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「日本初」連発!(3)

ゲーム機でできることは、ゲームだけじゃない

――コンシューマーゲーム初のパッケージ商品である『ゲームの達人』から、これまたコンシューマーゲーム初となる廉価版シリーズ「SIMPLE1500」が生まれたというのは、印象的ですね。

吉成 どんな作品も、作った経験は次につながると思います。そういった意味では、同じ頃に発売した「CINEMA英会話」というシリーズもとても印象に残っています。

――英会話のゲームですか?

吉成 ゲームではなく、洋画を観ながら劇中の英会話が学べる教育ソフトなんです。もともとはパソコン用ソフトで、「バーチャルシアター」というシリーズ名で販売していたのですが、シリーズ名が内容にそぐわないという意見があり、コンシューマー版では「CINEMA英会話」という名前に改めました。96年にMacintosh版、97年にWindows版、99年にプレイステーション版、そして発売に至りませんでしたがセガサターン版と、4つのプラットフォームで展開し、プレイステーションでは初の教育ソフトとなりました。

――汎用性の高いパソコンとは違って「ゲーム専用機」と思われがちなコンシューマー機に、別の利用法を付加したのですね。

吉成 「ゲーム機用の教育ソフトなんて使いづらいんじゃないか?」と疑われそうですが、そんじょそこらの英語教材より、よほど高性能なものに仕上がりました。  

英語教材の最高傑作!?

――それは気になりますね。「CINEMA英会話」には、どんな機能があったのでしょうか。

吉成 このソフトでは日本語と英語の字幕を簡単に切り替えることができ、もし字幕にわからない単語があれば、内蔵された辞書機能によって、ボタンひと押しで画面に表示させることができました。また、セリフ単位での早送りや巻き戻しができたため、重要な箇所だけ何度も繰り返したり不要な箇所を飛ばしたりといった操作も簡単にできます。当時の英会話教材は早送りや巻き戻しの機能が充実しておらず、効率の悪さにイライラさせられることも多かったんです。

――余計なストレスなく操作できるのはありがたいですね! ところで、数ある教育ソフトの中で英会話を選んだのには何か理由があったのでしょうか。

吉成 じつは、僕は英語教材の営業をしていたことがあるんです。大学に入ってすぐ、家庭の事情でお金を稼がなくてはならなくなって、『ウエブスター』という英々辞書を訪問販売するアルバイトをしていたんです。売るからには自分自身も英語ができなくてはと、当時は猛勉強したものです。 そういった経緯もあって、英語教材についてはある程度の知識やアイディアがありましたし、ゲーム機で英語の勉強をするのもありかなと思ったんです。

――その吉成社長がこだわって作り上げたソフトとなると、かなりレベルが高そうですね。

吉成 今日の英会話教材の中でも最高の出来だと自負しています。ただ、売り上げには直結しなかったのですけれどね(笑)

第3回03『バーチャルシアター』パッケージ写真
映画を教材とした初のPC用英会話ソフト。

 

吉成社長のつぶやき(11)

英語教材の営業経験は、吉成社長のビジネス観に大きな影響を与えたという。 『あの仕事は歩合制で、売れたぶんだけ給料がもらえるフルコミッションだったんです。セールストークが一言一句まで完全にマニュアル化されてるから、僕らセールスマンは、それを丸暗記して一般家庭に売り歩くわけ。ものすごく売れたんだけど、セールス方法があまりにも強烈だったから、のちに「ブリタニカ商法」と言われて社会問題になったんですね。僕自身、教材としては適していないと感じていたから、この仕事は4年くらいでやめました。入った大学は事情があってすぐに退学してたから、大学に通うべき4年間、ずっと英語教材を売り歩いて過ごしてたってことになりますね。いろんな意味で、勉強になった』

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