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【メインストーリー第43話】パンドラ

○酒場



明日ビーチタウンに戻る事になった
皆は酒場で休息を取っていた。

 

ロウ
「んぐッ…んぐッ…。
ぷはァ~!!酒がうめェな!!」

 

フェロー
「ロウ~、飲みすぎだよ~…。」

 

ロウ
「おいおい~、かたいこと言うなよなァ。
ひと仕事終えた後の酒は格別だなァ!!

ネーちゃん!マレバビールを
樽ごと追加してくれェ!」

 

酒場女
「はいよ~。」

 

マスター
「そう言えば、白百合と紅葉は
“新統合軍の生き残り”と言っていたが、
どこの部隊所属なんだ?」

 

白百合
「わたくし達は新統合軍の
『櫻花(おうか)』という部隊に所属していました。

櫻花は女性ソルジャーのみで構成された部隊で
わたくしは部隊長をしておりました。」

 

フェロー
「部隊長!?その若さですごいね!」

 

紅葉
「お姐様は若干19歳という若さで
櫻花の頂点に立った、言わば天才ですわ。

あ、ちなみに紅葉はお姐様の
お目付役でしたわ。今もそうですけれども。」

 

フェロー
「お目付役って…。
その時紅葉ちゃんはいくつだったの?」

 

紅葉
「その時、紅葉は16歳でしたわ。
懐かしいですわね。」

 

フェロー
「いや、あなたも天才じゃないの…。」

 

白百合
「わたくしと紅葉は小さい頃から
姉妹のような関係で育ったので、
それもあって任命された感じですね。

紅葉は立ち場的には副部隊長という形で
働いてくれていましたわ。」

 

マスター
「なるほど、仲良いんだな。」

 

白百合
「ところで、マスターさん。
素晴らしい戦闘技術をお持ちでしたが、
マスターさんも元は軍の方でしょうか?」

 

マスター
「俺か?俺は旧統合軍の
『ビースト』という部隊に所属していた。
当時のコードネームは『コールドリザード』だ。」

 

白百合
「…なんと!あのエリート集団と名の高い
『ビースト』に!?」

 

マスター
「『ビースト』を知ってるのか?」

 

紅葉
「『ビースト』は櫻花の中でも有名でしたわ。
一部カリキュラムも取り入れられてましたし。
どうりであんなに強いはずですわ…。」

 

マスター
「まぁ、昔の話だ。
昔に比べれば3分の1も動けてないぞ。」

 

白百合
「想像以上で言葉が出ませんわ…。
恐れ入りました。」

 

ドクター
「その桜模様が入った白の詰襟軍服は
櫻花のものかしら?綺麗ねぇ。」

 

白百合
「はい、そうです。
すでに部隊は解散してしまいましたが、
名誉のために、解散後もずっと着用しております。」

 

フェロー
「そういえば、ロウは『白海豚(しろいるか)』だっけ?
その部隊はそういう軍服みたいなのって無かったの?」

 

ロウ
「誰がシナウスイロイルカだコラァ。
白鯨(しろくじら)な。
し・ろ・く・じ・ら!」

 

フェロー
「あっ、ごめんごめん~!
そうそう、白鯨!」

 

ロウ
「軍服?まァ、海軍みたいなもんだったからなァ。
一応あったことにはあったけどよォ。
クッソダセーから1回も着なかったぜ。」

 

フェロー
「さすがアウトロー…。
ロウってGORO’Sにいても違和感ないよね…。」

 

マスター
「3人は同じ新統合軍だが面識はあったのか?」

 

ロウ
「いや、ねェよ。
前にも言ったが、俺らはトコナツを中心に
海上を主に活動していた部隊だったからなァ。」

 

白百合
「『白鯨』という名前だけは存じおりましたが、
直接の面識は無かったですね。
わたくし達も活動の拠点はセンゲンだったものですから。」

 

フェロー
「確かロウは『エルピス作戦』には
参加してなかったらしいけど、
二人は参加していたんだよね?」

 

