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【メインストーリー第23話】ドクターって何者?

投稿者:
【プロデューサー】KAZ

○ラボ

 

フェローはエリシアに料理を渡す為、
ラボに駆け込んできた。

 

フェロー
「エリシアちゃーん!
マスターに作ってもらってきたよー!」



ドクター
「フェローちゃん…。
本当に静かにしないと…わかってるわよね?」

 

フェロー
「えぇ…ドクター、ごめん…。
その変な薬打つのだけは勘弁して…。」

 

エリシア
「あ、フェローさん。」

 

フェロー
「お、少し良くなったみたいだね。
顔色も良くなったし!うんうん!」

 

フェロー
「はいこれ!”たっぷり野菜の炒め物”だよ!」

 

エリシア
「あの…フェローさん。
これ少し減ってるんですけど…。」

 

フェロー
「えっ!?なーんのことかなー?
アッハッハ!」

 

エリシア
「フェローさん…。
口元にソースが…。」



マスター
「お前、つまみ食いしただろ。」

 

フェロー
「げぇ!?マスター!
……つい、出来ごころで…。」

 

マスター
「ったく…。そんな事だろうと思って
追加でこれを作ってきてやったぞ。」

 

マスターは美味しそうな”シチュー”をエリシアに差し出した。

 

エリシア
「わぁ…!美味しそう。いい匂い。」

 

マスター
「スネイルミートのシチューだ。
他にはカニガンから取れた白身とかも入っている。」

 

フェロー
「げ…、カタツムリ?!カニガン!?
ゲロゲロ…。」

 

マスター
「高級食材の”エスカルゴ”ってあるだろう。
あれはワインによく合うし、うまいんだぞ。」

 

フェロー
「でもそれ…ガンスネイルとかデンデンフレイムから
取れたやつだよね…食用じゃない気が…。」

 

エリシア
「んっ…!美味しいです!」

 

フェロー
「エリシアちゃんって好き嫌いなさそうよね…。」

 

ドクター
「エリシアちゃんもだいぶ回復したし、
もう少ししたらみんなと一緒に行動が出来そうね。」

 

フェロー
「そしたら一緒にお父さんを探しに行こうね!」

 

エリシア
「はい!!」

 

フェロー
「だけど、そのエリシアちゃんの
お父さんをよく知ってる男の人って
どこにいるかアテはあるの?」

 

マスター
「さっぱりわからん。
何せ酒場で話を聞いただけだからな。」

 

マスター
「その話によると、何かを研究していた
名の知れた科学者だったと聞いたな。」

 

エリシア
「はい!!」

 

ドクター
「もしかして”ミトラ”を作ったのは
お父さんだったという可能性が出てきたわね。」

 

マスター
「とりあえず手当たり次第情報をかき集めるしかなさそうだな。」

 

フェロー
「そうだね~。大変だけど、
調査・情報収集ならこのあたしにお任せあれ!」

 

マスター
「一番お前が頼りにならないんだが…。」

 

エリシア
「ふぅ…。マスターさん!ご馳走様でした!」

 

マスター
「うまかったか?それは良かった。」

 

ドクター
「さて、それじゃキミ達にはもう少し働いてもらうわよ。」

 

フェロー
「ドクター最近人使い荒いよ…。」

 

ドクター
「あら?そうかしら?
エリシアちゃんの体力を付けるために
「アンコウの肝」を持ってきて欲しいのよ。」

 

フェロー
「『アンコウの肝』って確かスターフォールにいる
チョウチン・ジハンコウから取れる素材だよね…?」

 

ドクター
「そうそう。アンコウの肝って
ビタミンが豊富で高カロリーだから
体が弱い女性にピッタリなのよ。」

 

フェロー
「いや、わかるけどさ…。
スターフォールに戻らないといけないんだよ。
めちゃくちゃ遠いじゃん…。」

 

ドクター
「あら、転送装置を使えばすぐじゃない。
さ、早く行ってきてちょうだい。」

 

フェロー
「…はいはい、わかったよ~。」

 

ドクター
「ちゃんと取って帰ってきたら」
チェリードーナツあげるわよ。

 

フェロー
!!
「行ってきまーす!!」

 

ドクター
(単純だわ…。)

 

─ 数時間後…

 

○ラボ

 

