのあいつだったのか…。」

 

 

 

オフィサー

「よし、全員終わったようだな。

 

私とオペレーター、そして

ショップ姉妹はランドシップで

君たちのバックアップを行う。」

 



 

売店の店員

「補給物資などはお任せください!

頑張ってくださいね!」

 

 

 

メタルショップ店員

「えい、えい、お~……。」

 

 

 

オフィサー

「今回の作戦について簡単に説明を頼む。」

 



 

オペレーター(ゆるふわ)

「はい。今回の作戦経路としては、まずランドシップで

レイクランドに向かった後、センゲンに向かいます。

 

一度行った場所は、各チーム転送装置を利用し

各地へ向かってください。

 

なお、グラウンド・ゼロについては、大変危険な為、

全員合流後、一番最後に向かう事になります。」

 

 

 

オフィサー

「今回の作戦はランドシップをあげた大規模な作戦となる。

作戦名は『テラス作戦』だ。

皆、心して任務に掛かってくれ。」

 

 

 

フェロー

「テラス…?外でお茶とか飲んだり

ドーナツ食べたりするところだよね…?」

 

 

 

マスター

「ドーナツはお前が食いたいだけだろ。」

 

 

 

オフィサー

「フェロー君の言う通り『テラス』はそういった意味もあるが、

今回は『奇跡』という解釈を込めている。

しかし、一方では『怪物』という解釈もあるようだ。」

 

 

 

フェロー

「奇跡…?怪物…?

なんだかよくわからないけど…。」

 



 

オフィサー

「作戦の目的は『パンドラの扉』を開ける

残り6つの鍵を見つける事だ。

 

そして扉の中にはマスターコードがあり、

それを利用しノアのプログラムを無効化することができれば、

人類の脅威は大いに減り『奇跡』が起こるかもしれない。

 

ただし、我々もマスターコードを実際に確認したことが無い為、

もしかすると扉の先には第2のノア…、すなわち『怪物』が潜んでいるかもしれない。

 

この事から『テラス作戦』と呼称している。」

 

 

 

フェロー

「ふ~ん…。なんだか難しい話だね…。」

 

 

 

サルーンガール

「要するに『生か死か』…。

スリルがあってゾクゾクしちゃうわぁ。」

 

 

 

マスター

「おいおい…。遊びじゃないんだぞ。」

 

 

 

サルーンガール

「んもうっ!違うわよぉ!

最近あまり現場に出動する事が無かったから

ウズウズしてるだけよぉ。」

 

 

 

マスター

「それならいいが…。あんまり派手に暴れるなよ。」

 

 

 

エンジニア

… …。

 

 

 

マスター

「…ん?エンジニア、どうした?

具合でも悪いのか?」

 



 

エンジニア

「…ううん。レイクランドに帰るのは

久しぶりだなって。」

 

フェロー

「そういえば、レイクランドって

エンジニアの故郷だったね。」

 

 

 

エンジニア

「うん… … …。」

 

 

 

オフィサー

「… …。ゴホン。

それではレイクランドに向けて移動を始める。」

 

 

 

オフィサー

「船舶付近に異常、

燃料、弾薬の補充は大丈夫かね?」

 

 

 

オペレーター(ゆるふわ)

「はい、特に異常はありません。

補充等も問題無く、今すぐ出航出来ます。」

 

 

 

オフィサー

「よし、それでは出航しよう。」

 

 

 

エンジニア

… …。

 

 

 

To Be Continued…

【メインストーリー第59話】再び協力者を求めて

投稿者:
【プロデューサー】KAZ

○司令室

 

 

船長から連絡があり、

ランドシップクルー達は司令室に集まっていた。

 



 

オフィサー

「エンジニアとドクターから報告があり、

鍵の解析が完了したそうだ。」

 

 

 

フェロー

「お~、さすがランドシップで

一番の技師と医師だね!ヒュー!」

 

 

 

エンジニア

「フェローさん…。絶対バカにしてるよね…。」

 

 

 

オフィサー

「そういえば、エリシア君の様子はどうだ?」

 

 

 

ドクター

「お腹がいっぱいになったのか、

今はラボでぐっすり眠っているわ。」

 

 

 

