【メインストーリー第67話】かつての戦友
〇転送装置 一方その頃、準備を終えたスターフォール組は 転送装置で現地に向かおうとしていた。 エリシア 「すみません。検診に時間が掛かってしまって 遅くなっちゃいましたね…。」 シュン 「大丈夫だ。こっちも戦力に心配があったから 入念に準備を行っていたので問題はない。」 エリシア 「あ、ありがとうございます…! あの…シュンさんって優しいですね。」 シュン 「…優しくはない…。 俺はただ事実を言っただけだ…。」 スプーキー 「ン ナンダ? イイカンジ ッテヤツカ?」 エリシア 「イイカンジ…?」 スプーキー 「イヤイヤ ナンデモ ナイ テンソウ スルノカ?」 シュン 「スターフォールのキャンプDに飛ばしてほしい。 沈んだ廃ビルの近くにあるトレーダーキャンプだ。」 スプーキー 「ソコデ イインダナ! ジャ トバス…」 ??? 「ちょ~~~っとっ!待った~~~っ!!」 スプーキー 「ナンダ ナンダ」 エリシア 「あっ!フェローさん!」 フェロー 「ま、間に合った~…。 借りたティーガーにドッグシステムを 搭載しておいて…よ、よかった…。」 エリシア 「どこに行ってたんですか?」 フェロー 「ちょ、ちょっとね…。」 シュン 「マスターさんから連絡は受けていた。 これで全員揃ったようだな。」 フェロー 「…さすがマスター…。」 スプーキー 「ジャ キヲトリナオシテ… トバスゼー!」 スプーキーが装置のスイッチを押すと フェロー達は白い光に包まれた。 〇スターフォール SFキャンプD シュン 「着いたな。」 フェロー 「ふぅ。スターフォールもなんか久しぶりだね~。」 エリシア 「はい!実家のような安心感ですねっ!」 フェロー 「スターフォールと言えばキミと初めて探索したのもここだったよね。 アマモ跡地で解除キーを見つけて… ミトラからエリシアちゃんを取り出したんだよね~。」 エリシア 「と、取り出したって…。」 バルドゥール 「ヴァウ!」 フェロー 「ってうわぁ!! い、犬も一緒なの忘れてたぁぁぁぁ!!」 エリシア 「バルドゥールさん、とっても可愛いですよ。 よしよし、よしよし。」 バルドゥール 「ヴァウ!ヴァウ!」 フェロー 「ひぃぃぃぃっ!!」 シュン 「さて、目的の場所は『BG研究所』だな。」 フェロー 「あ、はいはい~。えーっと、 BG研究所の正式名称は生物遺伝子工学研究所。 一時期GORO’sさん達も利用していたこともあるみたいで、 クローン体の技術を用いて、何か実験を行っていたみたい。 …なんか旧統合軍と関係なさそうだよね…。」 シュン 「聞いた話によると、GORO’s達は旧統合軍が この施設を何かしらの理由で破棄し 廃墟になってたところを再利用していたみたいだ。」 フェロー 「なるほど~。 施設の名前から察するに、もしかすると 『アンチノア・チルドレン』のような人体実験が 行われていた施設かもしれないね…。」 エリシア … …。 フェロー 「ん?エリシアちゃんどうしたの? すごい顔してるけど…。」 エリシア 「…え?あぁ、いえ! 何でも無いです!」 フェロー 「ううん…そう?うん?」 シュン 「じゃ、BG研究所に向かうするか。」 フェロー 「あたしはキミのパンターに乗るとして… バルドゥールはシュンさんのストリッツヴァグンに乗る感じかな? さ、さすがに歩きは可哀そうだし… ほ、ほら一緒に乗るの嫌だし…。(ボソ)」 シュン 「ああ、それで構わない。」 バルドゥール 「ヴァウ!」 フェロー 「でも、BG研究所って 河童の森の近くだからだいぶ遠いね…。 SFキャンプEからの方が良かったんじゃ…。」 シュン 「確かに近いが、キャンプE周辺の砂漠地帯には 『戦車の亡霊』とも噂されているイエロバスタードが 広範囲で出現するらしいからあえて避けたんだ。 俺も実際に見た事は無いが…。」 フェロー 「もし見つかったら終わりだね…。 でもここからでも途中危険な賞金首もたくさんいるし…。 日が明るいうちに何処か安全に泊れる場所を探さないと…。」 エリシア 「『戦車の亡霊』で思い出したんですけど…。 この前酒場でご飯を食べている時に戦車の墓場という場所で 戦車の亡霊を見たという話を耳にしました。」 