フェローは目的を果たし、
ラボに駆け込んできた。



フェロー
「とってきたどー!!」

 

ドクター
「フェローちゃん…?」

 

フェロー
「はい…、すみませんでした。」

 

ドクター
「たしかに依頼の「アンコウの肝」ね。
これで栄養材を作れるわ。
さっそく取り掛かるわね。」

 

ドクターの操作でラボの機械が
怪しげな音と光を放ちながら動き出した。

 

ドクター
「さあアンコウの肝がアンコウの肝に
マージしていくわ…。」

 

フェロー
「ほんとに何回見ても慣れないね…。」

 

ドクター
「さあ、できたわ。
さて、今回は飲み物じゃなくて
食べ物にしてみたわ。」

 

フェロー
「おぉぅ…。相変わらず見た目がグロい…。」

 

ドクター
「まあ、どんな見た目でも
肝心の効き目は変わらないわ。
さあ、どうぞ。」

 

エリシア
「はい、…もぐもぐ…。
チョコレートの味がします…。」

 

フェロー
「えぇ…チョコの味がするの!?
ちょっと食べてみたいかも…。」

 

ドクター
「じゃ~、今度はドーナツ味の
薬を作ってあげましょうか?」

 

フェロー
「いや…遠慮しときます…。」

 

フェロー
「そういえば、酒場でさ
レッドフォックスって人に会ったよ。
あのフード被っててあたし達を助けてくれた人。」

 

ドクター
「あ、あれフォックスだったのね。
まぁ、なんとなくそんな感じはしてたけど…。」

 

フェロー
「え、レッドフォックスの事知ってるの?」

 

ドクター
「ええ。知ってるも何も彼女のサイバーウェアを
メンテナンスしてるのは私よ。」

 

フェロー
「ええ!?そうなの!?しかもサイバーウェアって、
体の一部を機械に置き換える肉体強化技術だよね。
だからあの人あんなに強いんだ…。」

 

ドクター
「そうよ。元々はグレイ博士が彼女のメンテナンスを
してたんだけど、数年前から消息不明なの。
だから私が代わりにやってあげてるのよ。」

 

フェロー
「そうだったんだ…。だからあの人
よくランドシップ内で見かけるんだね。
てっきり誰かに雇われた傭兵かと思ってたよ~。」

 

フェロー
「でもそれってみんな知ってるの?」

 

ドクター
「知らないわよ。彼女は元賞金首だし、
よく思わない人もいるかもしれないわよね。
ま、特に言う必要性も感じないしね。」

 

フェロー
「なるほど~。ドクターって本当に色々出来るよね。
戦車も修理できるし…。
サイバーウェアの技術はどこで学んだの?」

 

ドクター
「さっきも名前を出したけれど、
サイバーウェアの権威と言われた
「グレイ博士」の元で昔技術を学んでいたのよ。」

 

ドクター
「だからグレイ博士のところに来ていた頃から
フォックスとは顔見知りよ。」

 

フェロー
「え、それってドクターが何歳の時の話なの…?」

 

ドクター
「そうね~。13歳頃の話かしら?」

 

フェロー
「ドクターって一体何者なの…。」

 

To Be Continued…

【メインストーリー第22話】フードの下に隠された謎

投稿者:
【プロデューサー】KAZ

○ラボ

 

エリシアの様子を見に
フェローとラボに来ていた。

 

フェロー
「ドクター!
目覚めたエリシアちゃんはどこなのー!?」

 

ドクター
「だからフェローちゃん、ラボで騒がないで。」

 

ドクター
「静かにしないと、この謎の薬を注射しちゃうわよ?」

 

フェロー
「だから謎の薬って何!?
なんか変な色してるしそれ…。」



エリシア
「……あ…フェローさん…。」

 

フェロー
「エリシアちゃん!!大丈夫!?」

 

エリシア
「あ…あの…、あまり揺らさないで下さい…。」

 

ドクター
「フェローちゃん?」

 

フェロー
「ご、ごめんなさい…。つい…。」

 

フェロー
「エリシアちゃん、何か覚えてる?」

 

エリシア
「いえ…。ミサイルが襲って来た瞬間までは
若干記憶があるんですけど…。その先は…。」

 

ドクター
「当然といえば当然だけど、
あの時の記憶は欠落しているわ。」

 