紅葉
… …。

 

白百合
「はい…。わたくしたちは参加しておりました。」

 

マスター
「俺とドクターもその作戦に
カンパニーとして参加していた。」

 

白百合
「あの時、作戦の先陣を切っていたのは、
精鋭部隊『亡者(ネクロ)』でした。

わたくし達、櫻花はその亡者の
後方支援という形の配置になっていました。」

 

マスター
「『亡者(ネクロ)』は新統合軍から
選り抜かれた改造兵士たちの部隊だよな。

確か旧統合軍の『亡霊(ガイスト)』の技術を
再利用して作られた部隊だとか。」

 

白百合
「はい。その作戦中先陣を切っていた
亡者の通信が途絶え、
妙に思ったわたくし達が駆け付けた頃には…。」

 

ドクター
「私達もその話は聞いたわ。
あの渦中、二人は無事だったの?」

 

紅葉
「いえ…。巻き込まれましたわ。
それで櫻花は多くの仲間を失いましたの…。」

 

マスター
「二人は逃げたのか?」

 

白百合
「はい…。応戦しましたが、被害がどんどん拡大し、
手を負えなくなってしまい…退避しました…。」

 

マスター
「賢明な判断だったと思うぞ。

ナノパンデミックの
その後の影響はないのか?」

 

紅葉
「特に問題ありませんでしたわ。」

 

ドクター
「”キャンサー”の影響を受けてないですって…?
二人共サイバーウェア化はされてないみたいだけど…。」

 

マスター
「という事は、鉄道組合本部の暴走の時も
特に影響は無かった…という事か。」

 

白百合
「その”キャンサー”というのが何なのかは
存じ上げていませんが、もしそれが
武器の暴走や暴発の事を指しているのでしたら、
私達の武器は独自の技術でセンゲンで作られたものなので
恐らく影響が無かったのだと思います。」

 

マスター
「なるほど…、そういう事か。」

 

紅葉
「そうですわね。
エルピス作戦の時も他の兵士達の武器は
暴走していましたが、私達の武器は
影響ありませんでしたわ。」

 

白百合
「わたくしの『夜桜千十(よざくらせんじゅう)』、
紅葉の『百花繚乱(ひゃっかりょうらん)』

そして、櫻花に支給されていた
両手刀「舞桜一文字(まおういちもんじ)」、
薙刀「桜花爛漫(おうからんまん)」、
電動火縄銃「花嵐(はなあらし)」も影響ありませんでした。」

 

フェロー
「なるほど~。さすがに”キャンサー”も
独自の技術で作られた物は
解析や適応に時間が取られるから
放置したと考えるのが無難かな。」

 

マスター
「それを考えると少し”キャンサー”の
対応策が見えてきたな。」

 

ドクター
「そうね。”キャンサー”は目には見えないから
怖いけれど、解析や適応に時間が取られる物で
装備を固めれば、影響を受けづらい可能性があるってことね。」

 

フェロー
「あと気になったんだけど、”ある秘密”を知っていたって
言ってたけどその”ある秘密”って何なの?」

 

白百合
「エルピス作戦の”本当の目的”はご存じですか?」

 

ドクター
「目的はグラウンド・ゼロにあった
とある施設を目指す作戦だったと思うけど…。」

 

白百合
「”なぜ”その施設を目指すのかは
理由はご存じですか?」

 

マスター
「いや、知らないな…。
船長からは、その施設には
“我々が入手しなければならない存在”があると
聞いてはいたが詳しくはわからない。

作戦の名前の通りそれを入手する事で
“人類の希望”になるとは聞いていたが…。」

 

紅葉
「なるほど。そこまで知っているなら
話が早いですわね。

まず、その施設はグラウンド・ゼロの爆心地に
存在する施設。皆さんはこの施設を
『パンドラ』と呼んでいました。」

 

フェロー
「パンドラ…。
本で呼んだことがあるけど、箱を開けると、
人類は不幸にみまわれるようになり、
希望だけが箱の底に残ったといわれている
あのパンドラの箱の『パンドラ』なの?」

