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【メインストーリー第63話】闇に舞う桜

〇転送装置

 

 

白百合

「では、準備も出来たことですし

わたくし達もグレートウォールに向かいましょうか。」

 

 

 

スプーキー

「ヘイ ラッシャイ!

…ナンカヒサシブリダナ。」

 

 

 

ニーナ

「鳥なのに人間の言葉を喋るのか…?」

 



 

スプーキー

「オイラハ トリ ジャネエ!」

 

 

 

ジェシィ

「あはぁ、可愛い鳥さんねぇ。」

 

 

 

スプーキー

「ダ カ ラ!

 

…

 

モウ ハンロンスルノモ ツカレタゼ…。

デ、ドコニイクンダ?」

 

 

 

ドクター

「グレートウォールのキャンプAに転送をお願いできる?」

 

 

 

スプーキー

「ガッテンショウチ!

 

ヒサシブリニ トバスゼー!」

 

 

 

スプーキーが装置のスイッチを押すと

白百合達は白い光に包まれた。

 

 

〇グレートウォール キャンプA

 



光が消え、転送された先は

指定通りグレートウォールの人喰い砂漠の

近くにある『キャンプA』だった。

 

 

ニーナ

「ふぅ…。どうも転送は苦手だ。

身体が妙にフワフワする。」

 

 

 

ジェシィ

「転送事故が起きなくて良かったわねぇ。」

 

 



白百合

「ここには久しぶりに帰って来ましたね。」

 

 

 

ドクター

「そういえば、白百合ちゃんと紅葉ちゃんは

カベノオクで生活していたのよね?」

 

 

 

白百合

「ええ、そうです。

新統合軍解散後、故郷のセンゲンには帰らず

ここで紅葉と暮らしていましたわ。」

 

 

 

ニーナ

「なぜ故郷に戻らなかったんだ?」

 

 

 

白百合

「…センゲンに戻らなかった理由は、

元軍人の父に…合わせる顔が無かったからです。

 

『エルピス作戦』で大敗し、同じ軍人として

恥ずかしい醜態を晒してしまいましたから…。」

 

 

 

ドクター

「気にしすぎだと思うわよ、白百合ちゃん。

状況が状況だっただけに仕方無かったと思う。」

 

 

 

白百合

「…はい。その一言で少し心が救われました。」

 

 

 

ドクター

「いいのよ。

いつまでも過去に囚われてちゃ前に進めないわ。

 

…ふぅ、私もそろそろ進まないといけないわね。」

 

 

 

白百合

…?

 

 

 

ドクター

「ううん、何でもないわ。ただの独り言よ。」

 

 

 

白百合

「は、はい…。」

 

 

 

ジェシィ

「じゃぁ、ちょっと旧統合軍に関する施設について

みんなに聞いてくるわねぇ~。」

 

 

─ 十数分後…

 

 

ニーナ

「う~ん、なかなか戻ってこないな…。」

 

 

 

ドクター

「そうねぇ。

そろそろ戻ってきても良い時間だと思うけれど…。」

 

 

 

白百合

「あ、戻ってきましたわ。」

 



 

ジェシィ

「はぁ…はぁ…。みんな、ごめんねぇ。

 

情報だけを聞くつもりがぁ、

みんなに握手とかサインとか求められちゃってぇ…。

お話をしてたらこんな時間にぃ~…。」

 

 

 

ドクター

「さすがは人気トレーダーね…。

で、どうだったの?」

 

 

 

ジェシィ

「関係がありそうな施設は東の壁を越えた雪原地帯にある

天候制御研究所、超未来発電所とぉ、

ここから南西にある湾岸ビルの3つが怪しいみたいよぉ。」

 

 

 

白百合

「天候制御研究所、天候制御研究所っと…。」

 

 

 

ドクター

「白百合ちゃん、その端末は?」

 

 

 

白百合

「あ、これですか?

何かと便利かと思いまして、

フェローさんがいつも持ち歩いていらっしゃる

タブレット端末と同じ物をオフィスから借りてきました。」

 

 

 

ニーナ

「なるほど。それがあれば

データベースから色々調べられるな。」

 

 

 

白百合

「ありましたわ。では、読みますね。」

 

 

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天候制御研究所 (Weather Control Center)

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ベールウッズのすぐ近くにある森林地帯に存在する遺跡。

 

大破壊前の「地球環境問題の解決を目的とした国際的プロジェクト」の一環として

「流体エネルギーによる広域天候制御機構の開発研究」が行われていた施設。

 

この施設の中枢の『天候制御システム』が暴走してる影響で

壁を越えた東側が寒冷地化してしまった。撒菱重工の技術者やカンパニーの有志によって

正常化あるいは完全停止が研究されていたが、未完に終わり今は放置されている。

 

