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「日本初」連発!(2)

ゲームの「廉価版」という発明

――「SIMPLE1500」シリーズの、1500円という価格はどのように設定されたのでしょうか? 吉成 当時、プレイステーションのソフトは5800円というのが一般的でした。 その頃、我々が開発を受託する場合、1タイトル当たり2000万円前後というのが多かったんです。だとすると、500万円で作れば1500円の値段でも比率的には同じですよね。これが一つの理由です。 今一つの理由は、ハドソンが当時のクライアントだったんですが、その当社の担当者がSCEの人に話をしたところ、1500円ならインパクトがある、とアドバイスしてくれたんです。更に、当時のパートナーだったカルチュア・パブリッシャーズ(現在のD3パブリッシャーズ)からも1500円という提案があったんです。こうして「SIMPLE1500」は、業界初の廉価版コンシューマーゲームとなりました。   ――この値段は衝撃的だったでしょうね! でも、こんなにも安くして大丈夫だったのかと気になります。 吉成 『ゲームの達人』のように、すでに作ったゲームをバラすだけであれば、この価格設定でも問題ありませんでしたから。   ――しかし「SIMPLE1500」シリーズのラインナップには、『達人』に含まれていないゲームもずいぶん多いようですが? 吉成 先程説明したように2000万円で開発を請け負ったソフトが5800円で売られていました。逆算すれば、1作あたり500万円で開発できれば1500円というソフトの価格が実現できるわけですから、500万円以内で開発するために、いろいろな方法を考えました。  

良質なゲームを低価格で

――具体的には、どのような方法で開発したのでしょうか? 吉成 サクセスに「SIMPLE1500」に適したコンテンツが足りなくなっても、うち以外のどこかには必ずあります。僕は当時、作りたいゲームを思いつくと、まずゲームショップに行きました。そして店に並ぶソフトを全部見て、「これが良さそうだ」と思うものが見つかれば、そのゲームのメーカーに連絡を取って「うちがグラフィックやサウンドなどの素材をすべて提供するので、御社のエンジンを使って移植していただけませんか?」とかけあったのです。 この「エンジン」というのは、ゲームの基本となるプログラムで、自動車メーカーが同じプラットフォームを使って異なる車種と作るのと同じです。この方法で、エンジンを持っている会社を探してては交渉し、「SIMPLE1500」のラインナップに加えていきました。   ――すでに持っている資材を再利用できるのですから、交渉先にとっても悪い条件ではありませんね。 吉成 ええ。こうした企画手法を使うことで開発費を抑えることに成功し、その結果、たくさんの良質なタイトルを1500円で販売することができました。 「SIMPLE1500」で編み出したこの企画手法は、後の「スタンダード1500」「SuperLite」などの廉価版シリーズにも受け継がれました。
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廉価版ゲームの草分けとなった「SIMPLE1500」シリーズ。
 

吉成社長のつぶやき(10)

コンピューターゲームの歴史を眺め渡すと、栄枯盛衰の目まぐるしさにも驚かされる。先を読むのは大変そうだが・・・。 『コンピューターゲームの時代の前には機械のゲーム、その前には紙で作ったペーパーゲームが流行った時代があったんですね。江戸時代には射的や輪投げで景品が貰えるゲームがあったし、将棋や囲碁はもっと古い時代に作られたゲームですよ。人類が誕生した時から、人は色々な遊びを生み出してきたし、これからも人の歴史が続く限り色々なゲームが生まれ続きますよ』

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