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携帯ゲームとスマホアプリ(2)

「着ボイス」スタート

――ゲーム以外では、なにか印象的な携帯コンテンツはありますか?

吉成 着ボイスですね。じつは着ボイスもうちが一番最初にサービスを開始しており、2000年にVodafone、その後docomoやauでも順次提供を始めました。「着ボイス」というネーミング自体も僕が考えたもので、すぐに商標登録しました。

――現在では「着ボイス」という名称は一般的に使われていますが、もともとは吉成社長が名付けたものだったのですね。それまでは着ボイスというジャンルがなかったのですか?

吉成 当時は着メロというサービスがゲームよりも大きなマーケットを持っていたのです。そこからの派生で、音声を着信音として使用できる新機能が携帯に加わったんです。それを知ってすぐに着ボイスを思いつき、開発とサービス提供を始めたのですが、スタート時期が早かったおかげで、当時は売上を大きく伸ばしましたね。

――サクセスの業績に「業界初」「日本初」といったものが多いのは、そのフットワークの軽さが大きな理由のひとつなのでしょうね。

吉成 スピード感は大事ですね。我が社の行動指針にも「巧遅を求めるな、拙速を求めよ」という一文を揚げています。  

ガラケーからスマホへ

――ガラケー時代には大量の携帯コンテンツを世に送り出し、サクセスの年間開発数もどんどん増えていったようですが、スマホ時代に移行するにしたがって開発タイトル数をずいぶん絞っているようですね。

吉成 これまでに開発した総数で言うと、ガラケーの携帯コンテンツは439本、スマホのアプリは40本です。ガラケーは端末のメモリも小さかったので比較的簡単に作れるような小さなゲームがメインでした。そのためたくさん作ってたくさん出すという手法をとっていましたが、スマホの性能はコンシューマーゲーム機と比べても遜色ありません。当然、スマホゲームの制作にもコンシューマーゲームと同じくらいの時間と手間がかかり、開発できる本数は限られてしまうんです。

――たしかに、最近のスマホゲームのクオリティは随分と向上しているように感じます。ひと昔前に比べると通信環境もずっと良くなって、電車の中でもスマホゲームで熱心に遊んでいる人をたくさん見かけますよね。

吉成 日本のゲームのメインストリームは、いまやスマホゲームに移行しています。スマホゲーム市場の売上は、既に1兆円を超えていると言われていますからね。

――これまで開発したスマホアプリで、印象的なものがあれば教えてください。

吉成 docomoユーザー向けの『スゴ得』というコンテンツですね。業界では、アプリとかVRが注目を浴びていますが、『スゴ得』はWEBゲームなんです。まだ業界でも目立つ存在ではないんですが、近い将来WEBゲームの時代が来ると確信しています。

――それはまた、他社とは全く違う考えですね。

吉成 スマホではゲーム以外でもいろいろなアプリを作っているのですが、いま最も力を入れているのが『BIZLINE』というビジネス用の通信アプリです。もともとは自社用に開発したもので、パソコンやスマホ、タブレットにインストールすることで、通信費の大幅コストダウンと情報のクラウド化を実現しました。『BIZLINE』には便利な機能をいろいろ持たせましたが、スマホを内線端末として利用することができるのがいちばん大きなメリットではないかと思います。外回りの社員に専用携帯を持たせる必要も、事務所に固定のビジネスホンを据える必要すらなくなるのですから。

――まさにクラウドコンピューティング時代のスマホアプリですね。アイディア次第でまだまだ便利なアプリが出てきそうで、期待が膨らみます。  

第5回02『BIZLINE』画面写真
社内用に開発された『BIZLINE』を一般発売することに。

 

吉成社長のつぶやき(18)

かつてアーケードゲームの開発にはミニコンという高価なコンピューターが必要な時代があったという。 『サクセスがゲームの開発事業に参入できたのは、開発機材が安くなったから。とは言え、最初に購入した機材は1台129万円もした。開発用ミドルウェアとかライブラリーなどは皆無に近かった。プログラム言語もアセンブラという、厄介な代物。時代は変わった。時代の流れがこんなに早い業界では溺れないようにするだけで大変』

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