オフィサー

「うむ。ひとまずは安心だな。

それでは、エンジニア。

皆に報告してもらえるかね。」

 



 

エンジニア

「はいはーい。では、報告するね。

 

さすがに分解は出来ないから

コンピュータで解析した結果なんだけど…

 

鍵の中には認証用のバイオマテリアルチップが

埋め込まれていて、鍵は特殊合金で出来ている事が判明したよ。」

 

 

 

フェロー

「『ばいおまてりあるちっぷ』…?…何それ?」

 



 

ドクター

「それは私から報告するわね。

 

何のチップかをプログラムで解析したんだけど、

どうやら人間の手がこの鍵を持った時に

認証する為のチップのようね。」

 

 

 

フェロー

「認証…?」

 

 

 

ドクター

「ええ。どうやら鍵に対応した

『特定の負の感情を持った人間が認証』をすると

初めて力を発揮する可能性があるみたいなのよ。」

 

 

 

フェロー

「お~、私の推理はやっぱり正しかったんだね!

名探偵フェローちゃんの目に狂いはなし!」

 

 

 

マスター

「迷探偵の間違いじゃないのか?」

 

 

 

白百合

「『Agonize』は苦悩という意味。

フェローさんの言う通りもしこの鍵を

エリシアさんのお父上が持っていたとすれば…。」

 

 

 

フェロー

「エリシアちゃんのお父さんは、色々な事で悩んでたんだと思う。

キャンサーの事、ランドシップの事。

 

そして…、夢の事が本当だったら、エリシアちゃんの事も…。」

 

 

 

紅葉

「もし、そうだとしましたら

やはり、フェローさんのおっしゃる通り、

7つの鍵穴はそれぞれ負の感情を示している…というのも

正しいかもしれないですわね…。」

 

 



フェロー

「ふっふっふっふ…。この!名探偵フェロー…」

 

 

 

マスター

「黙れ。」

 

 

 

白百合

「しかし…、『特定の負の感情を持った人間が認証』というのが

本当だったら、フェローさんが鍵を挿した時反応しましたよね?

という事はフェローさんも『苦悩』していた事になりませんか?」

 

 

 

マスター

「お前何か悩んでるのか?

全然そうには見えないが…。」

 

 

 

フェロー

「え?う~ん…。

エリシアちゃんの事ではずっと悩んでいるけど…。」

 

 

 

マスター

「ふむ…。お前でも悩むんだな。

昼飯は何にしようか?とかそれぐらいだと思ってたぞ。」

 

 

 

フェロー

「ちょ、ちょっと!マスター!

失礼だよ!あたしだって悩む時は悩むよっ!

…たぶん。」

 

 

 

エンジニア

「あと、ボクの方でこの特殊合金を色々調べてたら

昔神話コーポレーションが作ったモンスターの一部に

同じ金属が使われていたみたい。

 

だからこの鍵を神話コーポレーションが作ったのは

間違いないと思う。」

 

 

 

マスター

「これでノアを開発した関係者がいた施設に

鍵があるのは間違いないな。

 

あとはフォックスが言っていた

旧統合軍に関係がある施設を探ってみよう。

 

俺も元々は旧統合軍出身だが、殆ど基地と戦場の

行き来だけだったから軍の施設についてはさっぱりだからな…。」

 

 

 

オフィサー

「うむ。オペレーター達にも調べさせよう。

君たちは酒場に行って情報を集めてきてくれたまえ。」

 

 

 

○酒場

 

 

マスターの代わりにロウが切り盛りしている酒場は

相変わらず盛況で、多くのハンター達で賑わっていた。

 

 

 

フェロー

「おお~!さっすが!

ロウの酒場は今日も大盛況だね!」

 



 

マスター

「…だから俺の酒場だ。」

 

 

 

フェロー

「あははは~。そうだったね…。

いや~なんていうか…その~、ロウが馴染み過ぎちゃっててさ…。」

 

 

 

マスター

「…確かに言われてみればそうかもな…。

 

さて…、情報を集めるか。

ちょっとそこのお前、いいか?」

 

 

 

常連っぽいハンター

「おう!マスターじゃねぇか!

