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【メインストーリー第37話】”待つ”理由

投稿者:
【プロデューサー】KAZ

○海



ロウ
「あん?俺の名前はロウ。
『不死身のロウ』だ。」

 

ピンチになったフェロー達を
救ってくれたこの男の名はロウ。
自らを不死身と名乗る理由とは…。

 

マスター
「助けてくれて、礼を言う。
ロウのおかげで助かった。」

 

ロウ
「ん?別にいいってことよ。
雑魚がいきがっているのを見て
ムカついだだけだ。」

 

フェロー
「本当にロウって強いよね…。
あんなに巨大な賞金首が一瞬にして…。」

 

ロウ
「あんなの雑魚だ。
もっと強いやつなんでウヨウヨいやがるからよォ。」

 

ドクター
「あなたは何者なの?」

 

ロウ
「つーか、他人様のことを聞く前に
まず自分から名乗るのが筋じゃねェか?オィ。 」

 

ドクター
「失礼したわ。私達は…。」

 

ドクターはロウに自分達の事、
そしてなぜトコナツに来たのかを説明した。

 

ロウ
「なるほどな。
その生き残り達を探して
わざわざ、こんなとこまで来たってェのか。」

 

フェロー
「んじゃ次はロウの番だよ!」

 

ロウ
「あァ、『俺は何者?』だったな。

俺は元新統合軍『白鯨(しろくじら)』の
精鋭部隊『一角(いっかく)』の部隊長だ。
まァ、今はもう無いけどよ。」

 

マスター
「新統合軍の生き残りだと…?」

 

ロウ
「ん、なんだァ?生きてたら悪いのかァ?オィ。 」

 

マスター
「いや、そうじゃない。
新統合軍は『エルピス作戦』で壊滅したはずじゃ…。」

 

ロウ
「あァ…。俺らはトコナツを中心に
海上を主に活動していた部隊だったから、
『エルピス作戦』には参加してねェんだ。」

 

フェロー
「あ、そうなんだ。」

 

マスター
「なるほど。という事は
『白鯨』の連中は全員生きてるってことか。」

 

ロウ
「いや… …。たぶん、俺だけだ。」

 

フェロー
「え…、でもさっき作戦には参加してないって…。」

 

ロウ
「確かに『エルピス作戦』には参加してねェ。
ただ、その数年後に海上でも大規模な作戦があったんだ。」

 

フェロー
「それはどんな作戦なの?」

 

ロウ
「『海賊掃討作戦』だ。」

 

マスター
「海賊…だと…?
海賊なんてこのご時世に存在するのか?」

 

ロウ
「いや…、南東に住むサルモネラの野郎が
たまに海賊行為をしていたが、
元々海賊なんていなかった。

『エルピス作戦』の後に
このトコナツに他の地方から、
かなりの人が避難してきたって話は知ってるか?」

 

マスター
「あぁ、さっきビーチタウンでその話は聞いた。」

 

ロウ
「避難してきたカンパニーや民間人の中に…
ゴロつき共も混ざってやがッたんだ。」

 

フェロー
「それはGORO’Sのこと?」

 

ロウ
「いや、GORO’Sじゃねェ。

アイツらは基本、自分達のシマで
何もしない限り手を出したりしねェ。
現にフォートポートの人間とはうまくやッている。」

 

ドクター
「じゃあ…、そのゴロつきって言うのは?」

 

ロウ
「本当の悪党さ。金品はもちろん、食う事にも飢え、
食糧さえも人から奪う事しか脳のねェ奴らだ。」

 

フェロー
「そいつらが海賊に…?」

 

ロウ
「そうだ…。ヤツらはこのトコナツにある
旧統合軍の施設を漁り、兵器を手に入れ
漁船等を襲うようになりやがった。」

 

ドクター
「ひどいわね…。」

 

ロウ
「幸いなのは民間人は殺さず、
物を奪っていただけなのが唯一の救いだな。
まぁ、殺しても何も得が無いからというのもあるだろうなァ…。」

 

フェロー
「でも海賊って言うんだから
相当の人数がいたんだよね?」

 

ロウ
「いや…、初めはそんなにいねェ。10人足らずだった。
で、他の地方からこの話を嗅ぎつけた悪党共が
どんどん増えて、最終的には100人以上になってやがった。」

