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「日本初」連発!(1)

第4世代、第5世代のゲーム機が次々と発売され、数多のゲームが生まれた90年代後半。サクセスもまた多くのコンシューマーゲームを開発するなか、従来の常識を越え、「ゲーム」という枠組みさえも取っ払ったさまざまなアイディアを実現してゆく。チャレンジはいつも、次なる成果を生み出していった。

複数のゲームを「パッケージする」という発想

――この時期は、多くの機種に移植された『上海 万里の長城』のような委託開発も請け負いつつ、オリジナルゲームの開発にも相変わらず力を注いでいるのですね。

吉成 サクセスは1作目からずっとオリジナルを中心に据えていますからね。結果的には売れないタイトルも多いけど、毎回「これはいける!」と確信して作っています。いや思い込みかな(笑)。

――コンシューマーゲームの中で、印象に残っているタイトルはありますか?

吉成 商品企画のやり方としては、95年に発売した『ゲームの達人』という商品が印象に残っています。これは将棋、連珠、麻雀、ブレイスという4つのゲームを1つのパッケージに詰め込んだもので、3DO REAL、プレイステーション、セガサターン、スーパーファミコンの4機種で出しました。 コンシューマーゲームでこういったパッケージ商品を出したのは、サクセスがいちばん最初になります。

――当時としては、画期的な商品だったのですね。売上はいかがでしたか?

吉成 1本のゲームソフトの値段で複数のゲームが楽しめるとあって、そこそこ売れました。発売元のサン電子のほうで「4本分も楽しめるのだから」と強気の価格で発売したんんですが、本当はもっと価格を安くしたかったなあ。  

「どっちがお得?」意外な盲点

――翌年には『7人の達人』というパソコンゲームを発売していますね。

吉成 『7人の達人』は『ゲームの達人』と同時期に開発した作品で、こちらには7種類のゲームを詰め込みました。7800円という高めの価格ながら、こちらもけっこう売れましたね。

――しかし、その後『達人』シリーズは出されていないようですが?

吉成 ええ。じつは『ゲームの達人』『7人の達人』の「お得感」に疑問を呈する社員がいたんです。 あるとき、その社員とビールを飲んでいたときに、彼がふと「まとまったものを『そこそこ安い値段』で買えるよりも、ほしいものだけを『すごく安い値段』で買えるほうがうれしい」と言ったんですよ。それを聞いて「たしかにその通りだな」と納得しました。たくさん詰め込まれたゲームの中には、当然、いらないものだって入ってるはずですしね。そのときの会話から「SIMPLE1500」シリーズが生まれ、家庭用ゲーム業界に新しいカテゴリーを生みました。

――「SIMPLE1500」とはどういったシリーズだったのでしょうか?

吉成 シリーズのスタート時は単純に、『達人』に収録されていたゲームをバラバラにして単品売りにしたというだけのものでした。価格はすべて1500円に統一し、タイトルも『SIMPLE1500 THE 麻雀』、『SIMPLE1500 THE 将棋』といったわかりやすいものにしています。 98年にプレイステーション用「SIMPLE1500」を8タイトル、翌年にはWindows用「THE」シリーズを12タイトルと、順次展開していきました。

第3回01『ゲームの達人』『7人の達人』パッケージ写真
『ゲームの達人』は、当時「1本で4本分のゲームが楽しめる」と話題になった。

吉成社長のつぶやき(9)

「SIMPLE1500」の企画が酒の席で生まれたとは! 『酒の席で出たアイデアは多いね。酒を飲みながらアイデアのキャッチボールをしていると、必ず面白いアイデアが出る。1ドリンクで1アイデア。僕の経験則(笑)』

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