もうそろそろ復帰してもいいんじゃないか~?」

 

 

 

マスター

「まぁ、追々な。それより、聞きたいことがあるんだが…。

ノアを開発した関係者がいた施設、もしくは

旧統合軍に関係がある施設に心当たりはないか?」

 

 

 

常連っぽいハンター

「う~ん…。ノアに関しては俺は知らねぇが、

スターフォールに『BG研究所』と呼ばれてた

生体遺伝子工学研究所がある。」

 

 

 

フェロー

「あぁ!河童の森の近くにある古い建物かぁ。

閉鎖されていたけど、今はダンジョンとして

認定されてて入れるんだっけ?」

 

 

 

常連っぽいハンター

「そう、そこだ。

なんでも聞いた話では、『大破壊』前に生物兵器を

研究していたという噂がある。

旧統合軍に関係ある施設なんじゃねぇかな。」

 

 

 

マスター

「なるほど。情報助かる。」

 

 

 

常連っぽいハンター

「おう、いいってことよ。早く復帰してくれや~。」

 

 

 

マスター

「よし、これで1個行き先は決まったな。」

 

 

 

フェロー

「じゃ、他にも情報集めますか~!」

 

 

─ 数十分後…

 

 

マスター

「みんな、戻ったな。じゃ、1人ずつ聞こう。

白百合はどうだった?」

 



 

白百合

「はい。聞き取りを行ったところ、

色々有力な情報が出てきましたね。

 

グレートウォール地方は、南西にある『湾岸ビル』内で

見つかった軍事関連の装備から、統合軍の建物であったと推測されています。

ただ、東洋の装備も発見されているため

異論を唱える者もいるみたいですが…。」

 

 

 

マスター

「湾岸ビルか。あそこはB2マンタレイが上空を飛んでいるから

用心しないとな…。」

 

 

 

フェロー

「ふぅ。レイクランドの情報聞いてきたよ~。

ただ、あまり良い情報は無かったね…。

 

南西部にある『航空工場跡地』が

航空機の整備・開発施設の工場だったみたいで

空軍の所有施設だったんじゃないかって話だけど…。」

 

 

 

エンジニア

「航空工場跡地…。ああ、あそこは軍事施設じゃないよ。

飛行機好きの老人が試作戦闘機を作ったりしていた趣味で作った工場みたい。」

 

 

 

フェロー

「あ、そっか。

エンジニアはレイクランド出身だもんね。

やっぱり関係無さそうだね…。」

 

 

 

エンジニア

「うん。だけどフローターシティに行けば

何か情報があるかもしれないね。

ナノパンデミック以来

今はどうなってるのかはわからないけど…。」

 

 

 

マスター

「そうだな…。エンジニアも故郷の様子が気になるだろうし、

町の状況を見る為にも直接行ってみよう。」

 



 

紅葉

「私はグラウンド・ゼロの情報を聞いてきましたわ。

やはりここは旧統合軍関連の施設が多かったみたいですわね。

 

しかし、殆ど『大破壊』で無くなってしまったみたいで…

唯一残っているのが、『人類陸軍ビル』と

フォックスさんが警備していた『ヴリトラベース』ですわ。」

 

 

 

マスター

「グラウンド・ゼロか…。

キャンサーの影響が無ければ俺も行けるんだが…。」

 

 

 

フェロー

「マスターはお留守番かな…。

さすがにアレじゃ身がもたないよ。」

 

 

 

マスター

「う~ん…そうだな…。」

 

 

 

ロウ

「お~う。

そんじャ、トコナツは俺が詳しいから説明するわ。

 

あそこには旧統合軍関連と思われる施設が2つある。

1つは『人類海軍ビル』だ。

 

その名の通り俺達『白鯨』が出来る前にあった

旧統合軍の海軍が使用していた建物だ。

 

もう1つは『月影60ビル』

昔モンスターの研究がされていて

旧統合軍の実験施設ではないかという噂があるらしいが

何の為にモンスターを研究していたかの目的は不明らしいなァ。」

 

 

 

フェロー

「今の2人の話を聞くと

『人類陸軍ビル』と『人類海軍ビル』は

名前からして間違いなさそうだね。」

 

 

 

マスター

「そういや、センゲンの情報は全くだな。

白百合と紅葉は何か知らないか?