記録:GW調査再生班

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白百合

「…と書いてありますね。

ここはカベノオクに近い場所にありましたので

中に入ったことはありませんけれど、近くで見たことはあります。

ここの記述通り、廃墟になっていました。」

 

 

 

ドクター

「壁の向こう側が雪原地帯なのはここの施設が原因だったのね。

しかしなぜ放置されたのかしら…。」

 

 

 

ジェシィ

「大破壊前に研究が行われていたって書いてあるから

『大破壊』が原因じゃないかしらぁ。」

 

 

 

ドクター

「仕方ないにしても

周りの町の人達からすると迷惑な話よね…。」

 

 

 

白百合

「超未来発電所もありました。読みますね。」

 

 

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超未来発電所 (Super Future energy Power plant)

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鉄道組合本部すぐ近くの川沿いに存在する遺跡。

 

『天候制御研究所』と同じく「地球環境問題の解決を目的とした国際的プロジェクト」の

一環として、大破壊前に各国家が合同で設立した施設。

 

完全無公害・完全再生可能な代替エネルギーの開発」というテーマを掲げた

チームが研究開発にあたったみたいだが、謎の生命体が発電炉に寄生し、

エネルギーを吸収された影響で発電量が低下し発電所として機能しなくなり放置された。

 

記録:GW調査再生班

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白百合

「…と書いてあります。

天候制御研究所と同じ理由で建てられた施設のようですね。」

 

 

 

ニーナ

「2つの施設は国が関わっているようだが、

軍事関連の施設ではないようだな。」

 

 

 

ジェシィ

「そうねぇ。湾岸ビルはどうかしらぁ?」

 

 

 

白百合

「少しお待ちくださいね…。

えーっと…。あ、ありました。」

 

 

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湾岸ビル A棟/B棟/C棟 (GuLf Bbuildings)

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南西部の海岸沿いに立ち並ぶA棟/B棟/C棟の3つのビルから成り立っている。

ういう用途で使用されていた施設かは不明だが、軍の戦車や装備等が

カンパニーによって発見されている事実から

人類統合軍の駐屯地だったのではないかと推測されている。

 

記録:GW調査再生班

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ジェシィ

「人類統合軍!ビンゴねぇ。」

 

 

 

ドクター

「じゃ、さっそく湾岸ビルに向かいましょう。」

 



 

通りすがりのメカニック

「あなた達、湾岸ビルに行くの?

やめといた方がいいわよ~。」

 

 

 

ニーナ

「そのつもりだが、どうかしたのか?」

 

 

 

通りすがりのメカニック

「あそこのビルは随分前からモンスターの住処になっているんだけど、

どうも最近やばい賞金首が住み着いているみたいなのよ。」

 

 

 

白百合

「”やばい”賞金首…ですか?」

 

 

 

通りすがりのメカニック

「うん。『マンイーター』と呼ばれている

超大型カメレオンがいてね、何人か湾岸ビルに忍び込んで

お宝を拝借しようとしたごろつき共が丸飲みにされたらしいのよね。

逃げ帰ったやつらに聞いたんだけど~。」

 

 

 

ドクター

「カメレオンと言うとスターフォールに居る

ビルカメレオンとかカメレオンテと同系種かしら?」

 

 

 

ニーナ

「マンイーターか。噂は聞いたことがある。

睡眠ガスを吐くそうだが、カメレオン型モンスター特有の

光学迷彩を使われると厄介だな…。」

 

 

 

通りすがりのメカニック

「あと、最初に発見された時は茶色い姿だったけど、

今は変色して赤色になってるみたい。

理由はよくわかんないんだけどね。」

 

 

 

ドクター

「カメレオンは怒ると体の色が真っ赤になるという性質があるわ。

お宝を盗もうとしたごろつきに怒ってるのかしら…。」

 

 

 

通りすがりのメカニック

「あそこはB2マンタレイが上空を徘徊しているから

まあ、何にせよ本当に行くなら気を付けてよね。」

 

 

 

白百合

「ご忠告ありがとうございます。

しかし、B2マンタレイはハンターと戦車が必須なので

この構成では討伐が困難ですね…。」

 

 

 

ジェシィ

「うっかり会ってしまったら、

手を出さない限り攻撃はしてこないと思うけどぉ、

爆撃されてしまう可能性もあるわねぇ。

 

みんなで私の『ポルシェ470』に乗って

人喰い砂漠の方を迂回した方がよさそうねぇ。」

 

 

 

ドクター

「ポルシェ…?

