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業界の問題、あれやこれや(1)

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ゲームを取り巻く環境は時事刻々と変化している。次々と新しい技術やシステムが生まれ、中核となるトレンドは瞬く間に移り変わる。そんな日本のゲーム業界には根深い問題がいくつもはびこっているという。吉成社長の考えるゲーム業界の抱える病巣とは? そして、その打開策は・・・?

 

洋の東西を問わず…

――社員の意識改革と労働環境の向上には、創業当時からずいぶん気を配ってこられたのですね。

吉成 社内でやれることには取り組んでいますが、ゲーム業界を全体的に覆う問題も多く、到底サクセス一社だけで解決できるはずもありません。たとえば、取引先や外注先とのトラブルは毎年何かしら起こります。また、社員に無理な働き方を強いるブラックな企業も多く、そこで働くクリエイターたちは疲弊してドロップアウトしてしまうんです。業界全体で取り組まなければならない問題は山積みです。

 

――取引先とのトラブルで、コミュニケーション能力は関係していますか?

吉成 取引先に限らず社内でのトラブルも、原因の殆どがコミュニケーション・トラブルと言ってもよいのではないでしょうか。元をたどっていくと「双方の意図が伝わってなかった」なんて瑣末なことが多いんですよ。言った言わないから始まって感情のこじれが生まれると、その後も仕事がうまくいかなくなります。肩書きや立場に関係なく、コミュニケーション能力の高い人は総じて仕事ができる人が多いですね。

 

――ゲームクリエーターは、ものづくりのほうにばかり興味が向いてしまうのかもしれませんね。

吉成 ゲームクリエイターというのは、たいていがオタク気質なんですよ。総じてオタクの人達は、コミュニケーションが苦手な人が多いですね。でもオタクであることは、ゲームクリエイターであるための必須の条件でもあるんです。オタクでないゲームクリエイターが面白いゲームを作るなんて、あり得ません。

この傾向は日本に限ったことではありません。僕は時折、海外のゲームショーにも足を運ぶのですが、会場がオープンする前からずらりと列ができているのを毎回目にします。そこに並んでいる人たちの表情や人相を見ると、どこの国も同じなんですね。「あ、ゲームオタクだ!」ってすぐわかります。

 

――オタクに国境はないと(笑)。

吉成 笑い話のようですが、これってゲーム業界の普遍的な現象なんですよ。

 

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モスクワのゲームショー開場前の長蛇の列

 

悪循環が止まらない!?

吉成 ゲームの下請け会社が、開発でトラブルを起こすことはよくあります。「受けた仕事を納期に納品できない」というケースも多いんです。うちも外注を使うことが多いのですが、年に1、2件はそういったことが起こります。たとえ十分な技術やノウハウを持っていても、一度起こってしまったトラブルをリカバリーするだけの時間や人員の余裕がない会社が多いんですね。だから、事前に取引先の開発体制と人員の確認をすることは、トラブルを未然に防ぐためにもとても重要なことなんです。

 

――昨年の平成27年でいうと、サクセスが発売したタイトル数は26本でしたが、開発トラブルが起こる割合は単純計算で全体の4~8%と、無視できない数字になりますね。未完成のものを納品されたり、あるいは納品自体がされなかった場合にはどうするのですか?

吉成 ソースデータをすべて引き上げて、もう一度サクセスの社内で作り直すというケースも何回かありました。

 

――そうなると、社内で回していた他の仕事に影響が出るという事態にもなりかねないのでは?

吉成 その通りです。当社は自社タイトルの制作と受託開発の両方をやっているので、自社タイトルの開発を中断したり、延期したりして、受託開発に影響がないようにしています。

 

――そういった事態が毎年のように起こっていると?

吉成 ゲーム業界の構造的な問題にも直結するのですが、ゲームの下請け会社には零細企業が多いので、もともとラインの数が少ないんです。それなのに、経営が苦しくなるとどうしても仕事をたくさん取ってやり繰りしようと無理をして、限りられた社員に掛け持ちで仕事をさせることになります。そういった状況ではトラブルも起こりやすいし、一度トラブルが起こってやり直しとなれば、仕事量はますます膨れ上がります。社員は土日も休日も関係なく徹夜を繰り返し、最終的には体を壊したり、うつ病になって会社に来なくなってしまう。そうなると、ますます仕事が回らなくなる・・・。まさにブラック状態です。

 

――せっかく仕事を取ってきても人材を失ってしまっては仕事も完遂できず、経営がさらに悪化してしまうのでは逆効果ですよね。

吉成 悪循環です。さらに、そもそも外注先が資金繰りの厳しい会社であれば、支払ったお金を返してもらえないケースもありますから、こうした負の連鎖も無視できません。たとえ健全な経営状態にあっても、資本の少ない零細企業がそのあおりを受ければ、急激に業績が悪化したりブラック化も起こりえますからね。

 

――ゲーム業界を支える下請け企業の現状は、過酷なのですね・・・。

 

吉成社長のつぶやき(27)

サクセスの取引先で、絵に描いたようなブラック企業があったらしい。

『「リングドリーム」の開発を最初に任せた会社はね、社員の一人がうつ病になり、一人が胃潰瘍になり、一人が蒸発しちゃった(笑)。当然、アプリは完成しなかったね』

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