 

白百合
「おっしゃる通りです。
そのパンドラの箱の説のように
施設に残された”希望”を手に入れる事が
目的の作戦でした。」

 

マスター
「その希望とは一体何なんだ?」

 

紅葉
「そうですね…。聞く話によると
“第二のノア”のようなものですわ。」

 

ドクター
「ノア…!?」

 

マスター
「…ちょっと待て…。
それがもし仮にノアだとしたら
希望も何もないじゃないか。」

 

フェロー
「そもそも人類が衰退した原因は
ノアなんだよ?!それが希望なの?!」

 

白百合
「皆さん、落ち着いて聞いて下さい。
『パンドラ』の中にある”第二のノア”は
大破壊を起こしたノアそのものではありません。」

 

フェロー
「あっ、そっか…。
そもそも、既にノアは
とあるハンターによって破壊されてるもんね…。」

 

ドクター
「また、ノアの端末やノアシードみたいな
『ノア』が作り出した遺物なの…?」

 

紅葉
「いえ、正確にはそのようなものでは無く
それを利用する事で”ノア”に対抗できる
手段になるというべきでしょうか。」

 

マスター
「”ノア”に対抗できる手段だと?」

 

白百合
「はい。
今も尚、世の中を闊歩するモンスターのうち、
未だ『ノア』の命令で動いているものや、
生産されているものの比率は大きいと思います。

その『パンドラ』の中にある”第二のノア”を
入手し、利用する事でそれらを無効化する事が
可能性があるモノとの事でした。

もしそれが本当であれば人類の脅威は
大いに減ることに繋がる…。

ただし、それを悪用すると
また大破壊を招く可能性がある。

それを入手する事が
エルピス作戦の”本当の目的”です。」

 

マスター
「なるほど…。その”第二のノア”を使い
命令するという事か…?

でもその『パンドラ』の中にある
“第二のノア”とは一体何なんだ?」

 

紅葉
「私達は部隊を仕切る存在だったので
ここまでの情報は上層部から聞かされていました。

ただ、そのある”モノ”が
何かまでは私達でも聞かされていませんでしたわ。」

 

白百合
「そして、この”秘密”を知っていたので恐らくアラドは
私達を消そうと鉄道組合本部を襲撃したのだと考えています。
恐らく他の新統合軍の生き残りもすでに…。」

 

フェロー
「そうだったんだね…。
でもロウは作戦に関係ないから
狙われなくて良かったじゃん!」

 

ロウ
「あん?アラドかマラドーナか知らないけど
そんな奴返り討ちにしてやるよ。」

 

ドクター
「…なんで船長はそんな大事な事を私達に隠していたの!?
仲間でしょ…!?言ってくれても良かったのに!」

 

マスター
「落ち着け…。
あくまで推測だが、船長が俺達に詳細を
教えなかったのはこの情報を知ることで
誰かの手により消されるかもしれない。
そう思って言わなかったんじゃないか…?」

 

フェロー
「…なんか船長さんらしいよね…。
自分だけいつも背負い込んでさ…。」

 

マスター
「とにかく二人の事情はわかった。
明日ランドシップに戻って
船長にも話をしてみよう。」

 

フェロー
「そうだね。今後どうするかもあるし。
エリシアちゃん元気にしてるかな?」

 

ドクター
「もう体調は回復したから
今頃元気にしているんじゃないかしら。」

 

フェロー
「そういや、ロウはこれからどうするの?」

 

ロウ
「そうだなァ。とりあえずお前らが
ビーチタウンに着くまで俺が護衛してやるよ。」

 

マスター
「それは心強い。助かる。」

 

ロウ
「とりあえず今日は飲もうぜェ!
ネーちゃん!ゴローズを3本追加してくれェ!」

 

酒場女
「また?!はいはい~。」

 

フェロー
「海のオトコって豪快だね…。」

 

To Be Continued…

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