確かセンゲン出身だったよな。」

 

 

 

紅葉

「全く見覚えないですわ…。」

 

 

 

白百合

「私もわかりかねます…。

新統合軍の施設ならわかりますが…。」

 

 

 

マスター

「う~ん…。とりあえず

行ってみるしかなさそうだな。」

 

 

 

フェロー

「だけど、あたし達だけじゃ範囲が広すぎるから

ちょっと大変だね…。時間も掛るし…。」

 

 

 

エンジニア

「そうだね。腕利きのハンターが集まるサロンと

ハンターオフィスで協力して、同行者を募った方がいいかも。」

 

 

 

マスター

「そうだな、そうしよう。」

 

 

話をしていると、大きな熊のような巨体の

男性ソルジャーと全く正反対の小柄なメカニックの

女性が声を掛けてきた。

 



メカニック女

「あら、あなた達はこの前の。」

 

 

 

フェロー

「あ!熊だ!!マグマグマだ!!」

 

 

 

ソルジャー男

「ブワッハッハッハ!

嬢ちゃん面白いじゃねぇか!

 

俺はマグマグマじゃなくて、マグマグマを倒した んだ!

ブワッハッハッハ!」

 

 

 

フェロー

「うぅ…。相変わらずお酒臭い…。」

 

 

 

メカニック女

「こんなところに皆さん集まって何を話してたんですか?」

 

 

 

フェロー達は二人に鍵を集めていること、

扉の事を話した。

 

 

 

メカニック女

「なるほど…。その鍵を集めて扉を開けると

ノアの脅威を無効化出来るかもしれない という事ですね。」

 

 

 

ソルジャー男

「ブワッハッハッハ!面白そうじゃねぇか!!

散々あの目玉の機械野郎にはやられたから、

今度は俺達がやりかえす番だなぁ!」

 

 

 

メカニック女

「私達も、是非協力させて下さい。」

 

 

 

フェロー

「ありがと~!!助かるよ~!」

 

 

 

メカニック女

「あ、自己紹介がまだでしたね!

私はマヤと言います。

職業は見ての通りですがメカニックです。」

 

 

 

ソルジャー男

「こいつは『釘打ちのマヤ』って呼ばれてるんだ。

ブワッハッハッハ!」

 

 

 

マヤ

「もぉ~!そのあだ名はやめてよ!」

 

 

 

白百合

「なぜ『釘打ち』って呼ばれてるのですか?

大工さんでは無く、メカニック…ですよね?」

 

 

 

ソルジャー男

「ああ、こいつの武器は『ネイルガン』って言う

工業用の釘打ち銃を改造したものを使ってるからなぁ!

だから『釘打ちのマヤ』って呼ばれてるんだと!

ブワッハッハッハ!」

 

 

 

フェロー

「工業用の釘打ち銃…。

体中穴だらけになりそう…。

うぅ…恐ろしい…。」

 

 

 

マヤ

「も~う私の事はいいから!!

ほぉ~ら!ギーガンも紹介しなさいよ!」

 

 

 

ギーガン

「ブワッハッハッハ!すまんすまん。

俺の名はギーガン、ソルジャーだ。

『熊殺しのギーガン』と呼ばれている。

よろしく頼むぜぇ!」

 

 

 

マヤ

「あとうちのチームには、『バルドゥール』って名前の

シェパードって呼ばれる犬種をモチーフにした

アニマルがいるんですよ。」

 



 

フェロー

「へっ!?い、犬ッ!?」

 

 

 

マヤ

「フェローさんどうしたんですか…?

お尻を押さえて…。お尻が痛いんですか?」

 

 

 

フェロー

「え!?いやいや~!

ぜんっぜん大丈夫だよ~!アハハ~!」

 

 

 

マスター

「こいつは犬が苦手なんだよ。」

 

 

 

ギーガン

「どうして犬が嫌いなんだ?

うちのバルドゥールは仏頂面だが、

人懐っこい性格だからなぁ。

お前さん達も気にいると思うぞ~。」

 

 

 

マスター

「昔こいつは犬に尻を…ムゴムゴムゴッ!!

ムゴッフゴッ!!フッフゴォツ!!