 

マスター
「どこもエルピス作戦の影響で飢えていた…。
だからうまい話には転がり込んできた…ってやつか。」

 

ロウ
「まァ、そんなところだなァ。
ここは食べ物には困らないからな。」

 

フェロー
「それならそのゴロつき達も
みんなと一緒に漁業をすればいいのに…。」

 

ロウ
「おまえ、バカかァ?
誰がそんなクソめんどくせェことすんだよ。
そりャ獲ったものを奪った方が早いだろうが。

で、トコナツの人達は手に負えなくなった。
だから俺達がソイツらを掃討する作戦が行われたってわけだ。」

 

マスター
「で、みんな死んだのか…。」

 

ロウ
「まァ、戦力自体はそんな大したことねーよ。
腐っても俺らは軍隊だからなァ。」

 

フェロー
「じゃ、どうしてそんな事に…?」



ロウ
「賞金首だよ、賞金首。交戦中に賞金首が現れやがったんだ。
でけェイカの化け物『ネオンスクイッド』だ。

まァもちろん、海賊達は全滅。
そりャ、賞金首なんて倒せるわけねェよな。」

 

マスター
「ロウ達はどうしたんだ?」

 

ロウ
「その、でけェイカの化け物が放った電撃で艦隊は全滅。
全部海の藻屑になッちまッた…。
で、俺だけが生き残ったってわけだ。」

 

フェロー
「ええ!?船を沈める程の威力なのに
なんでロウは生き残ったの?!」

 

ロウ
「あァ…。これだよ、これ。」



ロウは見た目が特殊な
胸当てをポンポンとやって見せた。

 

フェロー
「その胸当て…。不思議な形をしてるね。
もしかしてオーパーツかな?」

 

ロウ
「だろうな。ある孤島にあった遺跡を
探検していた時に見つけてなァ。
すげェ渋いから身に付けてたんだよ。

そしたらこいつが特殊な能力を持ってたらしくてな。
くらったダメージを吸収しちまうらしいんだわ。」

 

マスター
「だから『不死身のロウ』か…。納得だ。」

 

フェロー
「で、その賞金首は倒したの…?」

 

ロウ
「あァ、もちろんぶッ殺してやッたさ。
ちと時間かかったけどなァ。
ったく、しゃらくせェ。

まァこれであの世にいるアイツらも
少しは報われただろうよ。」

 

ドクター
「そうね…。そうだといいんだけど…。」

 

ロウ
「で、俺はそのまま海賊ハンターをやってるってわけだ。」

 

フェロー
「え?海賊ってまだいるの?!」

 

ロウ
「サルモネラの野郎がたまに海賊行為をしてるからなァ。
まァ…。それはまた話すわァ。
で、お前らはどうすんだァ?これからよォ。」

 

マスター
「俺たちはフォートポートに向かおうとしている。
それで航路の邪魔をしていた『ヤドカリ大灯台』を倒しにきたんだ。」

 

ロウ
「お~、そうかそうかァ。
なら、俺が護衛してやるよ。」

 

フェロー
「え?いいの?心強い!!」

 

ロウ
「まァ、でも今日はもうおせェから
俺のキャンプに行かねぇか?
海浜工場地帯にキャンプがある、すぐそこだ。」

 

マスター
「そうだな…。もう日も暮れて来たしな。」

 

○海浜工場地帯

 

ロウ
「よォし、焼けたぞ。ほら、食え。」



フェロー
「これ…、何…?」

 

ロウ
「漂白サバの丸焼きだ。
見た目は真っ白だがうめェんだ。」

 

マスター
「モグモグ(うまい…。)」

 

フェロー
「う~ん…ハグっ…。
んっ!!美味しい!!」

 

ロウ
「だろォ?
漂白サバは結構獲れるからなァ。
他にも活性ワカメとか魔性昆布も
なかなかイケるぞ。」

 

ドクター
「陸地にずっといるとあまり
魚介類は食べないから新鮮だわ。」

 

フェロー
「ロウはいつもそのボートみたいな形の
戦車で魚を獲ってるの?」

 

ロウ
「ん?『テオス』の事か?