ドクター
「色々落ち着いてから質問してみたけど…
「砲弾の弾道を曲げた事」「しゃべり方が
変わった事」は本人にもわからないみたい。」

 

ドクター
「もちろん、今までそんな経験は
一度も無いらしいわ。」

 

ドクター
「ちなみに、今はエリシアちゃんの左手にある
紋章も光っていないわね。」

 

フェロー
「ふむふむ、そりゃそうか…。」

 

ドクター
「フェローちゃんが調べてくれたエリシアちゃんの
首飾りあるじゃない?」

 

ドクター
「ほら、古びた書物に書かれていた
“絶大なる力を制御するための首飾り”って。」

 

フェロー
「うん、書いてあったね。」

 

ドクター
「この首飾りが無ければもっとすごい力を
発揮していたのかもと考えると
少し恐ろしいわね…。」

 

エリシア
「え…、私怖いですか…?」

 

フェロー
「いやいや!!エリシアちゃんは可愛いよ!!
私の天使だよ!!」

 

ぐぅ~ … …。

 

エリシアのお腹の音がラボに響く。

 

エリシア
「はぅ…。お腹がすきました。」

 

ドクター
「そういえば、何もあれから食べてないものね。
食欲がある事は良いことだわ。」

 

フェロー
「そうそう!さっき食材を調達してきて
今マスターに料理を作ってもらってるから
ちょっと取ってくるね!」

 

エリシア
「はい!!」

 

○酒場



料理を取りに来たフェロー。
酒場はいつもにも増して賑わっていた。

 

フェロー
「うわー、今日はいつもよりお客さんがいっぱい。
マスター儲かってるねー。」

 

マスター
「ほらよ。焼きアメーバ、おまちどう。」

 

マスター
「お、来たか。
すまん、ちょっと今客がいっぱいでな。
あとでいいか?」

 

フェロー
「いいよー。じゃあ、なんか飲んで待ってるね。
じゃ、カクガリータちょうだい。」

 

マスター
「それよりお前はツケを先に払え。」

 

フェロー
(あれ?
あそこにいるのは…さっきの…。)



フードをかぶった女
……。

 

フェロー
「あ、あの!
先程は助けて頂いてありがとうございました!」

 

フードをかぶった女
「…別にアタシは、するべき事をしただけさ。」

 

フードをかぶった女
「そういえば…。
アンタ達はあのエリシアって子のお目付役。
そうだろ?」

 

フェロー
「お目付役…。まぁ、そんな感じかな?」

 

フードをかぶった女
「だったら、アンタ達があの子のお目付役に
ふさわしいのか…。その実力見せてくれないかい?」

 

フードをかぶった女
「ランドシップから西にいったところに
「人喰い砂漠」と呼ばれる大きな砂漠地帯がある。」

 

フードをかぶった女
「そこに、戦車でさえもその巣に飲み込んで喰らうと
言われている巨大アリジゴク
『戦車ジゴク』と呼ばれる賞金首がいるんだよ。」

 

フードをかぶった女
「そいつを倒してアタシに実力を見せてくれないか?
まぁ、頑張りな。」

 

─ 数時間後…

 

○酒場



酒場に戻ると、さっきと変わらずマスターと
フードの人が話をしていた。

 

フェロー
「ふっふっふ!「戦車ジゴク」を倒して来たよ!」

 

マスター
「いや、お前は何もしてないだろう。」

 

フェロー
「したよ!近くの岩陰に隠れて
ずっと応援してたんだから!」

 

フードをかぶった女
「ほう…。アンタ、
なかなか見込みがありそうだ。」

 

フードをかぶった女
「だけど、もっと強くならないと
あの子は守れないよ。」

 

フードをかぶった女
「でも、なかなかいい目をしてるよ、
アンタ。きっと強くなる。そんな目だ。」

 

マスター
「おいおい。それぐらいにしとけ。
あまりこいつを、からかうんじゃない。」

 

フード女
「アーッハッハッハ!ごめんごめん。
面白くてつい、ね。」

 

マスター
「ああ、そういえば紹介がまだだったな。」

 

マスターの言葉に続き、ゆっくりフードを脱いだ。



マスター
「こいつの名前は『レッドフォックス』」

 

