【メインストーリー第56話】追跡者
メタルサーガ~荒野の方舟~ メインストーリー 第五章「罪と贖罪」 ———————————————————- 意識を失ったエリシアは夢を見ていた。 エリシア (ここはまた夢…?) 夢の中に断片的な光景が浮かんでくる。 この光景は先日アラドに捕まった時の様子だった。 アラド 「まぁ、こいつは我々にとっても 重要な存在だからな。殺したりはせんよ。 まぁ、もう死んでいるようなものだが…。」 エリシア 「…私が…死んでいる…?」 エリシア (…ほら…!私…生きてるよ…!?) 目の前が真暗になり、場面は変わった。 そこは以前夢の中で見た医務室のような部屋。 前に夢で見た光景と同じだった。 エリシア (ここは…。前に…夢で見た光景…?) 父親? 「おい!!エリシア!!死ぬな!! エリシアー!!」 エリシア (…私が…死ぬ…?) 母親? 「エリシア…うう…エリシア…なぜこんなことに…。」 エリシア (…私…死んじゃうの…?) 父親? 「何か…まだ何か…方法があるはずだ…。」 母親? 「あなた…変な考えはやめて…。エリシアはもうっ…!」 エリシア (…私は…もう…手遅れなの…?) 目の前が真暗になり、場面は変わった。 そこは研究室のような部屋で これも前に夢で見た光景と同じだった。 父親? 「エリシア…。待ってろよ…。 お前をこの機械で…。」 父親と思われるその手には マイクロチップのような小型の機械があった。 エリシア (…その機械をどうするの…?) 父親? 「こうでもしないと、エリシアはこのままなんだぞ!!」 ふと視線を下に向けると 自分と同じ姿の少女が実験台のようなところに 寝かされていた。どうやら自分は今浮いているらしい。 エリシア (私がいる…けど体温が感じられない…。 やっぱり…死んでいるの…?) 母親? 「エリシア…待ってて…。私も…あなたの元に…。」 母親と思われる声のする方に視線をうつすと、 女性が椅子の上に立っている。 よく見えないが、首にはロープのようなものが 巻かれているようだった。 エリシア (お父さんから聞いた話だけど…確かお母さんは 私が小さい時に死んじゃって…。…まさか…。) 母親? 「エリ…シア…、ごめん…ね…。」 ガタンッ… エリシア (お母さん…、私のせいで…?) エリシア 「…い…や… いや…いや…いやいやいや!! イヤアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!」 エリシアは叫び、 夢の中で再び意識を失った。 ———————————————————- ○グラウンド・ゼロ中心部 フェロー 「ふぅ~…。久しぶりの外の空気は… …ウッ!!毒が…!!」 紅葉 「フェローさん…。 ドクフセーグ付けてるじゃないですか…。」 フェロー 「…あ!そっか!」 ロウ 「おーう。出てきたかァ。」 フェロー 「…ロウってドクフセーグ付けて 無いけど大丈夫…?」 ロウ 「ん?全然問題ねェぞ。 それより、もういいのかァ~?」 フェロー 「呼吸器官どうなってんの…。」 白百合 「はい、だいたいの仕組みは理解出来ましたので。」 ロウ 「よし、それじャァ ランドシップに戻るかァ。」 フェロー 「エリシアちゃん達の様子はどう?」 ロウ 「ぐっすり寝てらァ。 まぁ、気を失ってるという表現が正しいのかもなァ。 ハッハッハッ!」 紅葉 「お気楽ですわね…。」 …数分後。 フェロー達はパンドラを後にし、 ランドシップに向かっていた。 ロウ 「鍵かァ…。 もっとハイテクかと思ったら 案外アナログなんだなァ。」 フェロー 「いやいや、光ったり台がせりあがったり 文字が浮かびあがったりアトラクションみたいだったよ!!」 紅葉 「いや、そこじゃないですわ…。」 白百合 「しかし…7本も鍵を集めないとなると かなり大変ですね…。 まだ1本しか見つかっていませんし…。」 フェロー 「そうだね~…。 ランドシップに戻ったらドクターと エンジニアで解析をお願いしてみよう。 何かわかるかもしれないし。」 紅葉 「マスターさんやフォックスさんが 何かご存じだといいんですけど…。」 ロウ 「…ん?なんだァあれ?」 ロウが後方を向きながら指差した先には… 黒い無数の点が空を飛んでこちらに向かっているようだった。 