(おい、お前何するんだ手を放せ。)」

 

 

 

マヤ

「え?お尻がどうかしたの?やっぱり痛いんですか?!」

 

 

 

フェロー

「いやいや!痛くないよ!?

ほら!大丈夫でしょ~!」

 

 

 

マスター

「フゴー!!フゴフゴフゴ!!

(お前、いい加減手を放せ。)」

 



 

エンジニア

「フェローさんはね、今でもお尻に

その噛まれた跡が…。」

 

 

 

フェロー

「コラ~!!エンジニア~!!」

 

 

 

酒場は賑やかなムードに包まれ

夜は更けて行った…。

 

 

To Be Continued…

【メインストーリー第58話】謎の機械

投稿者:
【プロデューサー】KAZ

———————————————————-

 

エリシアはまた夢を見ていた。

 

 

エリシア

(…また…夢…。)

 

 

夢の中に断片的な光景が浮かんでくる。

以前夢で見た研究室のような部屋だが、

前より部屋は暗く、明かりは少ない。

 

 

父親?

「ッ!全く…どいつもこいつも…。」

 



 

エリシア

(…お父さん…?)

 

 

 

目の前にいる父親のような男は

何かにすごくイラ立っている様子だった。

 

それに以前見た姿とは別人のように

髪はボサボサで無精髭を生やしていた。

 

 

ふと下を見ると眠っている自分の姿があった。



 

エリシア

(また…私がいる…。)

 

 

 

自分と同じ姿の少女に触れると、

体温を失ったように冷たくなっていた。

 

 

 

エリシア

(…氷のように…、冷たい…。)

 

 

 

ふと、前を見直すと父親と思われる男は、前の夢でもみた

マイクロチップのような小型の機械に

金属を何度も接合する作業を繰り返していた。

 

 

 

エリシア

(前に夢で見た機械だ…。お父さん何をしているの…?)

 

 

 

父親?

「私を狂気の科学者なんて呼びやがって…。

もしこれが成功したら、科学の常識を覆せるんだぞ!!」

 

 

 

父親?

「エリシア待ってろよ…。必ずお前を…。」

 

 

 

目の前が真っ暗になり、目を開くと

目の前に父親が覗きこんでいた。

これは私の記憶…?

 

 

 

エリシア?

「ぅ…ぅ…ん…。」

 

 

 

父親?

「…エリシア…!目を覚ましたか…!!」

 

 

 

エリシア?

「ここは…どこ…?私は…?」

 

 

自分が誰なのかここが何処なのか全くわからない。

 

 

父親?

「記憶が欠落しているのか…無理もないか…。」

 

 

 

エリシア?

「記憶…?何も…わからない…。」

 

 

思い出そうとすると頭に激痛が走る…痛い…。

 

 

父親?

「身体はどうだ?違和感とかはないか?」

 

 

 

エリシア?

「身体…、たぶん…大丈夫…。」

 

 

 

父親?

「そうかそうか…!

立てるか…?ほら、こっちへ。」

 

 

 

父親に言われるがままベッドから起きようとした瞬間

目の前がまた真っ暗になった。

 

 

 

○ラボ

 

 

???

「… … シア ちゃん!!…」

 

 

 

暗闇の中でまた誰かの声が響く。

 

 

 

???

「…エリシアちゃん!!」

 



 

エリシア

「うぅ…ん…。」

 



 

目を開けると、目の前には

フェローが心配そうに覗きこんでいた。

どこかで見た光景だ。

 

 

 

フェロー

「エリシアちゃん!!大丈夫!?」

 

 

 

エリシア

「んっ…。

わ…たし…、眠っていたのでしょうか…。」

 



 

ドクター

「皆がパンドラに駆け付けた時には、

レッドフォックスと一緒に倒れていたそうよ。」

 

 

 

エリシア

「レッドフォックスさんが…?」

 

 

 

レッドフォックス

「あー……。うん。

何か嫌な匂いがしたから、

覗きに行ったんだけど…、情けないねぇ……。」

 

 

 

エリシア

「そういえば!!

