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プロってどんな人?(1)

業種を問わず多くの企業人と接し、社内でも人材の育成に力を注いできた吉成社長だが、時には、彼らのプロとしての姿勢に物足りなさを感じることもあるという。ゲーム業界のみならず社会人として求められる資質、そして取り組むべき課題について語ってもらった。  

ゲームスクールで何を学ぶ?

――サクセスの創業から40年、これまでいろんなタイプの社員がいらっしゃったと思いますが、昔と今で変化を感じることはありますか。 吉成 少子化という流れの中で、日本人全体の知的レベルが下がっているように感じます。ゲーム業界に限っていうと、コンピューターゲームの黎明期には非常に高い専門知識がなければクリエイターにはなれませんでしたから、当時と今を比べると、ゲームクリエイターの基礎的な学力の差は歴然です。   ――つまり、クリエイターの質が下がってきていると? 吉成 いいえ、一概にはそうは言えません。昔と違って今は優れたツールがたくさん開発されていますから、ゲームクリエイターを目指す上では学力の差などほとんど問題になりませんから。さらに日本にはゲームの専門学校も多く、卒業後すぐに戦力になる優秀な人材が毎年コンスタントに輩出されています。ゲームの専門学校がこんなに多いのは世界広しといえども日本くらいですよ。   ――授業料を払って専門学校に入るくらいゲーム作りに対する意欲が高いのですから、会社でもバリバリ働いて貢献してくれそうですね。 吉成 ところがそう簡単にもいかなくて、与えられた仕事は黙々とこなすけれども仕事を仕切ったり人を引っ張っていくのは苦手という人が増えているんですよ。ゲーム業界ではもともとこういったタイプの人間が多く、部長や課長を任せられる人材が少ないことが悩みの種なんです。うちにも「仕事が増えて大変だから管理職にはなりたくない」という社員がいるので、ちょっと危機感を覚えますね。  

「やりたくない」からやめちゃうの?

――技術者としての能力とゲーム会社の社員としての適性はまた別ということですか。逆に考えると、ゲーム業界で働くことを考えている人は、専門スキルを磨くだけでなく同じ組織のメンバーに意識を向けることを心がけると、就職の大きなアドバンテージに繋がるかもしれませんね。 吉成 統率力は一朝一夕に身につくものではありませんが、もうすこし積極性を持つ人が増えるといいなと思います。 以前、あるゲーム専門学校の先生から聞いた話なのですが、その学校のテニスクラブで部長を決める際に、なかなか引き受け手がいなかったそうなんです。らちがあかないので、担当の教師が見込みのある生徒を指名したところ、その生徒は素直に首を縦に振らず、最終的には「クラブを辞めさせていただきます」となったとか。   ――そこまで嫌がるというのはすごいですね。 吉成 冗談みたいな話ですよね(笑)。人を統率するという経験で得られるメリットよりも、生ずる責任や煩わしさといったデメリットのほうが大きいと判断したのでしょう。たとえ苦手であっても必要とあらばリーダーシップをとれる人を企業は求めているのですが・・・。   ――せっかく経験を積めるチャンスなのに、もったいない気がします。 吉成 日本の社会全体にそういう消極的なタイプが増えてるのかもしれません。たとえば大手総合商社であっても、海外赴任を嫌がる社員が多いそうです。僕ら団塊の世代は、海外で仕事することに憧れた世代なので、そういった風潮に驚きを覚えますが、今の若い人たちには海外に対する憧れは無くなっていますね。   ――採用する側からすると、頭の痛い問題ですね。サクセスの入社試験では社長が面接を行って最終判断をされているそうですが、特に重視するポイントはありますか? 吉成 うーん。採用を決めるのはほとんど直感かな。   ――直感ですか? けっこうアバウトですね!? 吉成 僕は日本のゲーム業界の中でいちばん多く面接をしてきた男ですから(笑)。志望者には新卒でも中途採用でも独自の技能テストを行っているので、一定の条件をクリアした人材が入ってきます。その上で僕が判断を下すのは、テストの数値や履歴書以外の部分になります。短い面接時間で「使える人材か、否か」という点を見極めるには、経験からの直感がものを言いますね。  
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過去サクセスに応募し面接した人数は数千人。
 

吉成社長のつぶやき(32)

就職活動がうまくいかない人に、何かアドバイスは? 『ある元社員から「書類選考で落とされて、なかなか面接にこぎつけない」という相談を受けて履歴書を見せてもらったことがあるんだけど、受からない理由は簡単、本人のアピールポイントが的外れで無駄な内容が多かった。ひょいひょいっと添削して渡してやったら、すぐに就職が決まったよ。まずやるべきことは企業がどんな人材を欲しているかを把握すること。それがわかれば、自分が何をアピールすればいいかは自ずとわかるでしょう』

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