マスター
「俺がソルジャーとして現役だった頃、
同じ軍の部隊に所属していた仲間だ。」

 

フェロー
「ほぇー、女の人だったんだ…。びっくり…。」

 

マスター
「昔は『赤い悪魔』としてその名を恐れられ、
ハンターオフィスから賞金を懸けられていた事も
あったんだぞ。」

 

フェロー
「ええ!?賞金首だったの…!?」

 

レッドフォックス
「あはは、試しに1回戦ってみるかい?
ホラホラ。」

 

フェロー
「け、結構です…。」

 

レッドフォックス
「……プッ、アッハッハッハ!」

 

レッドフォックス
「おっもしろいなぁ!
そんなにビビらなくていいのに。」

 

マスター
「…おいおい。いい加減にしろ。」

 

レッドフォックス
「ごめんごめん。本当に面白いなぁ、キミ達は。」

 

マスター
「まぁ、よくうちの酒場に来ているから
何か困った時は相談してみるといい。
色々とアドバイスしてくれるはずだ。」

 

レッドフォックス
「ん……?話は聞くけど、すまないが
何度も言っている通り、アタシは
アンタたちと一緒に戦うつもりはないよ。」

 

マスター
「…ふん、相変わらずだな。わかったよ。」

 

フォックス
「それじゃ、アタシはそろそろ帰るよ。」

 

フォックス
「じゃあね、アンタ。
もっと強くなるんだよ。……もっと、ね。」

 

フェロー
「なんかよくわからない人だね、
フォックスさんって。」

 

マスター
「すまんな、悪いヤツではないが、
あいつはああいうヤツなんだ。
俺も付き合いは長いが、何を考えてるか判らん。」

 

マスター
「ああ、そうだ。ほらよ。」

 

マスターは美味しそうな
「たっぷり野菜の炒め物を差し出した。」

 

フェロー
「おおー!美味しそう!それでは一口…。」

 

マスター
「…お前が食ってどうする…。」

 

フェロー
「ちぇー。」

 

フェロー
「それじゃ、ちょっと遅くなっちゃったけど、
エリシアちゃんに持って行ってあげよう!」

 

To Be Continued…

【メインストーリー第21話】少女の異変

投稿者:
【プロデューサー】KAZ

メタルサーガ~荒野の方舟~
メインストーリー 第二章「追憶の救世主」

 

○司令室

 

“エリシアの異変”に驚きを隠せないが、
なんとかピンチを切り抜けたクルー達は
ランドシップに避難する事が出来た。



オフィサー
「ドクター、エリシア君の調子はどうかね。」

 

ドクター
「…いえ、残念ながら目覚めてはいないわ。
あれから眠ったままよ。」

 

オフィサー
「うーむ…。そうか…。」

 

オフィサー
「砲撃による被害状況はどうかね?」



オペレーター(ミニマル無口系)
「はい。誘導装置でのミサイル迎撃は順調。
現状問題ありません。」

 

オフィサー
「しかし、エリシア君の行動は気になる
部分が多いな…。」

 

フェロー
「あの時、エリシアちゃんの手の紋章が
光っていたね…。しゃべり方も…そう、
機械?のような感じだった…。」

 

オフィサー
「…とにかく今は彼女の回復を待つしかないな。」

 

フェロー
「エリシアちゃんが目覚めたら、本来の目的である
えーっと、”ニコル”だっけ…?お父さんを
探しに行かないとね!」

 

オフィサー
「…”ニコラ”だな。」

 

フェロー
「そうだ!エリシアちゃんが目覚めたら、
元気になってもらえるようにマスターに料理を
作ってもらおうよ!」

 

フェロー
「あ、でも食材が…。」

 

オフィサー
「近くに「機械化実験農場」と呼ばれる破棄された
農場がある。食材ならもしかすると、
そこにあるかもしれんな。」

 

オペレーター(ゆるふわ清楚系)
「そこには”大破壊”の影響で暴走した機械が
数多く存在しているようです。
くれぐれも注意して下さいね。」

 

オフィサー
「最近グレートウォールの天候の影響か、
プラント内の作物の育ちが悪くてな。」

 

オフィサー
「そちらもあわせて、食材を確保してくれると
嬉しい。すでにオフィスに依頼は出してある。」

 

フェロー
「よし!食材探しにレッツゴー!」

 

