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人生のコツ(1)

毎朝、社員の「顔当てクイズ」から仕事をスタートするという吉成社長。割り込み主義を徹底して次々と入る急な仕事をそのつど片付け、身の回りはいつもきれいに整頓している。お酒を飲みながらの社員とのミーティングや、仕事の後の柔道の時間も大切にしている。 社長のそんな日常から、ちょっとした仕事のテクニックや人生を豊かに送るためのコツなど紹介しよう。  

見返りを考えないこと

――吉成社長の座右の銘を教えていただけますか?

吉成 「Give and give and give」と「人生すべて塞翁が馬」という言葉が好きです。

――「Give and give and give」という言葉は初めて聞きました。どういった意味ですか?

吉成 これ、僕の造語なんです(笑)。僕は「ギブ・アンド・テイク」という言葉があんまり好きじゃなくて、いっそ「ギブ」だけで良いくらいだと思っているので。

――見返りを考えずに与えよう、ということでしょうか。

吉成 そんな立派なものでもないんですけど、昔の友人で、常に「自分にとってプラスになるかマイナスになるか」という基準で付き合う人間を決めている奴がいたんです。それがとても打算的に見えて、なんだか嫌だったんですよね。当然、僕のこともそういう目でジャッジしていたのでしょうし。

――それは確かに感じが悪いですよね。ビジネスではそういうシビアな目が必要なときもあるのでしょうが・・・。

吉成 個別の取引に関しては必要なケースもあるかもしれませんが、いくらビジネスでも、いちいちそんな計算をする必要がありますか? 自分の周りを見ている限り、ろくに計算ができない人間に限ってそういう目先の計算をする傾向があるし、だいたいそれで損をしているんですよね。

――せっかく計算したのに、結局は損をしていると……(笑)

吉成 人間関係って変化するでしょう。例えば、同窓会で昔の同級生と会ったときに、その場で自分にとってプラスかマイナスを考えて付き合いを決めるなんて意味のないことですよ。人付き合いは「ギブ・アンド・ギブ・アンド・ギブ」でいい。

――「人生すべて塞翁が馬」というのは?

吉成 何が良いことにつながるか分からない、という意味です。不運と思われることが成功の原因になったり、成功したことが失敗の原因になることは往々にしてあります。例えば元野球選手の清原だって、若い時にはあれだけ大活躍して順風満帆だったけれど、そのうち麻薬に手を出して犯罪者となり、お金も仕事もすべて失うという転落を味わっていますよね。彼の姿を見ていると、あまりにも野球に適性がありすぎたがゆえに、その後の人生を誤ってしまったのではないかという気になります。

――一方で、スター選手と言えないまでも、野球を深く探求した結果、解説者や監督になるような選手もいますから、人生はわからないものですね。

吉成 本当にそう思います。社員を採用するときにときどき経験するのですが、採用の直後に「なんでこの人を採っちゃったんだろう・・・」と後悔したり「いい人材が採れた!」と浮かれることがあるのですが、数年後にはそれらの評価がまったく逆に変わっているということがあるんです。ゲームの企画でも、失敗したゲームの反省を踏まえて作った次のゲームが大成功したなんてこともありますし、一時の成功や失敗を評価するのは、つくづく簡単ではないと感じます。  

犬が吠えたら向かっていけ

――ビジネスシーンでは不運なことも起こると思います。ピンチを迎えたとき、何か心掛けていることはありますか。

吉成 ピンチのときは「逃げない」ことが大切ですね。ほら、犬って逃げるとおっかけてくるでしょう? だから犬が吠えたら向かっていくといい。そうすると犬のほうが逃げますから(笑)

――それは勇気がいりますね(笑)

吉成 例えば会社が潰れるときって、経営者が雲隠れして連絡が取れなくなってしまうというケースがけっこう多いんですよ。でも、どんなに逃げても債権者が追っかけてきます。それから、会社が不祥事を起こしたときに逃げる経営者っていますよね。だけどインタビューから逃げようとすればするほど、テレビカメラはどんどん追っかけてきます。こういうときは逃げずに、なるべく早く謝罪会見に向かっていくほうがいいんです。ところがテクニックを知らない人は、逃げたら悪化することがわからないから逃げちゃうんですよね。

――ピンチにもいろんな種類があると思いますけど・・・。

吉成 基本的に全部いっしょ、犬が吠えたら向かっていくことです。どんなに怖くても逃げてはいけません(笑)。

――嫌なことや辛いことがあったときの立ち直り方を教えてください

吉成 次にすべきことを考えることですね。落ち込みやすい人は切り替えが難しいこともあると思うのですが、気持ちを切り替えて集中力を高める方法はいくつかあるんです。そのひとつが、自分なりの儀式を持つこと。たとえばイチローがバッターボックスに立つときに行う一連の動作がありますが、あのプロセスを踏むことによって集中力が高まるわけです。一流のスポーツ選手は、こういったルーティーンと呼ばれる儀式を持つこと多いですね。

――吉成社長にもルーティーンはありますか?

吉成 営業でお客と商談する時の儀式は、時間よりもちょっと早めに着くようにしてコーヒーを飲み、服装を整えてからお客のもとに向かうというものです。  

ルーティーンとして繰り返していると、コーヒーの香りだけを嗅ぐだけ集中力が高まる。パブロフの法則。

 

吉成社長のつぶやき(46)

顔当てクイズ「Who’s who?」の営業に吉成社長自身でプレゼンに出かけるという。 『このプレゼンほど、経営者の考え方や性格を見るのに適したものはないね。「何でこんなもの作ったの」と使うことに全く関心を持たない人と、「面白いものを作りましたね」と関心を持ってくれる人と、反応が両極端』

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