フェロー 「戦車の…、亡霊…?」 エリシア 「はい…。なんでも骸骨の主砲で禍々しい色をした 戦車が現れるとか…。」 シュン 「…!! その戦車はクローズの戦車だ…。」 フェロー 「クローズ…? シュンさんはその戦車の所有者と知り合いなの?」 シュン 「ああ…。クローズは新統合軍『黒鴉(レイヴン)』の隊長で 『死神』『魂を狩る者』と恐れられていた男だ。」 フェロー 「という事はシュンさんも、その『れいぶん』にいたって事?」 シュン 「そうだ。色々あって今は賞金稼ぎをやっているが 俺もかつて軍に所属していた。 クローズとは何度か戦場を共にした仲だ。」 エリシア 「あっ!思い出しました! その人、船長さんの親友だったってこの前本人からお話を聞きました! エルピス作戦で消息不明になったと言っていました…。」 シュン 「消息不明…。本当か!?」 エリシア 「はい…。今は生きているか死んでいるのかさえも わからないと言っていました…。」 フェロー 「という事はその戦車の亡霊は 本当の亡霊なんじゃ…。ひぃぃっ!!」 エリシア 「とにかく船長さんに連絡してみませんか? クローズさんの事気にかけていましたし…。」 フェロー 「わ、わかった!連絡してくる! シュンさん、ちょっと戦車の無線貸して~!」 シュン 「あ、ああ…。 しかし…、本当にその亡霊とやらがクローズの戦車だとしたら 消息不明になった後、生きていた可能性はある…。」 エリシア 「そうですね! 亡霊のわけないですよね!」 フェロー 「ふぅ~。船長さんに連絡してきた~。 これから準備して向かうって。 SFキャンプAで落ち合う事になったよ。」 エリシア 「SFキャンプA?また転送ですか?」 シュン 「確か『戦車の墓場』は砂漠にあるサメの巣の上だったな。 ここからじゃ遠いし、道中にハゲタカヤーボが飛んでいるから 転送で向かった方が良さそうだな。」 フェロー 「よし、じゃ時間も掛かるだろうし あたしたちは先にSFキャンプAに向かおう。」 ─ 1時間後… 〇スターフォール SFキャンプA 先にキャンプAに着いたフェロー達は待っていると しばらくして黒い戦車が近づいてきた。船長の戦車だ。 オフィサー 「すまない、遅くなってしまった。」 フェロー 「もう遅いよ~、船長さん! おこだよ!ぷんぷん!」 シュン 「お前、キャラ変わってないか…?」 エリシア 「この戦車が前にお話しした 『しゅばるつれーべ』ですか? とってもかっこいいです!」 オフィサー 「うむ。私が現役時代使っていたIV号戦車H型だ。 正直もう動かないかと思ったが、 エンジニアがしっかりとメンテナンスしてくれていたおかげで 現役の頃とほとんど感覚が変わらないよ。 さすがエンジニアだな。」 エリシア 「エンジニアさんすごいです!」 オフィサー 「うむ。エンジニアに聞いたら『そんな事もあろうかと、バッチリ整備しておいたよ!』と言われたよ。ハッハッハ。」 フェロー 「エンジニアって本当にマメだよね~。 そういえば、待っている間に『戦車の墓場』について 色々調べてみたんだけど…。 元は壊れたり破棄された戦車の残骸を捨てる いわゆる”廃棄場”だったみたい。」 シュン 「だから、戦車の”墓場”なんだな…。」 フェロー 「うん。ただ、今はナノパンデミックの影響や エルピス作戦で亡くなった人達が多くなった影響で 今は戦死者が眠る墓場にもなってるって…。 そこら中に人が埋葬されていて十字架が立っているみたい…。」 バルドゥール 「クゥーン…。」 オフィサー 「あまりにも多くの人を失ったとはいえ、残骸と同じように 廃棄場に埋葬されているとはいたたまれない…。 何とかしてあげたいところだが…。」 エリシア 「そうだ!私たちで新しいお墓作ってあげませんか! 眺めの良い…うん、海の見える丘の上とか!」 オフィサー 「はは、そうだな。 この件が片付いたらランドシップ総出で 取り掛かるとしよう。」 エリシア 「はい!きっとみんな喜ぶと思います!」 フェロー 「エリシアちゃん…。うぅ…こんなに優しい子に育って…。」 シュン 「よし。じゃ、戦車の墓場に向かうか。」 オフィサー (クローズ…。本当にお前なのか…?) To Be Continued…
2019年5月17日 11:01