─ 数時間後…

 

○ハンターオフィス

 

オフィサー
「ご苦労。これで十分食材が確保できたはずだ。
礼を言う。」

 

フェロー
「いっぱい野菜や果物が集まったね!」

 

フェロー
「これでエリシアちゃんも
喜んでくれるといいけど…。」

 

そこに、少し安心した様子の
ドクターが入ってきた。

 

ドクター
「みんな、エリシアちゃんが目覚めたわ。」

 

ドクター
「…でも、残念ながら意識はハッキリしてるんだけど
少し混乱していてうまくしゃべれないみたいなの。」

 

フェロー
「う~ん、あんな事があったばかりだし
仕方ないね…。」

 

オフィサー
「ドクター、エリシア君の容体が少し落ち着いたら
また連絡をくれたまえ。」

 

ドクター
「ええ、わかったわ。」

 

オフィサー
「皆は引き続き、砲撃の警戒態勢に入ってくれ。」

 

To Be Continued…

【メインストーリー第20話】覚醒

投稿者:
【プロデューサー】KAZ

○司令室



オフィサー
「エリシア君とフェロー君の
反応が消えたのはどの辺りだね?」

 

オペレーター(ゆるふわ清楚系)
「はいそうですね…
おそらく、人食い砂漠を
中心としたこの辺りです。」

 

オフィサー
「かなり広いな…。
全ハンターに二人を探すように
ハンターオフィスから依頼を出そう。」

 

オフィサー
「君も頼んだぞ。
どんなものでもいいから
エリシア君たちの手がかりを見つけてくれ。」

 

オフィサー
「もちろん、本人たちを
見つけてくれるのが一番良いが…。」

 

オフィサー
「手がかりとなるものなら
些細なものでも持ち帰ってほしい。」

 

マスター
「俺も知り合いのハンターに
昔の伝手で動いてもらっている。」

オフィサー
「そうか…。
すまんな、迷惑をかけるマスター。」

 

マスター
「この事態なんだ。
気にするな。」

 

ドクター
「私は何かあったときのために
ラボに待機しておくわね。」

 

オフィサー
「何もなければいいが…。」

 

─ 数時間後…

 

○司令室

 

オフィサー
「これは…エリシア君のものか?」

 

ドクター
「そうね…見覚えがあるわ。
エリシアちゃんの
左手に付けてた布の切れ端ね。」

 

オフィサー
「見つかったのはこれだけか…。
これでは…二人はもう…。」

 

オペレーター(ゆるふわ清楚系)
「船長!
エリシアさんとフェローさんです!」

 

オフィサー
「何? 通信が入ったのか?」

 

オペレーター(ゆるふわ清楚系)
「い、いえ、外を見てください。
二人と…あともう一人いますが
姿が見えます。」

 

オフィサー
「なんと…自力で帰ってきたのか…?
とにかく、迎えにでよう。
早く話を聞きたい。」

 

…

 

○荒野

 

フェロー
「あー、ひどい目にあったよ…。
ようやく帰ってこれた…。」

 

オフィサー
「フェロー君
いったい何があったのかね?」

 

フェロー
「えーと、モンスターに襲われて
攻撃を通信機で受け止めたら
なぜか通信できなくなっちゃって…。」

 

エンジニア
「なぜかじゃないよ!
そんなことしたら壊れて当然だよ!」

 

フェロー
「ああ、やっぱり壊れてたのかな。
あたしもその後、直そうとしてガンガン
ぶっ叩いてみたんだけど…。」

 

エンジニア
「叩いて直るわけないだろ!
ああ、ボクの通信機がこんなに
ボコボコになって…。」

 

フェロー
「それでその時に
助けてくれたのがこの人だよ。」



フードをかぶった女
「……。」

 

フェロー
「もう、強いのなんのってこの人。
その辺のモンスターなんか
千切っては投げ千切っては投げって感じで。」

 

オフィサー
「そうか…。
二人を助けてくれた事には礼を言おう。
君は…?」

 

マスター
「…船長、俺の知り合いだ。」

 

オフィサー
「ああ、マスターの言ってた
知り合いのハンターか。」

 

フードをかぶった女
「別にリザードに頼まれたから
その子を助けたわけじゃないよ。」

 

