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柔道から学んだこと(2)

継続こそ力なり

――続けることの大切さは、趣味でも仕事でも共通しているのですね。 吉成 何かを成し遂げたかったら、やっぱり続けることが一番大事だと思いますね。仕事でちょっとつまずいたり、新しいことに興味が移るたびに転職する若者をたくさん見てきましたが、次から次へと会社を移るせいでほとんど成果を残せていませんから。   ――そのフットワークの軽さは、ある意味、若さの特権かもしれませんね(笑)。 吉成 若さがあるうちはまだいいのですが、そのうちどこにも就職できなくなってしまうぞ、と心配になりますね(笑)。さきほど、一つのことを長く続けられない人が多くなっているという話をしましたが、日本人から我慢強さが失われつつあるのかなという気がしています。離婚率だって、どんどん上がってきているでしょう?   ――いまや3組に1組が離婚する時代ですからね。結婚するときには「一生添い遂げよう」という気持ちだったはずなのに、なんとも切ない数字です。 吉成 結婚したら終わりじゃなくて、夫婦や家族の関係というのは、そこから時間をかけて育てていくものなんですよね。ちゃんとコミュニケーションをとらなきゃいけないし、ときには我慢も必要です。離婚にはいろんなケースはあるんだろうけど、必要な我慢ができない自己中心的な人は、簡単に「はい、別れましょ」ということになっちゃう。   ――我慢ひとつで円満な家庭をずっと維持することができるはずなのに、もったいないですね。一方で晩婚化も進んでますし、人生の伴侶を見極めることに慎重になっている人も多いのではないでしょうか。 吉成 いまは草食系が増えてるから恋愛自体に興味がないという人も多そうだけど、例えば今付き合っている彼女とか意中の相手がいるとして、「彼女よりもスタイルのいい子がいる」「彼女よりも美人がいる」「若い子がいる」なんていう表面的な基準で目移りしていたらいつまでたっても結婚なんかできませんよ(笑)。「たしかに美人じゃない、特別スタイルがいいわけじゃない、頭も決してよくはない。でも君じゃないとダメなんだ!」という存在を探さないとね。   ――そういう相手なら、そうそう離婚の危機には陥らなさそうですね。 吉成 転職を重ねる人も「この条件はこっちの会社がいいけど、あの条件はあっちのほうがいい」と目移りするんじゃなくて、「でも自分はこの仕事がしたい」という意思で選ぶべきです。そうでないと一つの道でエキスパートになることはできませんからね。仕事にしても趣味にしても人間関係にしても、時間をかけて育ててゆくことで人生が豊かになるし、深みが増します。そのことを、若い人たちにはもっと知ってもらいたいですね。  

鍛えるべき筋肉は?

――趣味や仕事で何か一つのことを極めることができたら、別のジャンルでも成功できそうな気がしますが、吉成社長はどう思われますか? 吉成 世の中うまくできているもので、そう簡単ではないんですよ。例えばオリンピックのマラソン競技で金メダル取った選手が、同時に短距離で金メダルを取ることはないでしょう? それは、長距離と短距離では必要な筋肉が違うからです。魚で説明すると、ヒラメなんかの白身魚は瞬発力に優れていて、マグロとかの赤身魚は持久力に優れているのですが、マラソンで金メダルを取るためにはマグロみたいな肉をつけなきゃいけないし、短距離ならヒラメみたいな肉をつける必要があるんです。   ――マラソンのために鍛え上げた筋肉は、短距離では役に立たないということですね。 吉成 金メダルを取れるほどの選手は、その分野に必要な要素を極限まで高めているわけですから、他のジャンルで同じように金メダルを取れるということはありえません。スポーツによってはその要素が多少かぶっているということはありますが、それでもトップレベルに至るだけでもかなり難しいはずです。だからサクセスもあれこれ手を出すことはせずに、ソフトウェア開発だけに専心してきたのです。   ――大手のゲーム会社のなかには多角経営をしているところもありますが、サクセスはそういったことは考えていないと? 吉成 専門ジャンル以外のビジネスに手を出すことなど、ありえない話ですね(笑)。史上最高の投資家と言われるウォーレン・バフェットも自分が理解できない事業には投資しないという鉄則を守っているし、経営の神様と呼ばれた松下幸之助なんかは、多角経営なんかやっている経営者の気が知れないと述べています。   ――成功するためには、一つの筋肉を徹底して鍛えあげるほうが効率がよいということですね。 吉成 筋肉の質を簡単に変えることはできませんからね。それに、筋肉はいちど鍛え上げればそれで終わりというわけではありません。時代や環境の変化に適応していくためには筋肉を維持するだけでなく、筋肉の組織自体を少しずつ、常に変えていく努力が必要です。そうじゃないと時代に取り残されてしまいますからね。それはどんな会社でも同じことです。   ――瞬く間にトレンドが変化するゲーム業界では、特に重要かもしれませんね。 吉成 その通りです。実際、ガラケー全盛の時代にゲーム開発で上場したゲーム会社は何十社とありますが、そのほとんどがスマホの時代に生き残ることができず廃業していますから。時代の変化に対応するというのはどんな大手でも難しいことなんです。例えば、かつて主要エネルギーが石炭から石油に変わったとき、大手の炭鉱会社で石油のメジャーになった会社なんてありませんよね。また、大きな鉄道会社が航空会社を作って成功したという事例もありません。スポーツでもビジネスでも、一つの分野で大成功を収めた人や組織というのは、成功に必要な要素を備えているものです。ところがジャンルや環境が変わったときに、その要素がそのまま生かせるケースは極めて少ないのです。  
ヒラメとマグロの筋肉は、こんなに違う。
 

吉成社長のつぶやき(44)

吉成社長に好きな女性のタイプを聞いてみたところ、 『ないです、どんなタイプでもOK。でも、自分のことをタイプだ、という女性のタイプは一目で分かる。芸能人でいうと、西田ひかる、夏目三久、松たか子、桐谷美玲とか・・・、まだまだいるけど名前が分からない』

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