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人生のコツ(2)

何回でも読みたくなる本

――読書家でいらっしゃる吉成社長ですが、「10回読んでも損はない!」と太鼓判を押せる本を教えてください。 吉成 書名をひとつというのはとても選べませんが、司馬遼太郎と藤沢周平の本はどちらもおすすめです。   ――司馬遼太郎も藤沢周平も時代小説の名手ですが、時代小説がお好きなのですか? 吉成 司馬遼太郎は歴史上の有名な人物を題材にしていることが多く、藤沢周平は市井の人物を描いています。まったくスタイルが違いますが、どちらも面白いし、歴史を知る上でも役に立ちます。   ――てっきり、経済関係の本やビジネスエッセイなどが挙がるかと思っていたので、すこし意外に感じました。 吉成 もちろん経済の本も好きで、よく読みますよ。特に長谷川慶太郎さんの本は見かけたら必ず買います。今89歳のはずですが、国内外の政治・経済から軍事関係まで、とんでもない情報量を網羅している方なんです。大前研一さんの本もよく読みますね。彼は原子力工学を専攻して、日立の原子力部門にいた人で、その後マッキンゼーの日本のトップに立った人です。あともう一人、亡くなった邱永漢も好きで、講演も聞きにいったことがあります。彼は東大を出て直木賞作家になって、そのあと小説ではなく経済の本ばっかり書くようになったんです。株の名人で、「お金儲けの神様」と呼ばれていた人です。   ――長谷川慶太郎、大前研一、邱永漢も著作が多いので、すべてを読破しようと思ったら大変ですね。気軽に楽しめるところで、おすすめの映画などはありますか? 吉成 映画だと『サウンド・オブ・ミュージック』ですね。全部で3時間ほどの長い映画なんですけど、ストーリーもいいし、有名な曲がたくさん入っていて楽しめます。主演のジュリー・アンドリュースは大好きな女優さんです。  

愛は育てないと枯れてしまう

――ご旅行はいつも、奥様が企画されているそうですね。 吉成 毎回、妻がすべて仕切っています。僕はありがたくついていくだけ(笑)。   ――以前、うまくいかなくなる夫婦にはコミュニケーションが足りていないのだろうとおっしゃっていましたが、吉成社長ご夫妻はそういうトラブルとは無縁そうですね。 吉成 あはは。お互いにちょっとした我慢や思いやりがあればどうにかなるものですよ。愛は育てないと枯れてしまいます。どんな人間関係にも共通することですが、長く育ててゆくことが大事なんです。   ――社内の人間関係も同じですか? 吉成 その通り。些細なことで人間関係は良くもなり、悪くもなります。以前、こんなことがありました。あるマネージャーが別のマネージャーに対し、「そういうことを言うからお前は社長に嫌われるんだ」と言っちゃったんです。ちなみに僕は、彼を嫌いだなどと言ったことはありません。だけど「社長に嫌われてる」と言われたほうは感情を害して、思い出すたびにどんどん嫌な気分になってしまう。もちろん僕は、言ったほうを呼び出して注意しました。態度の悪い同僚をたしなめるために使ったにせよ、「嫌い」なんていう言葉は人間関係を悪くするだけで、何の役に立ちません。   ――些細な言葉が不信感を呼んで、関係がギスギスしてしまいますね。 吉成 毎朝社員全員にやらせている『顔当てクイズWho’swho?』も、「こんなことをやって何の役に立つのだ」と敬遠する社員がいます。だけど人間って、上司や同僚が自分の名前や顔を覚えてくれているかどうかを敏感に感じ取るものなんです。たったそれだけのことで、人間関係が変わってくるんですよね。だから、一見無駄に思われるような「出身地」とか「趣味」といった情報だって、どんどん載せるようにしているんです。相手の周辺情報を知れば知るほど、その人間に対しての好感度が上がっていくんです。   ――ちょっとした共通項を発見するだけで。知らなかった相手のことを少し身近に感じたりしますからね。 吉成 人だけじゃありません。先日あるテレビ番組で、三人の音楽プロデューサーが「それぞれが選ぶ去年のベストテンの曲を紹介する」という企画をやっていたのですが。そのうちの一人が、アニメ映画『君の名は。』で使われていたRADWIMPSの「なんでもないや」を選んで、その理由を説明していたんです。それこそ作曲のテクニックから、作り手が曲を作ったタイミング、どういう思いで曲を書いたのか・・・等々。その説明を聞いたあとで同じ曲を聴いたら、曲の感じ方がまるで違いました。曲に付随した情報や背景を知ることでその曲をもっと好きになるように、人間も知れば知るほど好きになったり、興味が湧いたりするのだと思います。  
長谷川慶太郎の新刊は必ず買う。大前研一の新刊は1/2。邱永漢の著書は全て読んだ。
 

 吉成社長のつぶやき(47)

友達にしたいタイプを聞いてみると、最初は「価値観や行動基準が似ている人かな」と答えてくれた吉成社長。しかし、しばらく考えてから「うーん」と唸りだした。 『実際に自分の友達を思い浮かべてみると、ぜんぜん違うタイプが多いな。俺の友達、変人ばっかだ』

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