フードをかぶった女
「元々、どうしようもない状況だったら
ギリギリで助けに入る気でいたからね。」

 

オフィサー
「…どういうことだ?」

 

フードをかぶった女
「そんなことよりも
アタシは怒ってるんだ。」

 

フードをかぶった女
「アンタたち、危ない事を
この子にさせすぎだろ。」

 

フードをかぶった女
「取り返しのつかない事になったら
タダじゃおかないよ?」

 

オフィサー
「それは…いや、その通りだな。
言い訳もできん。
私の見通しが甘かった。」

 

オフィサー
「エリシア君、すまなかった。
こんな危険な目に合わせてしまって…。」

 

エリシア
「いえ、私はこうして無事でしたし…。」

 

フェロー
「でも、あの手袋みたいな布、
無くしちゃったね。」

 

エリシア
「ええと、あれは気づかないうちに
外れて落としたみたいで…。」

 

オフィサー
「それならこちらで回収してある。
必要なら直して返そう。」

 

オペレーター(ゆるふわ清楚系)
「船長!
壁の上から砲撃です!」

 

オフィサー
「砲撃だと!?
そうか…エリシア君を狙って…。」



オペレーター(ゆるふわ清楚系)
「地対空ミサイル発射します!
…迎撃成功です!」

 

オフィサー
「全ての弾着を確認したか!?」

 

オペレーター(ゆるふわ清楚系)
「次弾来ます!
電磁バリア展開…。
…! ダメ! 外にまだ乗組員が!」

 

オフィサー
「早くランドシップの中へ戻るんだ!」

 

エリシア
「…ダメ…間に合わない…。」

 

フェロー
「うわーもうダメだよー!?」

 

フェロー
「…あれ、なんともない…?」

 

エリシア
「……。」



フェロー
「ど、どうしたのかな?
エリシアちゃん…?
左腕の紋章が光っている…?」

 

フードをかぶった女
「今のは…砲弾の弾道を曲げたのか…?」



エリシア
「脅威ヲ排除シマシタ。」

 

フェロー
「ちょっと!
どうしたんだよエリシアちゃん!?」

 

フードをかぶった女
「あーはっはっは!」

 

フェロー
「今度はこっちの人まで変に!?」



フードをかぶった女
「そう! これだよ! これ!
アタシが求めていた力は!
あーはっはっはっは!」

 

エリシア
「……。」

 

第一章「人類再生への軌跡」完

 

To Be Continued…

【メインストーリー第19話】降り注ぐ雨

投稿者:
【プロデューサー】KAZ

○司令室

 

オフィサー
「壁際の安全地帯から抜けるぞ!
迎撃準備!」

 

オペレーター(ゆるふわ清楚系)
「了解です。
地対空ミサイル発射します。」



オペレーター(ゆるふわ清楚系)
「…砲撃、すべて迎撃成功しました。
被害はありません。」

 

オフィサー
「よし、次の砲撃が来ないうちに
壁際の安全地帯まで戻れ!」

 

オペレーター(ゆるふわ清楚系)
「はい、後退します。」

 

オフィサー
「…この結果は、やはり…。」

 

フェロー
「ちょっと船長さん。
さっきからいったい何をしてるの?」

 

フェロー
「何度も何度も
安全地帯から出たり入ったりしてるけど…。」

 

オフィサー
「ああ、すまないな。
確証があるまでは言うべきではないと
思っていたのだが…。」

 

オフィサー
「どうも、あの壁の上からの砲撃は
エリシア君を狙って行われているようだ。」

 

フェロー
「エリシアちゃんを?どうして?」

 

オフィサー
「どうしてかは判らんな…。
エリシア君が狙われている事だけは
確かだが。」

 

エリシア
「…私が狙われている…?」

 

オペレーター(ゆるふわ清楚系)
「船長、今までの対空ミサイルの
迎撃成功率が出ました。
約90パーセントです。」

 

オフィサー
「うーむ…
地対空ミサイルだけでは完全に
砲撃を防ぐ事はできないようだな…。」

 

エンジニア
「ミサイルの誘導性能を
これ以上高めるのは無理だよ。」

 

エンジニア
「迎撃からもれたぶんの砲撃は…
電磁バリアが使えればいいんだけど…。」

 

フェロー
「バリア?
そんなすごそうなものが
ランドシップにあったの?」

 