アラドはッ…!!」

 

 

 

レッドフォックス

「映像が消えたみたいに、いなくなっていた…。

ほん、と…よくわからないヤツだねぇ。」

 

 

 

エリシア

「…そうですか…。」

 

 

 

フェロー

「そう言えばエリシアちゃん。

アラドとは何か話したの?」

 

 

 

エリシア

「はい…。

アラドがこんな事を言っていました…。

 



 

扉を開ける為には私の”本来の力”を発揮してもらう必要がある。

だがお前のその力は、まだ自分で

コントロールすることができない。と…。」

 

 

 

マスター

「エリシアの”本来の力”か…。

他にアラドは何か言っていたか?」

 

 

 

エリシア

「その後は…。よく覚えてないんです…。

目の前が急に真っ暗になって…。

ごめんなさい…。」

 

 

 

フェロー

「いやいやいや!

エリシアちゃんは謝らなくていいんだよ!」

 

 

 

ドクター

「そう言えば、エリシアちゃんがいない間に

お父さんの事が少しわかったのよ。」

 

 

 

エリシア

「…え?本当ですか…!」

 

 

 

フェロー

「ちょっ…、

ちょっと!ドクター!」

 

 

 

ドクターはフェローの訴えに対し

「わかっているわ。」と言っているように

無言でうなずいた。

 



 

ドクター

「エリシアちゃんにも知る権利はあるわ。

あのね、エリシアちゃん。

 

この船、ランドシップはね、

あなたのお父さんが開発していたものなのよ。」

 

 

 

エリシア

「えっ…。

ランドシップを…お父さんが…?」

 

 

 

ドクター

「そうよ。フェローちゃん達が

この船の貨物倉を探っていた時に

ランドシップの設計図を見つけたの。」

 

 

 

フェロー

「…。うん…。」

 

 

 

エリシア

「そうなんですか…。

でもなぜお父さんが作ったんだって

わかったのでしょうか…。」

 

 

 

ドクター

「REVIVE SYSTEM(リバイブ・システム)

お父さんが研究していた『キャンサー』を無効化する

ワクチンの技術がこのランドシップに活かされていたの。」

 

 

 

エリシア

「お父さんは…あの後にちゃんと

研究を成功させていたのですね…。」

 

 

 

ドクター

「そうみたい。だからお父さんは何処かにまだいるかもしれない。

諦めずに探しましょう。」

 

 

 

エリシア

「…はい!!

少し元気が出ました…。

皆さん、本当にありがとうございます…。」

 

 

 

ドクター

「うふふ、いいのよ。

早く元気になってまたお父さんを探しましょう。」

 

 

 

マスター

…。

 



 

エリシア

「あっ…、そういえば…。

私、さっき変な夢を見ました…。」

 

 

 

フェロー

「どんな夢を見たの?」

 

 

 

エリシア

「夢の中にお父さんがいました…。

 

そして、そのすぐ近くに

氷のように冷たくなった私が寝ていました…。」

 

 

 

フェロー

「ミトラの中にいたのかな…?」

 

 

 

エリシア

「いえ…前にも夢で見たんですけど、

検査台のようなところに寝ていました…。

 

寝ている私にお父さんは小型の機械のようなものを

私の身体に…付け…、いや、埋め込もうとしていたみたいです…。

 

急に目の前が真っ暗になって…

そこから目を覚ますと記憶が無くなっている自分がいました…。」

 

 

 

フェロー

「なんか…、すごくリアルな夢だね…。」

 

 

 

エリシア

「はい…。何がなんだか自分でも

よくわからなくて…。」

 

 

 

ドクター

「小型の…機械…。なるほど…。

えーっとね、エリシアちゃん。」

 

 

 

エリシア

「はい?」

 

 

 

ドクター

「あなたには黙っていたけれど…。

 

エリシアちゃんの体には夢で見たように

何かの機械が埋め込まれてるわ。

あなたがここに来て検査していた時にそれが判ったの。

 

ただ…色々調べてはみたけど

その機械が未だに何なのか判らないの。」

 

 

 

エリシア

「…あれは夢じゃ…なかったんですね…。

では、やっぱり…お母さんも…。」

 

 

 

フェロー

「その機械ってエリシアちゃんの身体に

どんな影響を及ぼしているんだろ…。

 