あの大破壊前に存在したスポーツカーかしら?」

 

 

 

ジェシィ

「違う違う、RSOトラクターよぉ。

さ、みんな乗ってぇ。」

 

 

─ 数時間後…

 

 

○湾岸ビル前

 



ドクター

「何とかB2マンタレイに会わずに

無事着いたわね。」

 

 

 

ニーナ

「本来は徘徊ルートなんだが、

今日はついてたね。」

 

 

 

白百合

「『マンイーター』が住み着いてると言われているのは

C棟のようですね。」

 

 

 

ジェシィ

「じゃ、私はお荷物になるから

外で待機してるわねぇ。

何かあったらBSコントローラーで連絡してねぇ。」

 

 

 

ドクター

「じゃ、入りましょうか。」

 

 

○湾岸ビルC棟 内部



 

ビルの中はモンスターの巣窟となっており、ひどく荒れ果てていた。

今にも崩れそうな壁や、むき出しになった鉄骨。

時折地面には人間の骨らしきものも落ちている。

 

 

ニーナ

「これは酷い…。

とても軍の駐屯地だったとは思えないねぇ。」

 

 

 

ドクター

「臭いやホコリもひどいわね…。

うっ…!ゴホンゴホン…。」

 

 

 

白百合

「恐らくですが軍がこのビルを破棄した後、

人間がここに住み着いていたんじゃないでしょうか。

生活をしていたような痕跡もありますし…。」

 

 

 

ニーナ

「言われてみれば、缶詰とか食料の残骸が落ちてる。

もしかすると、モンスターが住み着くようになって

追い出されたのかもしれないねぇ。」

 

 

 

ドクター

「この人間の骨は…。服装からして

ハンターかしら…。」

 

 

 

ニーナ

「恐らくお宝目当てに忍び込んだ

ごろつき共やハンターたちの成れの果てだろうねぇ。

ここは、酸を吐くアシッドアントや

即死攻撃を持つ危険なサムライアリが住み着いているようだからね。」

 

 

 

白百合

「とても危険ですね…。用心して進みましょう。」

 

 

途中アシッドアントに不意に襲われ危ない場面もあったが、

着々と敵を倒していき、階を登る白百合達。

 

道中にあった木箱から大量のクノイチや忍び服が見つかった。

軍が使用していた装備なのだろうか。

 

 

ドクター

「…和装…かしら?」

 

 

 

白百合

「センゲンにあった装備に似てますね。

状態も綺麗ですし、普段着るのに丁度良いので

持ち帰りましょう。」

 

 

 

ドクター

(…しっかりしてるわね、この子…。)

 

 

 

ニーナ

「さぁ、ぼさっとしてないでとっとと行くよ!」

 

 

 

白百合

「…すみません!今行きます!(両手に大量の服を抱えて)」

 

 

─ しばらくして…

 

 

ニーナ

「見た感じこの階段を上がれば

たぶん最上階かねぇ。」

 

 

 

白百合

「そうですね。

どうやらここが終着点のようですね。」

 

 

 

ドクター

「マンイーターに遭遇しなかったけど…、

やっぱこういうのって最後の部屋にいるのかしら…。」

 

 

最上階に着くと無駄に広い部屋に出た。

部屋の真ん中には巨大なカメレオンのようなモンスターがいる。

その赤い姿は噂にあった『マンイーター』だ。

 

 

ドクター

「やっぱり…。お決まりのようね。」

 

 

 

白百合

「警戒してください…!!」

 

 

よく見るとマンイーターの近くに人のような影が見える。

その瞬間、マンイーターはその”人のような何か”を

大きな口を開け一瞬で飲み込んだ。



 

マンイーター

「グルルルッ…。ゴクンッ。」

 

 

 

ニーナ

「人…を飲み込ん…だ…?」

 

 

 

白百合

「すぐに腹を裂けば消化はされないはずです!

…行きますッ!!」

 

 

白百合はマンイーターに向かって

走り出そうとしたその時…。

 

マンイーターが苦しむように暴れだした。

 

 

ドクター

「白百合ちゃん!マンイーターの様子が変だわ!」

 

 

 

白百合

「…え?」

 

 

 

マンイーター

「グルルッ!?…ガフッ…ウェ!!」

 

 

マンイーターの背中が真っ二つに裂け

中から人間…女の子が出てきた。

 

 

ニーナ

「…なっ!?」

 

 

???

「アハっ…♡ 綺麗に裂~け~た♡」

 

 

 

白百合

「お…お前は…!!」

 

 



???

「ん~?あら…。

どこかで聞いた声かと思ったら

白百合じゃない…♡

 

お~ひ~し~ぶ~り♡ アハハッ♡」

 

 

To Be Continued…

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