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サクセスの企業風土(3)

グループウェアの活用

――通信アプリ『BIZLINE』も業務改善のために開発されたということでしたが。 吉成 『BIZLINE』は、個人のスマホやタブレットといった端末を業務に利用することで、通信費のコストダウンと、作業効率の向上を実現しました。BYOD(Bring Your Own Device)の一つです。 昔から、社内ではビジネスホンを部署ごとに数台ずつ配置しているのですが、社員の中には電話の取り次ぎを面倒くさがって、まったく電話に出ない端末もけっこうあったんですよ。   ――全員が「他の誰かが出るだろう」と考えるんですね(笑)。 吉成 それで社内でけっこうクレームが出るんですよ。リスポンスが良いかどうかは、人に与える印象に大きく影響するんです。でも、そのことに気づいていない社員は意外と多いんです。 『BIZLINE』では、社内全員のパソコンとスマートフォンのログイン状況を常に把握できますし、相手を呼び出す場合も内線番号なしできます。出ない場合は、メッセージをテキストでも送れますので、ずいぶんと効率が上がりました。   ――注意してもなかなか改善しなかった社員の問題点を、新しいソフトウェアの開発に活かしたわけですね。 吉成 まあ、最近では『BIZLINE』からログアウトしたり、マナーモードにするなど、あの手この手で電話に出ない社員も出てきたので、バージョンアップの際にその対応策を組み込んでいます。業務改善のヒントはいたるところにあって、まだまだ工夫の余地はありますね。   ――困った社員に手を焼きつつも、しっかり役立てているのですね(笑)。そういえば最近、サクセスの受付も内線電話から『BIZLINE』に変わりましたよね。訪問相手の名前からも部署名からも検索できますし、相手の情報が写真付きで表示されるのでとても使いやすかったです。 吉成 じつは『BIZLINE』に『Who’s who?』のデータを連動させているんです。また、社内ツールとしてメールやグループウェアを利用しているのですが、『BIZLINE』にそうした他社のソフトと連動できるようにすることで利便性を高める計画です。  

社長自らが陣頭指揮!

――これまでのお話を伺っていると、吉成社長の、業務改善に対する並々ならぬ意欲を感じます。こうした改善策には、社員からの発案も多いのでしょうか。 吉成 社員からの要望や提案には積極的に耳を傾けています。とはいえ、会議や打ち合わせといった場では時間の制約もあって直接聞くことが難しいので、そのためのソフトを開発しました。グループウェア上から業務改善の提案書に「問題点」と「解決策」を書いて提出すれば、遅くとも翌月には当該部署から何らかの回答をすることになっています。これらすべての情報は全社員に公開され、共有されています。   ――提案のハードルが下がることで、いろんなアイディアが集まりそうですね。 吉成 このシステムは2014年にスタートしましたが、ソフトを開発する以前の半年ほどはメールを使って試していたんです。そのときはものすごい数のメールが届きましたね。それらすべての提案に目を通し、エクセルにまとめて、回答を提示しました。  
改善提案一覧
業務改善案を募ったところ、社員たちから膨大な提案が寄せられた。 当初はエクセルでまとめていた。
  ――もしかして、すべて社長が処理されたのですか? 吉成 まあ、社員のクレームを聞くのが社長の仕事ですからね(笑)。 当時は次々と届く要望や提案を片っ端から処理しなければならず大変でしたけど、そのときに大きな問題はあらかた出尽くしたので、今はだいぶ落ち着きました。   ――これまでの業務改善案の中に、なにか画期的なものはありましたか? 吉成 取るに足らないものが多かったですね。たとえば、「観葉植物の鉢植えにエアコンの風が直撃して枯れそうだから、置き場所を変更してはどうか」とか「席を立つときに椅子を引いてくれない人がいて通行の邪魔になるのだが、直接は言いづらいのでルール化してほしい」といった具合です。そんな案が山ほど届きました。   ――ちなみに、そういう場合はどう回答されるのですか? 吉成 「人や会社に頼らず、自分で考えて対処しなさい」と(笑)。ただ、そういった些細な問題点でも、目の付け所が優れていたり、創意工夫を凝らしたスマートな解決法を示した提案もあって感心することもありますね。「good idea!」とコメントして即対応しています。ほかにも社内で使用しているシステムの不具合から福利厚生の不満点など、大小に関わらずさまざまな意見が寄せられました。  

吉成社長のつぶやき(24)

個人情報の保護が叫ばれる昨今、『Who’s who?』への顔出しを嫌がる社員はいなかったのだろうか。 『全員強制です。仕事相手に顔と名前を覚えてもらうってすごく大事なことでしょう。その意味が分からないような人間は、会社に勤める資格がない。 最近のテレビで、一般人の顔をぼかすものだから画面の大半がぼけていることってよくありますよね。そんなことに気を配るのは世界中で日本だけの現象ですよ。これも馬鹿げた日本固有の現象。玄関に表札を出さない家が増えていますよね。これも同じ現象。病的としか言えないな』

1 件のコメント

  • 社内環境や業務環境の改善は、作業効率の改善を通じて会社のメリットになる点が多いと常々思っていますが、直接的な利益につながらないせいか、重要視する職場が少ないように思います。
    企業風土の重要性を上に立つ人間が理解しているというのはとても貴重な要素であると思います。

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