エンジニア
「あるけど使えないんだよ。
今のランドシップの動力源だけじゃ
バリアのエネルギーには足りないんだ。」

 

 

フェロー
「動力源ね…。
たしか水際研究所に動力源に
なりそうな素材があるって話だよ。」

 

オフィサー
「…しかし、そこは
壁際の安全地帯の外だな…。」

 

フェロー
「狙われているのがエリシアちゃんとはいえ
今、のこのこ出て行ったら
他の人でも砲撃されるかもしれないね。」

 

オフィサー
「そうするとハンターたちに依頼して
行ってもらうのも危険か。」

 

エンジニア
「うーん、なにか、囮になるようなもので
砲撃の目標を逸らせればいいんだけど…。」

 

エリシア
「……。」



エリシア
「…私が囮になります!」

 

フェロー
「ちょ、ちょっとエリシアちゃん!
何を言い出すんだよ!
そんなの危ないよ!」

 

エリシア
「でも、囮になるなら私が一番いいはずです。
私が狙われているんですから…。」

 

オフィサー
「…ふむ、その案は
考えてみる価値があるかもしれん。」

 

フェロー
「ちょっと、船長さん
それはひどすぎるよ!」

 

オフィサー
「いや、先ほどまでの砲撃で
その規則性がつかめた。」

 

オフィサー
「ランドシップの巨体では無理だが
小回りがきく徒歩なら
砲撃を回避することは容易なはずだ。」

 

オフィサー
「そのためには、思い切って
壁から離れた所まで
行ったほうがいいかもしれんな。」

 

オフィサー
「そのほうが着弾まで時間がかかる。
射程外まで行くことができれば安全だ。」

 

フェロー
「でも、エリシアちゃんを
危険にさらすのは…。」

 

オフィサー
「…エリシア君を守る装備のために
エリシア君を囮にせねばならない
というのは本末転倒ではある。」

 

オフィサー
「他に何か良い方法があるならば
私もそちらを選ぶのだが…」

 

エリシア
「…大丈夫です。
私にその囮をやらせてください。」

 

フェロー
「…そこまでエリシアちゃんが言うのなら…。
でも、あたしも一緒に行くからね!」

 

エリシア
「え? フェローさんが?」

 

フェロー
「いやいや、エリシアちゃんを
一人で行かせるわけないでしょ。
道に迷ったらどうするの?」

 

オフィサー
「そうだな、フェロー君
エリシア君に同行してくれ。」

 

エンジニア
「フェローさん、ボクの作った
通信機を渡しておくよ。」

 

フェロー
「ありがとー。
いざという時になったら
これで連絡するよ。」

 

オフィサー
「エリシア君たちが囮になってくれる間に
君には水際研究所に向かってくれ。
頼んだぞ…。」

 

─ 数時間後…

 

○司令室

 

オフィサー
「動力源を取ってきてくれたか。
ご苦労だった。」

 

エンジニア
「それが、この原子力エンジンだね。
これなら電磁バリアを起動するだけの
動力源になるよ。」

 

ドクター
「これでどうにかなりそうね。」

 

オフィサー
「よし、エリシア君たちに
連絡を入れてくれ。
至急、戻って合流するように、と。」



オペレーター(ゆるふわ清楚系)
「…船長、大変です!
フェローさんたちと連絡が取れません!」

 

エンジニア
「ボクが渡した通信機には
発信機も付いているはずだよ!
その信号は!?」

 

オペレーター(ゆるふわ清楚系)
「先ほどまではその発信機の信号を
捕らえていたのですが…。」

 

オペレーター(ゆるふわ清楚系)
「今は何も反応がありません。
突然、信号が途絶えました…。」

 

オフィサー
「砲撃はどうなっている?」

 

オペレーター(ゆるふわ清楚系)
「フェローさんたちはすでに
砲撃の射程外まで移動しています。」

 

オペレーター(ゆるふわ清楚系)
「砲撃が届かない場所にいるはずなのに
…そこで信号が途絶えたんです。」

 

エンジニア
「どういうこと…?
なにがあったんだろう…。」

 

オフィサー
「…私の判断が間違っていたのか…?」

 

オフィサー
「いや、そんな事を考えるのは後だ。
今は二人を探すことが何より優先する!」

 

To Be Continued…

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