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プロってどんな人?(6)

東京ゲームショウで何をすべきか

――東京ゲームショウなどの展示会に行くと、新技術を使ったゲームをいち早く試遊したりデモンストレーションを見たりと楽しい体験ができますが、その技術がいつごろスタートしたものなのかは深く考えたことがありませんでした。 吉成 一般ユーザーのお客さんにお祭り感覚で楽しんでいただける場ですからね。ただ、出展側にとっては、東京ゲームショウとは本来、自社商品やサービスのプロモーションの場として、あるいはゲーム販売、BtoB、BtoCへの場として活用するべきイベントです。ところがうちの社員を含め、そこをはきちがえているゲーム業界人は昔から多いような気がします。   ――サクセスは前回の「東京ゲームショウ2016」でどんなブースを出されたのですか? 吉成 ゲーム商品の展示と物販です。じつはこういう場での物販って、会社の業績にはたいしたプラスにならないのですが、ゲーム制作の現場の人間はなぜかグッズ作りや物販をやりたがるんですよね。お店やさんごっこみたいで楽しそうだからかな(笑)。   ――ファンサービスの面を重視したのでしょうね。 吉成 じつのところ売り上げとしては微々たるものですし、これがサービスになっているのかどうかも正直疑問です。現場の人間がやりたいということで許可しましたが、せっかくのゲームの展示会で「物販」という、ある意味楽な選択をする思考にはちょっと引っ掛かりを覚えますね。   ――経営者視点で見ると物足りないということでしょうか。 吉成 はい。知恵を絞ればもっと有効にビジネスに結びつけられるやり方が見つけられるはずなのに、そういった創意工夫を怠るようではビジネスマンとしては失格です。せっかくゲームショウに出かけても、ともすれば一般客みたいな感覚でいろんなゲームを試遊して「ああ楽しかった!」と帰ってくるだけの社員がけっこういるんですよ。ゲームの作り手として、意識が低すぎますよね。   ――自社の商材を展示する側としても、他社の商材を見て回る側としても、新しいビジネスに繋げようという意識が必要だということですね。 吉成 その通りです。だって東京ゲームショウには、ミドルウェア等を開発している中小企業から海外のゲーム会社まで、これまで取引のない企業もたくさん出展しているわけですからね。いろんなゲームを楽しんで回るのはもちろん大切ですが、面白いコンテンツを見つけたときに「ライセンス契約をして日本でサービス提供はできないだろうか」「この開発ツールを自社でも役立てられないか」と思い立ったら、すぐにブースの担当者と商談ができるのですから、その機会を活用しない手はないじゃないですか。実際、僕自身もゲームショウでいくつものビジネスをまとめまてきました。  

まずは目的を意識しよう

――東京ゲームショウは、一般客向けの華やかなプロモーションが話題になりがちですが、実際に足を運んでみると、専門的すぎて一般客には何がなんだかよくわからないようなブースもたくさんありますもんね。 吉成 展示会に出展する目的は企業によってさまざまです。たとえば大手企業なんかはしっかりお金をかけてビッグタイトルの新作を発表したりしますが、これはさまざまなメディアが取り上げてくれるという宣伝効果があるため、理にかなっていますよね。またゲームの専門学校であれば、ゲームショウに出展しているという実績そのものが学校のアピールになり新たな学生の獲得に効果があります。ゲームショウの出展にはそれなりに費用がかかりますし、CESAによる審査もあります。実際に一流企業なのかどうかはさておき、ゲームショウに出展することで知名度を上げたり、ブランドイメージを上げることができるわけです。   ――やり方を間違えなければ、かけた費用ぶんの効果を生み出すことはできると? 吉成 出展の目的をきちんと意識していればそうそう間違うことはないはずです。しかし、僕からすると的外れなお金の掛け方をしているように感じる企業も多いんです。たとえば、メディアに注目されてもいないコンテンツがいくら一般客向けのプロモーションにお金をかけたところで無駄に終わる可能性が高いですよね。さらに、出展の前後に発売するタイトルであればまだいいのですが、東京ゲームショウは年1回の開催なので、そうそうタイミングが合うとも限りません。本当にもったいないですよね。   ――そのあたりの見極めが重要なのですね。 吉成 大手企業のやっていることを中小企業がやみくもに真似をしても意味がないんです。それぞれの企業の規模や特性に合ったふさわしい使い方があるのですから、企業同士の情報収集・情報提供の場として最大限に活用すべきだと思います。  
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国内外のゲーム展示会をどのように活用すべきか、社員たちの課題として常に考えさせている。
 

吉成社長のつぶやき(37)

東京ゲームショウには自ら足を運ぶという吉成社長。じつは気に入らないことがあるらしい。 『毎回、出展企業の代表者を集めたCESA主催のパーティーがあるんだけど、かならず経産省のお役人がしゃしゃりでてきて挨拶するわけ。経産省の役人がゲーム業界に果たした役割なんてのはゼロなのに、出てくるなって言いたいね。イベント自体はいいんだけど、それが気に食わない』

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