フェロー 「ひぇ!?む、虫!?」 白百合 「紅葉あれが何か見えますか?」 紅葉 「任せてください、お姐様。 フェロー 「え?紅葉ちゃんあんなに遠くの物が見えるの?」 白百合 「紅葉は視力がとても良いんですよ。 遥か遠くにいる敵も目視で確認出来るんです。」 紅葉 「これは、ミュートの力ですわ。 ミュートは遠くの獲物を認識できるよう タカの遺伝子を配合し、通常の人間の10倍は 目が良いんですわ。 …ん?あの目は…。 ノアの目を持つ飛行物体の大群ですわ!」 フェロー 「ノアの目…!? もしかして…私達を追ってきたの?!」 白百合 「ノアの目をした飛行物体…。 …!!エルピス作戦で見たことがあります!! パンドラの中から突然現れて、兵士達を襲っていました!!」 ロウ 「なるほどォ。もしかしたら、 パンドラの追撃システムかもしれねぇなァ。」 紅葉 「パンドラの秘密を知ってしまった私達を 消そうとしているのかもしれませんわね…。」 フェロー 「データベースにないか調べてみる! えーっと…、あった!! 『チェイサー』 別名『追撃者』ノア=アイを持つ小型の飛行型機動兵器で、 群れで行動し、主に索敵、監視、抹殺の為に作られた殺人兵器みたい。 危険度は★3だよ!」 白百合 「追撃者…。 やはり、私達を追って…。」 紅葉 「来ますッ!!」 チェイサー 「ギギギ…。」 無数のチェイサーがフェローの乗る戦車を目掛け 襲い掛かって来た。 カンカンカンッ!! ガンッガンッガンッ!! フェロー 「うわわわっ!!なんでこっちに!! しかもコイツら力が強いよ!車体の耐久度がもたないよ!!」 ロウ 「クソォ!ちょこまか鬱陶しいな!!」 ドウンッ!ドウンッ!ドウンッ!ドウンッ!ドウンッ! 無数の主砲から繰り出された砲撃が 空飛ぶチェイサーに集中砲火を浴びせるが 素早い為、なかなか命中しない。 ロウ 「ったく、しゃらくせェ!!ザコのクセによォ!!」 ドウンッ!ドウンッ!ドウンッ!ドウンッ!ドウンッ! バラララララッ!!! 無数の主砲と副砲からデタラメに繰り出された砲撃が チェイサーに命中し数が半分程に減ったようだ。 ロウ 「くそォ…かったるい…。 まだいやがるのかよ…。」 紅葉 「お姐様!いきます!はぁぁぁぁ!!」 白百合 「…はあっ!!」 紅葉と白百合は 空中に飛び、チェイサーに向けて 薙刀と刀で連続攻撃を繰り出した。 チェイサーが壊れバラバラと地上に落ちて行く。 紅葉 「はぁはぁ…。さすがに数が多いですわ…。」 白百合 「そうですね…。 これではキリがありません…。」 フェロー 「ん~…。 よし!私が囮になるから集まったところを キミのS-Eで撃ち落として!!」 フェローはそう言い放つと、返す言葉もないまま 外に飛び出していった。 白百合 「…フェローさん!危険です! さがっていて下さい!」 フェロー 「大丈夫!大丈夫! おーい!こっちだよ~!!」 チェイサー 「ギギギ…。」 フェロー 「ほらほら!こっちこっちー!」 フェローは橙色の鍵をチェイサーの方に 見せびらかし挑発をした。 チェイサー 「…ギギ!カギ…。パンドラ…!」 チェイサー達はロウ達にも目もくれず、 フェロー目掛けて飛んでいった。 フェロー 「お!やっぱり反応した! って…うわわわわ!!さすがに多いよ~!! キミ…準備して…!!」 ロウ 「フェロー!!危ねぇゾ!!しゃがめ!!」 バラバラになったチェイサー達は ひとつの黒い球体になりフェローに襲い掛ろうとしている。 フェロー 「キミ!…、今だよ!!」 バシュンッ!!と放ったミサイルは チェイサーの”黒い球体”を目掛けて飛んでいき、 着弾と共に大爆発を起こした! フェロー 「やった!!全部倒したよ!!」 ロウ 「お~う。やるじャねェか!」 白百合 「ふぅ…。さすがに疲れましたね…。」 紅葉 「…疲労と損害が大きいですわね。 早くランドシップに戻りましょう。」 フェロー 「そうだね~。ふぅ、疲れた…。 ん…?誰かに見られているような…。 …まぁ、いいか!」 … その場を去るフェロー達を 物陰から監視する目があった…。 チェイサー? 「ギギ…。」 To Be Continued…
2018年7月12日 14:06