これは特二式内火艇っていう戦車を
改造した水陸両用の戦車だ。
小回りの利くし、漁をする際は
この車両を使っているな。」

 

ロウ
「んで、でけェモンスターを倒す時とかは
さっき乗ってた『ゴライアス』を使ってる。
LAV-25を改造した戦車だ。
見た目がカエルに似て可愛いだろォ。」

 

フェロー
「お姉さんが気に入りそう…。
あの子カエル大好きだし。」

 

ドクター
「しかし、よくその小さい車体に
すごい数の主砲を積んでるわね。
えっと、全部で5本かしら…。」

 

ロウ
「あぁ…。昔バトーっていうおっさんに
無理言って作ってもらったんだよ。
完全に規格外らしいな。」

 

マスター
「そういえばさっき海賊ハンターを
やっていると言っていたが、海賊はもういないのに
なぜまだ海賊ハンターをやっているんだ?」

 

ロウ
「… …。」

 

マスター
「何か深い事情でもあるのか?」

 

ロウ
「俺にはメアリーって名前の妹がいたんだ。
そうだなァ…12歳ぐらいだったな。」

 

フェロー
「メアリー、可愛い名前だね。」

 

ロウ
「目に入れても痛くないぐらい
本当に可愛い妹だった…。

そうだな…、まだこの海域にモンスター達が蔓延る前、
ビーチタウンとフォートポートを結ぶ定期船が出ていたんだ。」

 

マスター
「定期船なんてあったんだな。」

 

ロウ
「海域に凶悪な賞金首『摩伽羅(マカラ)』が
出現する前ぐらいまでは
結構、貿易も盛んだった。」

 

マスター
「摩伽羅…聞いたことがある。
大破壊前に建造された巨大戦艦の賞金首だよな。
噂によると旧統合軍の海軍が建造したとか何とか…。」

 

ロウ
「まァ、カンパニーによって破壊されたから
今はもういねェけどな。
で、その定期船にメアリーと二人で
フォートポートに買い物に行く途中の出来事だった。

俺達は”幽霊船”に出くわしちまうんだ。」

 

ドクター
「幽霊船…?」



ロウ
「そうだ。霧が出る日に現れると噂されていた
沈没した海賊船らしい。
まさか本当に出るとは思ってもみなかった。」

 

フェロー
「ひぃぃ…。私幽霊ダメなんだよね…。」

 

マスター
「犬よりも怖いものなんてお前あったのか。」

 

ロウ
「その幽霊船には正体不明の骸の兵士達が乗っていて、
ソイツらは海で死んだ者達の骸らしい。

もしかすると海賊では無く、大破壊前に沈没した
海軍の船だったのかもしれねェ。

こいつらに殺された人間は自ら幽霊船に乗って行き、
仲間になると噂されていた。」

 

フェロー
「そんなホラー小説みたいな展開ありえるの…?」

 

ロウ
「わかんねぇ。
で、俺達はその幽霊船に襲われ、定期船は沈没…。
メアリーもソイツらに殺されちまった。」

 

フェロー
「… …。」

 

ロウ
「俺は運よく生き残った…。
いつも俺だけ…1人…。
…クッソがァ!」



マスター
「ロウ…。」

 

ロウ
「すまねェ。取り乱しちまった…。

その後、定期船は引き揚げられた。
周辺も捜索してみたが、
メアリーの遺体は出て来なかったらしい。

俺の予想だが、メアリーはその幽霊船に
今も乗っているんじャねェかと思っている。」

 

フェロー
「だからロウは海賊ハンターをやりながら
妹さんを探しているのね…。」



ロウ
「そうだ…。
だが、あれ以来1回も幽霊船に遭遇した事が無い。

もう…ここにはいないのかもしれない…。
だが俺は諦めねェ!…妹をこの手で取り戻すまではなァ!」

 

ドクター
… …。

 

ロウ
「なんか湿っぽい話になっちまったな。
…今日はもう遅いし寝るか。

明日は早いから寝坊すんなよォ!」

 

フェロー
「は~い。わかったよ~。」

 

マスター
「運よく生き残ったのは…、俺だけ…か…。」

 

フェロー
「ん?マスターどうしたの?」

 

マスター
「いや、何でもない。寝るぞ。」



ロウ
(…メアリー待ってろよ…。
必ず兄ちゃんの元へ帰してやるからな。)

 

To Be Continued…

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