あっ!もしかしてエリシアちゃんが

力を使えるのはその機械の力…?!」

 

 

 

ドクター

「それは無いと思うわ。

 

身体に影響してるというよりは、

“共存”してるという方が正しいかもしれないわね。」

 

 

 

エリシア

…。

 



 

マスター

「まぁ、俺もフォックスも半分以上人間では無いし、

サイバーウェアも機械みたいなもんだから気にするな。」

 

 

 

レッドフォックス

「あはは、ま、そうだね。メンテナンスが面倒だけど、

割と機械の身体も悪くない、よ?壊れたら直せるしね。」

 

 

 

エリシア

「マスターさん…。レッドフォックスさん…。」

 

 

 

マスター

「そうだ。あれから何も食ってないだろ。

お腹空いたんじゃないのか?」

 

 

 

エリシア

「…はい、お腹がすきました…。」

 

 

 

フェロー

「じゃ!エリシアちゃん!

酒場に行こうよ!!立てる?」

 

 

 

エリシア

「はい!だ、大丈夫です…!」

 

 

 

マスター

「じゃ、行こう。

俺達も腹が減ったしな。」

 

 

 

○酒場

 

 

マスターがいない酒場は

いつもと少し客足が少ないが賑わっており、

ロウがマスターの代わりに皆に料理をふるまってくれていた。

 

 

 

フェロー

「おお~。ロウの酒場も大盛況だね!」

 

 

 

マスター

「…俺の酒場だ。」

 

 

 

バーカウンターの中にいたロウは

自分達に気付くと声を掛けてきた。

 



 

ロウ

「お~う。もう平気なのか?」

 

 

 

エリシア

「まだちょっとフラフラしますけど…、大丈夫です…!」

 

 

 

ロウ

「お~、そうかそうかァ。」

 

 

 

マスター

「ロウ、俺がいない間、手伝ってもらって

本当にすまない。」

 

 

 

ロウ

「ん?別にいいってことよ。

俺も料理すんのが好きだしなァ!

 

腹減ってんだろォ?

よし、何か作ってやるよ。」

 

 

─ 十数分後…

 

 

ロウ

「よ~し。出来たぞォ!食え食え!」

 

 

 

「目の前に出されたのはアツアツの

『大盛マルデケバブ』と『特盛マッチョポテト』だった。

 

 

 

フェロー

「…んっ!美味しい!!」

 

 

 

マスター

「モグモグ…(…やはり…うまい。)」

 

 

 

ロウ

「お~、そうかそうかァ。そいつは良かった。」

 

 

 

フェロー

「あれ?レッドフォックスは食べないの?」

 



 

レッドフォックス

「ん…?ああ。アタシはいいよ。」

 

 

 

ロウ

「食わないのか?相変わらず不思議なネェちゃんだなァ。

んじャ、何か飲むかァ?」

 

 

 

レッドフォックス

「そうだね。じゃ、強めの酒を一杯くれないか?」

 

 

 

ロウ

「おう。んじゃ「スチームエンジン」のロックなんかどうだ?」

 

 

 

レッドフォックス

「いいね。もらうよ。」

 

 

 

ふと横を見ると、いつもなら真っ先に

「美味しい!!」と言うエリシアが無言で

食べ物を口に運んでいる。

 

 

 

フェロー

「…エリシアちゃんどうしたの?

美味しくなかった?」

 

 

 

ロウ

「…おいおい…。それは俺に失礼ってもんだぜ。」

 

 

 

エリシア

「いえ…。」

 

 

 

マスター

「ん?どうした?様子が変だぞ。」

 



 

エリシア

「…味がしないんです…。」

 

 

 

フェロー

「え?味がしないの?

こんなに美味しいのに…?」

 

 

 

マスター

「また、体調が悪くなってきたのか?」

 

 

 

エリシア

「…わかりません…。でも何も感じ無くて…。」

 

 

 

ロウ

「う~ん…。

ショックで味覚障害でも起こしてるのかなァ…。

 

 

 

まァでも、とにかく食べないと元気でないぞ!

ほら、食った食った!」

 

 

 

エリシア

「は…、はい…。」

 

 

 

モグモグ…(…なぜ味がしないんだろう…。)

 

 

 

To Be Continued…

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